[2009.12.22] -[議会活動]
1. 国民健康保険について
(1)無保険世帯について
(2)無保険の子供について
(3)資格証明書発行をしないことについて
(4)国民健康保険法第9条7項に規定する「特別の事情」の把握について
(5)一部負担金免除について
国民健康保険についてお伺いいたします。
2009年10月24日付の毎日新聞に、門真市内に住む45歳の女性についての記事が掲載されていました。その女性は、10月22日、「無保険の子」を調査する民間団体「大阪社会保障推進協議会」の人の付き添いで、市役所を訪ね、保険証をようやく手にしたそうです。夫46歳は会社員をしているが、不況の中月収20万円を下回る時もあり、中学2年の長女と小学1年の長男がいる中、昨年11月、国保料の滞納が増え「無保険世帯」になってしまったそうです。昨年12月、門真市は原則中学生以下の子どもがいる世帯への短期保険証交付を決定しました。しかし、門真市が短期保険証を市役所に取りに来るようにという郵便物を送付したり、訪問したりしましたが、女性は歩けないほどの足の痛みで玄関に出向くこともできず、短期保険証交付に気づきませんでした。長男が熱を出した時、保険証がないため医療費を全額請求され、1000円を出すのがやっとだったそうです。この家庭は子供2人をかかえ、母親が病気で医者にも罹れない無保険状態が1年近く続いたということになります。このような、窓口で10割を支払う資格証明書となってしまった「無保険世帯」が健康保険法の改悪がされて以降、増大し大きな社会問題になっています。
まず、無保険の世帯についてです。
9月25日、厚生労働省が都道府県宛に送付した「新型インフルエンザQ&Aについて」という通知には、「資格証明書を送付している世帯から、新型インフルエンザに感染したと疑われるが、経済的理由から医療機関で10割の医療費が払えないと申し出があった場合、国民健康保険法第9条7項に規定する『特別の事情』に当たると判断してよいか」という質問に対して、「世帯主が市町村の窓口において、当該世帯に属する被保険者が医療を受ける必要性が生じ、かつ、医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申出を行った場合には、新型インフルエンザの感染の疑いにかかわらず、当該世帯主は保険料を納付することができない『特別な事情』に順ずる状況にあると考えられる」としています。そしてさらに、「緊急的な対応として短期被保険者証を交付することは差し支えない」としています。今回の通知に基づいて、門真市は「無保険の世帯」に対して今後どのように対応していく考えか答弁を求めます。
次に、「無保険の子供」についてです。
子どもの無保険状態が問題になる中、厚生労働省は17日までに、来年の通常国会に18歳以下の子どもに一律に6ヶ月の短期保険証交付する国民健康保険法の改正案を提出することを決定しました。
門真市は原則中学生以下の子どもがいる世帯への短期保険証交付を決定していますが、送付しないで市役所に留め置きとなっています。また原則中学生以下の子どもだけでなく18歳以下の子どもに対しても短期保険証を交付すべきです。大阪市では今年9月、403世帯中252世帯が短期保険証を受け取りに来ていないことが分かり、新型インフルエンザの感染拡大に備えて一律郵送しています。門真市も大阪市のように一律短期保険証を郵送することと、できない場合はせめて18歳以下の子供には短期保険証を交付かつ郵送すべきですがこの点について答弁を求めます。また門真市内での18歳以下の子どもの無保険は何人ぐらいいるのか、また短期保険証発行数と市役所に留め置かれている保険証数をお伺いいたします。
次に、国民健康保険は国民皆保険の制度であり、誰もが等しく医療を受ける権利があります。よって資格証明書の発行をやめるべきですが答弁を求めます。また資格証明書の発行数についてお伺いたします。
なお厚生労働省のこの通知では、資格証明書発行世帯全体について新型インフルエンザ大流行の前に、再度、国民健康保険法第9条7項に規定する「特別の事情」の把握を徹底するなどにより、被保険者の医療の確保ができるよう「適切な運用」を求めています。この通知は資格証明書発行世帯全体に対して「特別な事情」に当たるかどうかを把握することについて事務処理体制をチェックすることについて通知していますが市の考えを伺います。
次に、一部負担金免除についてです。
国民健康保険法44条では、「特別の理由」のある被保険者で医療機関の窓口で支払う一部負担金を払うのが困難である人に対して一部負担金の免除や徴収猶予ができるとされています。
厚生労働省は7月1日「生活に困窮する国民健康保険の被保険者に対する対応について」という通知を出しています。それには、冒頭であげました毎日新聞掲載記事にもあるような貧困が原因で医療費が払えないことについては、国民健康保険における一部負担金免除制度の適切な運用や医療機関・国保・生活保護の連携によるきめ細かな対応により一定程度の未然防止が可能であると考えられるとし、厚生労働省は「一部負担金の適切な運用に係るモデル事業」を3月まで全国で実施し、大阪では守口市と柏原市がモデル指定されています。本モデル事業の結果を検証し、平成22年度中には全市町村において適切な運用が行われるよう一定の基準を示す予定であるとしています。
この通知には、将来にわたり皆保険制度を維持していくためにも、一部負担金の適切な運用が不可欠であると書かれています。これまでわが党は生活に困窮する世帯に対して一部負担金免除制度の実施を求めてきましたが「国保一部負担金の免除、減額及び徴収猶予取り扱い要綱」等を定めている北河内の自治体はどれぐらいあるのか、また門真市において要綱等の策定についての考えをお示し下さい。
井上議員ご質問のうち、まず無保険の世帯についてご答弁申し上げます。
現在、本市では厚生労働省通知に基づき、資格証明書交付世帯の被保険者が医療を受ける必要が生じ、かつ、医療機関に対する医療費の一時払いが困難である旨の申し出を行った場合には、新型インフルエンザの感染の疑いに関わらず、当該世帯主が保険料を納付することができない特別な事情に準ずる状況にあると考えられることから、緊急的な対応として短期被保険者証を交付し、後日改めて被保険者の世帯状況の確認を取ることとしており、今後につきましても同様の対応をしておく考えであります。
次に無保険の子供についてであります。
短期被保険者証の交付は、公平負担の観点から窓口交付を原則としており、納付相談を受けていない世帯に対して郵送する方法はとっておりません。しかしながら、様々な理由により窓口に来られない方については、保険証のない状態であり、これらの無保険状態を解消するため、従前より休日相談・訪問・電話等あらゆる手段を講じ、折衝機会を設け、短期被保険者証の交付を行うことにより、無保険状態の解消に努めております。特に、18歳未満の子どものいる世帯に対しましては、定期的に訪問等を実施しており、無保険状態をなくすよう努力を重ねております。尚本年11月末現在の短期被保険者証の内、18歳未満の子どもの人数は、1、281人。
短期被保険者証の発行件数は691件であり、窓口に来られない未発行件数は170件となっております。
次に、資格証明書を発行しないことについてであります。
資格証明書の交付は、国民健康保険事業の健全運営を資するため、被保険者間の公平負担と未納保険料の収入確保を目的としております。
資格証明書の交付要件としては、督促、催告文章及び訪問等納付折衝の機会を再三設けても納付履行しない、折衝に応じない滞納者で、かつ納付期限から1年を経過しても保険料を納付しない場合には、滞納に特別な事情がない限り、保険料の公平負担の観点から、被保険者証の返還を求め、資格証明書を交付しております。なおその交付に当たりましては、国民健康保険法施行令により、特別の事情の届出や、弁明書の提出機会が与えられていることも踏まえ、滞納者の事情把握を積極的に行い、資格証明書発行を減少できるよう努力をしているところであります。
尚、資格証明書発行世帯数は本年11月待つ出、571件となっております。
次に、国民健康保険法第9条7項に規定する「特別の事情」の把握についてであります。
同法9条7項の中で、定める特別の事情は、国民健康法施行例1条及第1条2項に規定されております。
議員ご指摘の、資格証明書の交付時点においては、「特別の事情」の把握に努め、被保険者の医療の確保に遺憾なきよう、引き続き訪問など折衝の機会を設け、資格証明書発行を減少できるよう努力していく考えであります。
次に、一部負担金免除についてであります。
平成19年6月に制定された「地方公共団体の財政の健全化に関する法律」により全会計の収支の総額で地方公共団体の健全性が判断され、早期健全化団体に指定されることになれば13万人の市民サービスに影響がでることとなります.
この様な状況の下、国民健康保険事業特別会計が多額の累積赤字を抱える本市として、新たな財政負担を発生させる一部負担金免除は現時点での実施は困難な状況であると考えております。
一部負担金の免除制度は国民健康保険法第44条に基づき保険者が独自に基準を定めて実施する制度であります。
北河内各市におきましての同制度の制定状況につきましては、枚方市、守口市、四條畷市、交野市の4市が要綱等を制定しておりますが、1市を除く3市に起きましては実績がなく、また、全国的に見ましても減免に値する判定の把握方法など困難を極めている制度であり実績が上がっていないのが現状であります。
しかしながら、本市としましては、昨年秋以降の世界同時不況の影響を考慮し、生活困窮者等の方々に対する施策といたしまして、本年度より保険料の減免基準を拡充するとともに、福祉部局との連携を蜜にするなど、フォロー体制を整備して対応しております。
最後に一部負担金の免除の要綱等の策定等につきましては、今後も引き続き国の動向等を視野に入れながら、慎重に研究・検討をしてまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。