[2021.6.22] -[議会活動]
福田 英彦 議員
1.市独自の新型コロナ対策について
(1)これまでの取り組みと「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の活用状況について
まずは、新型コロナウイルス感染症によって亡くなられた方々へ心から哀悼の意を表しますとともに、闘病中の方々にお見舞いを申し上げます。
また、医療従事者をはじめ、コロナ危機のもと献身的に奮闘されているすべての方々に敬意と感謝を申し上げます。
さて、本市の新型コロナウイルス感染症の感染者数は、昨年3月7日に初めて確認されて以降、昨日までで1,360人が確認され、人口比では府下の自治体で5番目に高くなっています。
ワクチン接種については、先の委員会で様々な議論が行われましたが、混乱は少しずつ収まりつつも、高齢者をはじめ引き続きワクチン接種を希望される方へのスムーズな接種が求められています。
大阪府下の死者数は、昨日も新たに13人が確認されましたが、4月21日の1,301人から、2,605人となり、僅か2カ月間で倍増し、東京都の2,198人を大きく上回り全国最多となっています。
20日までを期限とした「緊急事態宣言」は解除されましたが、変異株の拡大など、第5波の可能性が早くも指摘されるなか、7月11日までの「まん延防止等重点措置」適用で、市内の飲食店をはじめ、事業者に対する影響はさらに深刻となることが予想されます。
東京五輪・パラリンピック開催ありきで、政府新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長らが提言した「無観客開催」を無視し、観客数の上限を1万人とすることを昨日政府、大会組織委員会、東京都などの5者協議会で決定しました。
常に対策が後手後手の政府、そして大阪府では医療のひっ迫や脆弱な保健所の体制、飲食店等への支援金や協力金支給の遅れが顕著ななかで、本市として市民の命と暮らしを守るための独自施策の推進が求められています。
本市独自の新型コロナ対策については、主に国の「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用し進められていますが、特にお隣の寝屋川市との比較で「門真市は支援施策が乏しい」との声が多く聞かれます。
ホームページを確認しても、寝屋川市は市の独自施策の内容が財源も含め詳しく掲載されており、その反映とも言えます。
そこで、本市におけるこれまでの取り組みと、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の活用状況について答弁を求めます。
「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の活用にあたっては、新型コロナ対策に効果的であること、またコロナの影響が深刻な市民への支援施策の実施が求められています。
こうした観点で交付金の活用状況を見ると、少し気になる点があります。
それは、「GIGAスクール構想推進事業」に対し、交付総額20億1,816万円のうち、4分の1以上を占める5億2,769万円が充当されていることです。
その内訳をみると、タブレット端末の購入関係費や校内LAN整備関連費など、国補助金を伴うGIGA関連費用については、総事業費7億5,676万2千円のうち、国補助金3億5,758万6千円で、市費負担となる2億2,025万6千円に対し交付金が充当されています。
しかし、電子黒板関連1億3,607万1千円、AIドリル1億7,136万3千円の計3億743万4千円については、国補助金は一切なく、全額交付金が充当されています。
これはGIGAスクール構想推進事業として充当されている交付金の約6割を占め、交付金総額の15%以上を占めることになります。
担当部局とすれば、整備要望が認められ実施されたということになりますが、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用してとなると、効果的な活用やコロナの影響が深刻な市民への支援施策の実施という観点からはバランスを欠くもので、問題があると言わざるを得ません。
昨年4月17日には、議会の総意として市長に対し、7項目の要望を行いました。
そのうち給付や減免については①高齢者や18歳までを対象とした一律の現金給付、②年度中の小・中学校の給食費の無償化、③水道料金の基本料金の減免、④中小企業・小規模事業者の融資に対する保証料の助成及び利子補給の4点でしたが、残念ながら実現したのは水道料金の基本料金の減免のみです。
以上の点でも、交付金活用内容については問題が少なくないと考えますが、答弁を求めます。
(2)市民の命と暮らしを守る市独自施策の充実について
新型コロナウイルス感染症の拡大は、現在収まりつつあり、ワクチン接種も進められていますが、人流が減少しないことや新たな変異株など、まだまだ予断を許さない状況となっています。
感染拡大防止対策と同時に、市民の命と暮らしを守る市独自の支援施策の充実が求められています。
交付金等を活用し、現在どのような施策を検討しているのか答弁を求めます。
あわせて、1点提案したいと思います。
それは、委員会でも議論があった「生理の貧困」問題に対する施策です。
日本ではコロナ禍でクローズアップされましたが、生理用品についての防災備蓄品の活用の検討や民間から受けた寄付による対応と合わせて、市の施策として検討する必要があるのではと考えます。
コロナの影響が長期化する中、内閣府が実施する「地域女性活躍推進交付金」及び「地域子供の未来応援交付金」について、NPO等に委託して実施する取り組みに対し、補助率の引き上げ(1/2→3/4)や対象の拡大が行われています。
生理用品等の提供も対象となっており、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の対象にもなることから財政的にも有利に市の施策として生理用品の提供を行うことができます。
もちろん、NPO等に委託する事業としなくても、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の対象となりますので、そのことも含め検討する必要がありと考えますが、答弁を求めます。
【答弁】
市独自の新型コロナ対策についてであります。
まず、本市における新型コロナウイルス感染症への取組といたしましては、発生時から、医療介護・福祉施設、学校等へ備蓄マスク約80万枚や消毒用アルコールの配布を始め、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用し、令和2年度においては、府との共同事業である「休業要請支援金」のほか、市独自の事業である「おうち時間応援給付金給付事業」、「水道料金基本料金の50%減免」、「産後ママ育児パパ応援給付金給付事業」、「かどまでPayPay!20%還元事業」、「商業店舗応援ステッカー交付事業」など、交付金交付額を上回る多数の事業を実施いたしました。
次に、交付金活用内容についての考えでありますが、感染症対策として、「感染症の拡大防止」、「くらしと経済を支えるセーフティネットの強化」、「危機を乗り越え未来をつくる」の3段階に応じ、市議会からご要望のあった事業、各部署で緊急対応が必要となったものなどについて、市民ニーズや財政面など総合的に庁内で調整、検討し、各種事業を実施してきたものであり、活用内容に問題はないと認識しております。
次に、現時点における令和3年度の交付金につきましては、中学校体育館空調整備事業をはじめ、情報発信事業やコロナ緊急正規雇用・就労促進事業、自宅療養者等支援事業などでの活用を予定しておりますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。
市民の命と暮らしを守る市独自施策の充実についてであります。
現在、コロナ禍における経済的困窮により、生理用品が購入できない市民の方への対応といたしましては、災害用備蓄品として管理する生理用品のうち、40枚入り650セットを活用し、6月下旬より女性サポートステーションWESSにて希望者へ配布する予定であります。
また、民間事業者等からいただいたご寄付につきましては、寄付者の意向に沿って、子どもの未来応援推進員による対象家庭への配布を既に進めているところであり、小中学校での活用につきましても現在、検討しております。
議員お示しの「地域女性活躍推進交付金」及び「地域子供の未来応援交付金」の活用につきましては、現状において交付金の対象となる事業を実施する予定はございません。
また、これまでに直接的な市民からの要請の声が届いていないことや、災害用備蓄品の有効活用ができることなどから、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」につきましては、現時点での活用は考えておりませんので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。
【再質問】
「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」を活用してのこれまでの取り組みと今後の新型コロナ対策事業について答弁がありましたが、やはりGIGAスクール構想推進事業への5億円を超える交付金の充当はバランスを欠いていると言わざるを得ません。
また、残念ながら高齢者に対する支援施策があまり見当たりません。
高齢者に対するワクチン接種においては、ピークは過ぎましたが「予約が取れない」と混乱や不安な状況が続き、自粛で自宅にこもりがちとなり体も心もバランスを崩す高齢者が少なくありません。
また、答弁にあった様々な支援施策についても、パソコンやスマートフォンを活用しにくい高齢者が取り残されているのではないかと考えます。
ニーズを把握し、新型コロナの影響を受けている高齢者に対する支援施策を拡充すべきと考えますが、答弁を求めます。
【答弁】
高齢者に対する支援施策につきましては、ワクチン接種会場で実施している新しい生活様式に向けたアンケート調査結果やコロナ禍でデジタル活用に不安を抱える高齢者への対応など、現状の課題等も踏まえ、ウィズコロナ、ポストコロナを見据え、優先すべき事業を見定め、検討してまいりたいと考えておりますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。
2.気候変動に対する取り組みについて
(1)気候変動と政府の「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」との目標に対する認識について
気候変動とは、一定期間における大気の平均状態となる気候が移り変わることを意味する言葉ですが、自然の要因と人為的な要因があり、主に人間が排出する二酸化炭素などの温室効果ガスの増加などによる地球温暖化を指し、その影響として海面上昇、降水量の地域的な変化、熱波などの異常気象の頻発、砂漠の拡大などが挙げられています。
また、新型コロナウイルス発生の背景に、気候変動、地球温暖化による生態系の破壊があること、今後の新たなウイルス等の発生の要因になりうることも指摘されています。
こうしたなかで今年4月には、アメリカのバイデン大統領が主催する気候変動サミットが開かれ、バイデン大統領は自国の温室効果ガスの排出量を2030年までに半減させる新たな目標を表明するとともに各国にさらなる取り組みを求めました。
菅首相は、2030年に向けた温室効果ガスの削減目標について、2013年度に比べて46%削減することを目指すと表明しましたが、先進国が50%超の目標が当たり前となっている中で、後れを取っていると言わざるを得ません。
菅首相は、昨年10月に政府として2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標を示し、実現に向けた決意を表明しました。
そして「2050年カーボンニュートラル宣言」を基本理念として法律に位置付けた「地球温暖化対策の推進に関する法律の一部を改正する法律案」が、通常国会で可決成立し、6月2日に公布されました。まさに本気度が問われています。
まず、気候変動と政府の「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」との目標に対する認識について答弁を求めます。
(2)これまでの取り組みについて
本市における気候変動に対する取り組みについては、昨年3月策定の第6次総合計画の「地球環境保全」の低炭素社会の構築について、温室効果ガスの総排出量を2018年度の26,497t-CO2から目標値23,339t-CO2へと削減するとしています。
策定時、政府が2030年度に2013年度比で26%削減するとの目標に対応したものですが、菅首相が4月の気候変動サミット後に表明した「46%削減をめざす」との目標に対応する新たな目標設定が必要となると考えます。
本市におけるこれまでの気候変動、地球温暖化対策の取組みについて、第6次総合計画策定までの取り組み、策定後の取組みについて答弁を求めるとともに、温室効果ガスの総排出量削減の新たな目標設定の考えについて答弁を求めます。
(3)今後の取り組みと市として「気候非常事態宣言」を行うことについて
さて、気候変動、地球温暖化対策の取組みでは、自治体の取り組みに対する「姿勢」が重要となります。
その取り組みの出発点として、「気候非常事態宣言」行うことについて、昨年と本年の第1回定例会の代表質問において考えをただしましたが、基本的な考えを示し「国や他の自治体の動向を注視しながら調査研究」とした昨年から、まったく考えを示さず「国や他の自治体の動向を注視してまいります」とした今年の答弁へと、後退どころか逆走する答弁となっています。
昨年11月に衆議院では気候非常事態宣言、採択をしました。参議院でも同宣言の決議案が全会一致で可決しています。
そして60を超える自治体が宣言、大阪府下においても、河南町、熊取町、泉大津市、豊中市、吹田市、堺市で宣言が行われており、今後さらに広がっていくものと考えます。
また、「カーボンゼロ表明」都市は、大阪府が2019年7月に表明して以降、枚方市、東大阪市、泉大津市、大阪市、阪南市、吹田市、豊中市、高石市、能勢町、河内長野市、堺市、 八尾市、和泉市、熊取町と府下43市町村の約3分の1を占める14の市町となっています。
このように、「気候非常事態宣言」や「カーボンゼロ表明」を気候変動、地球温暖化対策の取り組みの出発点とすべきと考えますが、答弁を求めます。
【答弁】
まず、気候変動と政府の「2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする」との目標に対する認識についてであります。
議員ご指摘のとおり、地球の平均気温は、上昇し続けており、干ばつや海面上昇による被害が深刻化するなど、地球温暖化の影響が既に現れております。こうした地球温暖化問題に対し、人類全体で取り組む初めての枠組みであるパリ協定が、平成27年に採択されたところでございます。
これを受け、国では令和元年に長期戦略を策定し、昨年には菅首相が、「2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする。すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指す。」ことを国会で表明し、国を挙げて脱炭素社会の実現に取り組んでいくことが示されたところであります。
本市といたしましても、国において示されました温室効果ガス削減目標や、本年3月に大阪府が策定しました「大阪府地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」に基づき、温室効果ガスの削減等に取り組む必要があるものと認識いたしております。
次に、これまでの取り組みについてであります。
気候変動及び地球温暖化対策に関する取り組みにつきましては、第6次総合計画策定前の平成30年度から令和4年度までの5年間を計画期間とする「門真市地球温暖化対策実行計画」に基づき、本市での温室効果ガスの削減等の取り組みを推進しており、本計画に基づき、クールビズ及びウォームビズ並びにエコドライブの実施、照度基準に基づく蛍光灯の間引き、グリーンカーテンの設置のほか、公共施設におけるLED照明の導入並びに設備機器更新時において省エネルギー機器を採用するなどにより、5年間で温室効果ガス総排出量を10%以上削減することを目標に取り組んでおります。
次期「門真市地球温暖化対策実行計画」策定にあたりましては、政府が目指す温室効果ガス削減目標である、令和12年度に平成25年度比で46%の削減について考慮した上で、本市の温室効果ガス排出量削減目標を設定し、目標達成のための施策の検討を行ってまいりたいと考えております。
次に、今後の取り組みと市として「気候非常事態宣言」を行うことについてであります。
これまでも気候変動及び地球温暖化対策の取り組みを進めており、本市の区域の自然的社会的条件に応じた、温室効果ガス削減のための取り組みを実施し、地球温暖化対策を推進することが重要であると考えており、「気候非常事態宣言」又は「カーボンゼロ表明」の実施に関しましても、引き続き国や他の自治体をはじめ、近隣各市の動向を注視しつつ調査研究してまいりたいと考えておりますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。