[2020.12.17] -[議会活動]
福田 英彦 議員
1.職員の懲戒処分について
この問題は、11月30日の議会運営委員会及び12月8日の総務建設常任委員会において理事者報告のあった「職員の処分について」に関するもので、報告の内容は、二名の職員が地方公務員法で勤務中に行うことが認められていない職員団体に関する活動を行ったことが地方公務員法第35条の職務専念義務に違反し、正当な理由なく勤務中に職場を離脱していたとして、職員分限懲戒審査会の審議を経て本年10月14日付で一カ月の間10分の1の減給、戒告の懲戒処分をそれぞれに対し行ったというものです。
しかし、理事者報告は簡単な内容でしたので経過を含め詳細が分からないこと、11月10日付で労働組合のニュースにおいて「当局の不当な処分について」と題する見解が示されていることもあり、不当な処分が行われていないかどうか確認する必要があると考え、以下の点について質問します。
まず、処分に至る経過についてです。
理事者報告にはありませんでしたが、組合ニュースによるとこの問題は、昨年4月に「勤務中に組合活動をしている組合役員がいる」との市民からの通報がきっかけとなっているようです。
そこで、①そもそも市民からの通報がどのような内容だったのか。②通報を受けて以降、所属長及び当事者、労働組合に対し、事実確認等をいつどのように行ったのか。通報以降、通報者とのやり取りがあればその内容も含め、処分に至る経過について答弁を求めます。
次に、「職員団体等との交渉等に関するガイドライン」についてです。
組合ニュースによると今回の処分は、2009年に労使で確認された「職員団体等との交渉等に関するガイドライン」に基づき勤務時間内にできる組合活動を行ってきただけであり、地方公務員法第35条に規定する職務専念義務違反ではないとしています。
この「職員団体等との交渉等に関するガイドライン」とはどのような内容なのか、当然地方公務員法第35条の職務専念義務に違反しない内容だと考えますが、策定に至る経過も合わせて答弁を求めます。
次に、市民の通報から処分に至るまでの当事者への注意等や「ガイドライン」に関する協議の有無についてです。
組合ニュースによると、昨年4月に市民の通報があってから、そのことが本人に知らされたのが、7か月後の11月13日に突然行われたヒアリングにおいてのことで、それまでは何ら当人や組合に知らせず、注意をせず、ガイドラインの見直しの申入れをするのではなく、7カ月にわたって、秘密裏に所属長を使って、当人の勤務状況を調査して、処分をするための情報を収集していたとしています。
また、当局は、昨年11月のヒアリングで、「ガイドラインの解釈の違いがある」というだけで、現在においても労働組合に正式にガイドラインの見直しについて協議をしておらず、ガイドラインの第7項に違反していると言わざるを得ないとしています。
さらに、本来、このような市民の通報があれば、当事者から事実を確認し、労働組合とも協議を行い、必要があれば注意し、問題解決を速やかに行い「職務規律の確保と公務員倫理を保持し、市民から信頼される職員」とさせることが人事当局の当然の対応であり、この間の対応の誤りや遅れについて人事当局は全く責任を取っていないと指摘しています。
このような労働組合の主張に対する考えと、市民の通報から処分に至るまでの当事者への注意等や「ガイドライン」に関する協議の有無について答弁を求めます。
【答弁】
処分に至る経緯についてであります。
まず、問合せの内容についてですが、「労働組合幹部が市役所の営業時間内にもかかわらず、長時間にわたり組合活動を行っている実態があり、市も黙認していると耳にしたが実態把握の有無等について回答を求める」という問合せがホームページにありました。
これに対し、「本市が職務専念義務違反を黙認している事実はないこと、法律上適法な交渉については勤務時間中においても行うことができる」旨を回答し、その後、複数回のメールによる質問等があり、その都度回答いたしました。
次に、事実確認等についてですが、所属長に対し、問い合わせのあった翌日以降、複数回にわたりヒアリングによる確認を行っております。
当事者については、複数回ヒアリングを行い、そこでのヒアリング内容については文書化したうえで当事者にも誤りがないか確認しております。
職員団体の全役員が所属する全所属長に調査を行った結果、本件については職員団体による組織的なものとは認められず、当該職員個人の職務専念義務違反の問題であるため、職員団体に対する事実確認等は行っておりません。
次に、「職員団体等との交渉等に関するガイドライン」についてであります。
ガイドラインにつきましては、地方公務員法第55条に規定する勤務時間内に行うことのできる職員団体の活動及び交渉事項の明確化を図ること等を目的に、交渉事項、管理運営事項、労使で話し合いを行う事項、有給で行うことが可能な活動等について規定しております。
次に策定に至る経過ですが、労使ともに交渉等について共通認識を持ち、透明性を推進するため、職員団体と協議を行い合意に達した後、平成21年3月に策定しております。
次に、労働組合の主張に対する考えと、当事者への注意等や「ガイドライン」に関する協議の有無についてであります。
保健福祉部職員につきましては、令和元年5月10日に所属長から、着席時刻が遅いことや離席時間が長いことについて、その理由及び行動等の聞取りを行い、周囲に誤解を与える行動はしないように注意しております。その後も変化が見られないことから、同月31日に所属長から門真市職員の懲戒処分等の指針に基づく報告書の提出がありました。
他団体では、職員団体等の活動における職務専念義務違反に関して、弁護士による第三者委員会による調査を実施したところもあり、本市でも顧問弁護士による調査の検討も行いました。
顧問弁護士からは「組織的なものではなく、保健福祉部職員の勤怠問題のみが対象となるため、人事課による調査の方が良い」との助言を踏まえ、10月以降人事課で関係者のヒアリングを行い、11月に当事者のヒアリングを行ったもので、顧問弁護士による調査も検討していたため、一定時間を要しております。
次に、ガイドラインに関してですが、ガイドラインは市と職員団体との取り決めであり、職員団体に属する個々の職員との取り決めではありませんが、市民文化部職員は、地方公務員法第55条の規定により職員団体が指名する本市当局と予備交渉等を行う者であることから、予備交渉等の内容とガイドラインを照らし合わせ、勤務時間内に行うか勤務時間外に行うかを日常的に双方で確認しており、疑義が生じた場合はその都度双方で確認を行っておりました。
一方、保健福祉部職員に対しては、予備交渉等については職員団体から指名されておらず予備交渉等を行う構成員ではないことから、直接本人にそのような確認を行うことはありませんでした。
地方公務員法には「適法な交渉は、勤務時間中においても行うことができる。」と規定があり、その範囲内でガイドラインを策定したものでありますが、本件については、当事者がガイドラインを拡大解釈し、組合員からの相談や当局から申し入れがあった内容の事実確認や調査、検討を単独又は他の組合員と行っていたものであり、ガイドラインに記載がない、法令で勤務時間中に行うことが認められていない職員団体に関する活動を行っていたものです。
また、その法令で認められていない職員団体に関する活動について、労使で確認を行ったと主張し、一方的に拡大解釈を行っていたにもかかわらず、地方公務員法に沿ったガイドラインに記載通りの運用を行っている当局に対して見直しについて協議がないと主張しているものであります。
当該職員については、ヒアリング以降はこのような行動は行っておらず、改善されているものの、このような行動については、ガイドラインに記載のある有給で行うことが可能な活動に含まれないことを、改めて伝えてまいりますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。
【再質問】
質問通告以降、人事担当者と懲戒処分を受けた当事者から話を聞きましたので、その内容も踏まえ再質問を行います。
まず、処分に至る経過の中で、「複数回当事者に対するヒアリングを行い、そこでのヒアリング内容については文書化したうえで当事者にも誤りがないか確認している」との答弁でした。
昨年11月13日に行われたヒアリングにおいて当事者は、勤務時間内の離席が「ガイドライン」の範囲内であることを繰り返し述べており、「ガイドライン」の7項「その他」にある「ガイドラインの項目について、疑義が生じた場合は、人事当局と職員団体等が連携を図りながら対処する」との規定に従い、人事当局は対処すべきでした。
しかし答弁では「予備交渉等を行う構成員ではないことから、直接本人にそのような確認を行うことはなかった」と文書にも示すことのできない口実で自らのガイドライン違反を合理化しました。
そもそも、昨年11月13日に行ったヒアリングは、「門真市職員の懲戒処分等の指針」の規定に基づき昨年5月31日付で提出された当該所属長からの報告書に関するヒアリングで、その報告書の内容が不正確であることを当事者が明言しているにも関わらず、「状況を確認する」の一点張りで、所属長の報告書を鵜呑みにし、処分結論ありきでヒアリングが進められたものです。
また、昨年5月31日の所属長からの報告書を受け、本来ならば直ちに人事課として注意を行い、人事当局の「ガイドライン」の解釈について改めて説明し、その解釈に疑義が生じているのであれば、それを解決するなどの対応をすべきであるにもかかわらず、そのことを怠り、あるいは意図的に半年近くも放置し、今回の処分に至ったと言わざるをません。
以上の点について、明確な答弁を求めます。
【答弁】
当局と職員団体とは対等の対場で交渉する関係にあることから、ガイドラインに関しましても人事当局単独で対処するものではございません。
所属長からの指導以降、11月にヒアリングを実施するまでの間に、職員団体からガイドラインに関する項目について疑義の申出はなく、また11月に行ったヒアリング以降は、今回問題となった行為は行われておらず、一定の対処は行われたものと考えており、議員の「市がガイドライン違反」とのご主張には当たらないものです。
次に、「処分結論ありきでヒアリングが進められたもの」及び「意図的に半年近くも放置し」とのご主張についてですが、地方公務員法第27条第1項に「すべて職員の分限及び懲戒については、公正でなければならない。」と規定があります。
このことから処分は慎重かつ公正に行うべきであることから、顧問弁護士による調査の検討・相談を重ね、十分なヒアリングを行ったもので、「処分結論ありき」や「放置」では決してありませんので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。
【意見】
一言でいえば、都合の悪いことに対しては口をつぐむ最悪の答弁だと言わざるを得ません。
ガイドライン7項に基づく疑義への対応については、「相手方から申し出はない」と自らの責任を放棄し、「ヒアリング後は問題となった行為は行われていない」ことは、解釈の違いが解決されない中で人事当局が指摘する行為を当事者が控えていただけであり、一定の対処が行われたとは到底言えません。
そして何よりも人事当局が、職務専念義務に違反する行為としながら、本人に全く注意や是正させることなく半年も放置したことは、どのような理由をつけようとも職務怠慢だと言わざるを得ません。
一般質問の答弁作成は人事課長、答弁者は総務部長ですが、このようなでたらめな対応の背景には、トップである宮本市長の姿勢があり、維新市政の問題点の現われです。
今回の二人の組合役員の不当な処分は、組合ニュースが指摘するように「二人の組合役員への攻撃にとどまらない、市職労運動への攻撃で、職場や職員・組合員への分断を持ち込み、職場に当局の上位下達の専制的支配を行い、モノを言わない職員づくりを行うもの」と言わざるを得ません。
この点を厳しく指摘し、党議員団としてもこのような組合攻撃ともいえるような不当な処分は断固として認められないという立場を表明しておきます。
2.新型コロナウイルス対策について
この問題については、3ヶ月前の第3回定例会でも取り上げましたが、新型コロナウイルスの感染者数は、昨日時点の累計は、全国で18万8千人余り、大阪府では25,816人、本市では313人となっています。とりわけ本市では今月に入り109人の感染が確認されており、月別で最高だった先月11月の73人に対し既に1.5倍という状況となっており、累計でも先月末の204人から1.5倍を超え、人口当たりの感染者数では、府下の自治体で7番目に高い状況となっています。
また、クラスターによる感染も医療機関、障がい者施設、学校関連で確認されています。
3ヶ月前と比べると、感染者数で102人から313人で3.0倍を超えています。以上の点を踏まえ以下の2点につて質問します。
まず、新型コロナ対策よりも大阪市廃止住民投票を優先させた維新大阪府・市政と無為無策の政府に対する認識についてです。
新型コロナウイルスの新規感染者数が、12日に初めて全国で3千人を超え、重症者も618人と過去最多となっています。厚生労働省の専門家の助言組織は、手術や救急受け入れの制限、診療科が全く違う医師が新型コロナの診療に当たらざるを得ないなどの状況から「このままの状況が続けば、通常の医療では助けられる命が助けられなくなる」と警鐘を鳴らし、政府の分科会は「GoToトラベル」について一時停止を求めるなど早期の強い措置を提言していましたが、菅首相は、「マスクの着用や手洗い、3密の回避」などを国民に求めるだけで、一定の見直しを行いましたが、「GoTo」に固執し、無為無策を続けています。
PCR検査の抜本的拡大のための施策もなく、経営難に陥っている医療機関への減収補填がない、持続化給付金や家賃支援給付金など事業者への直接支援を打ち切るなど、国民が痛切に求めている緊急の対策が抜け落ちています。感染拡大の現状は、菅政権の人災だと言わなければなりません。
また、大阪においては、全国最悪の規模と速度で感染がひろがり、病床が逼迫し「医療非常事態」を宣言する状況となっています。
とりわけ深刻なのが大阪市ですが、新型コロナ対策よりも大阪市廃止住民投票を優先させ、対策会議を5月22日以降12月4日まで全く開きませんでした。そのことによる感染拡大の影響が、特に大阪市周辺の自治体に現れていることは明らかであり、大阪府民にとっては、まさに「二重の人災」だと言わなければなりません。
以上の点について本市としてどのように認識しているのか、答弁を求めます。
次に、市独自の新型コロナ対策の現状と今後の考えについてです。
このような状況の下で、政府がこれまでの対応を抜本的に改め、感染の急拡大を抑えるために無症状者の発見と保護、そのための感染急拡大地などでの大規模・地域集中的な検査、病院や高齢者施設などでの定期的な検査の推進を大方針にすえるとともに、感染追跡を行う専門家の配置と保健所の強化、医療機関への減収補填なども必要です。と同時に「GoToトラベル」を抜本的に見直し、地域ごとに観光・宿泊業を支援する制度に切り替えるべきです。小規模事業者にも届く制度改善、再度の持続化給付金も必要となります。
こうした中で本市の状況をしっかり把握し、独自に新型コロナウイルス感染拡大防止対策を進めることが求められると同時に、新型コロナで深刻な影響を受けている市民のみなさんに対し、暮らしと営業を守る施策の推進が求められています。
現時点で本市における新型コロナウイルスの感染状況をどのように分析しているのか、その分析をもとにどのような対策を実施してきたのか、クラスター対策も含め今後どのような対策を進めようとしているのか、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を財源とした施策の実施状況、今後の市民の暮らしと営業を守る施策推進に関する考えについて答弁を求めます。
【答弁】
まず、政府及び大阪府政・市政に対する認識についてであります。
国においては、2月以降の感染拡大の状況に鑑み、感染防止策を強力に進められ、5月に緊急事態宣言を解除した後は、大幅にGDPの落ち込みが見込まれた中、段階的に社会経済の活動レベルを引き上げていくとともに、新しい生活様式・スマートライフを定着させるなど、感染拡大防止と経済再生の両立を図るべく、これまで対応されてきたものと認識しております。
また、大阪府・大阪市においては、感染状況を確認し、接待を伴う飲食店等に対する休業・営業時間短縮要請やGOTOトラベル事業を対象外とすることなど、府市が連携しながら、また、国とも歩調を合わせ取組んでいると認識しており、大阪市においても、様々な独自の支援に取り組んでいるものと認識しております。
次に、市独自の新型コロナ対策の現状と今後の考えについてであります。
本市における新型コロナウイルスの感染状況の分析と対策についてでありますが、感染第3波における府内の新規感染者については、各年代で陽性者が確認され偏りが少なくなっている状況であり、重症者の8割弱が60代以上であります。
本市においても、家族内感染や、医療機関及び福祉施設でのクラスターが断続して発生し、感染の拡がりを懸念するところであり、国・府の分析結果や対策本部会議で講じられた方針等を踏まえ対策を進めております。
また、保健所を所管しない本市としては、感染者や濃厚接触者の情報を入手することに限界があり、即時性の高い対応に苦慮しておりますものの、学校や施設からの情報収集に努め、対応しているところであります。
クラスター対策としては、連絡体制を福祉施設等へ周知するとともに、防護服やマスク等の提供、高齢者施設の新規入所者に対するPCR検査費用の助成等に取り組んでまいります。
次に、交付金を活用した事業の実施状況につきましては、これまで市独自の事業である「おうち時間応援給付金給付事業」、府との共同事業である「休業要請支援金」など予算上では、交付金交付額を上回る多数の事業を実施しているところであります。
今後につきましては、先ほど御答弁申し上げました高齢者施設の新規入所者に対するPCR検査費用の助成等事業、保育支援システムを導入する公立保育所運営事業、などを予定しているところであり、国の第3次補正予算の内容も確認しつつ、市民の命と暮らしを守るため、ワクチン接種の体制の整備など感染拡大防止と社会経済活動の両立を図りながら、必要に応じて支援策を検討して参りたいと考えております。
【意見・要望】
意見と要望にとどめますが、新型コロナ対策よりも大阪市廃止住民投票を優先させた維新大阪府・市政と無為無策の政府に対する認識については、極めて不十分と言わざるを得ません。
市民の命とくらし・営業を守る立場で、対策や支援策について国・府に強く要望することを求めます。
市独自の施策については、「新型コロナ感染症対策等で市民の安全を守るために必要なものについては、財政調整基金の活用を含めたあらゆる手段により必要な措置を講じる」とした先の総務建設常任委員会での答弁に沿って進めていくとともに、補正予算の討論でも問題を指摘しましたが、その施策の実施については市内の実情を把握し、優先順位をしっかりと見定め進めるよう強く求め質問を終わります。