[2020.9.17] -[議会活動]
福田英彦 議員
1 文化財保護行政の推進について
市長部局が所管する問題点についてです。
午前中の本会議において、「門真市文化財保護条例の制定について」が議決されました。12月1日施行となり、新年度から本市の条例に基づく文化財保護行政がスタートすることとなります。
条例案提出の経過については、条例制定の必要性を認識しつつ準備を進める中で平成31年4月施行の文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正を受け、令和2年3月大阪府においてに文化財保存活用大綱が策定され文化財の保存と活用の方向性が示されたこと、本市の歴史と文化を特徴づけるものを市指定文化財として指定することで文化財の保存・活用をよりいっそう推進するとの考えで提案に至ったとの説明が先の民生水道常任委員会で行われました。
本市の文化財については、国・府指定の重要文化財や天然記念物、有形文化財や指定されていない文化財や遺跡などが多くあり、今回の条例制定によって、国・府に指定されていない文化財を市が指定することで、文化財の保存活用をよりいっそう進めることが期待されます。
しかし、この間の文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正については、緊急課題とされている文化財の滅失や散逸等の防止が図られるのか危惧される点があります。
今回の法改正の特徴は、文化財を観光資源として活用することを重視し、そのためにこれまでは教育委員会が所管することとされていた文化財保護に関する事務について、条例により地方公共団体の長、市長部局の所管とすることができるようにしたことです。
この間の政府の方針は、平成29年6月9日閣議決定の「経済財政運営と改革の基本方針2017」で明らかなように、「稼ぐ文化への展開を推進する」ことであり、文化財保護行政がゆがめられることが危惧されます。
文化財保護行政を市長部局が所管することについては、これまでも慎重に議論が進められ、中教審においても、①専門的・技術的判断の確保、②政治的中立性、継続性・安定性の確保、③開発行為との均衡、④学校教育や社会教育との連携の文化財保護行政上の4つの要請に対応できる環境を整えるべきことを条件とすべきとされました。
本市においては、本年4月の機構改革によって、文化財の保護に関する事務については、市長部局である市民文化部が所管することとなり、文化財保護条例において市指定の文化財の指定は市長が行うものとされています。
先に挙げた文化財保護行政上の4つの要請に対応できる環境整備をどのように進めていこうとしているのか、答弁を求めます。
合わせて、文化財保護行政を市長部局が所管する際に必置とされた文化財保護審議会の委員の構成の考えと任命の際の教育委員会との関係、文化財保存活用地域計画策定や協議会の設置の考えについて答弁を求めます。
次に、専門人材の育成・配置についてです。
先の質問も関連しますが、文化財保護行政の推進のために欠くことの出来ないのが、専門職員の配置です。
文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正の際にも衆参両院において議決された附帯決議において、「文化財の保存及び活用が適切に行われるためには、文化財に係る専門的知見を有する人材の育成及び配置が重要であることを踏まえ、専門人材の育成及び配置について、国及び地方公共団体がより積極的に取組を行うこと」とされています。
最も困難な課題だと考えますが、現時点での専門職員の配置状況と今後の専門人材の育成・配置の考えについて答弁を求めます。
次に普賢寺遺跡発掘調査の現状についてです。
普賢寺遺跡は、弥生時代前期末(約2300年前)から中世の遺跡で、古川橋駅北側の旧第一中学校跡地周辺に位置し、古川橋駅北区画整理事業に伴い、昭和59年から大阪府教育委員会が行った発掘調査を含め昭和61年まで3回の発掘調査が行われています。また、平成12年にはその北側では石原東・幸福町北土地区画整理事業に伴い普賢寺古墳の発掘調査が行われ、市が図書館等生涯学習複合施設の建設や交流ひろばの整備など「公共公益施設構想」を示した翌年の平成24年には、遺跡の保護・保存などの協議や費用負担の概算などを算定するための試掘調査が行われています。
こうした中で今回、幸福東土地区画整理事業に伴う発掘調査が行われています。
これまでより大規模で盛土等もあることから、「建設工事が始まっているのか」「発掘調査を見学したい」などの声が寄せられています。
市ホームページにおいて「普賢寺遺跡発掘調査情報」が掲載され、その様子を知ることができますが、改めて普賢寺遺跡の発掘調査に関するこれまでの経過、発掘調査の現状、考古学ファンや市民への公開や説明会等の開催、報告書等の作成など、今後の考えについて答弁を求めます。
次に、生涯学習複合施設での展示等についてです。
文化財保護条例の制定後、市指定の文化財が増えるに従い、市の責務としている「保存及び活用」が適切に行われるよう必要な措置を講じなければなりません。
具体的には、文化財の展示等が挙げられますが、現在の歴史資料館で十分なのか検討が必要ではないかと考えます。
再整備など老朽化した歴史資料館の今後の方針について検討すると同時に、生涯学習複合施設での展示等について検討すべきと考えますが、答弁を求めます。
【答弁】
まず、市長部局が所管することにつきましては、文化財保護行政上の4つの要請に対応するための環境整備として、任意で地方公共団体に設置できることとされていた文化財保護審議会が、文化財保護法の改正により、市長部局において文化財の保護に関する事務を所管する場合は必ず置くこととなったことから、本市におきましても専門的な知見を有する学識経験者等で構成される文化財保護審議会を設置し、専門性や継続性等を担保してまいります。
委員構成の考え方につきましては、市内に所在する文化財の状況を鑑み、考古学、歴史学、民俗学などを専門とし、本市との関わりのある学識経験者に加え、市民学芸員活動に従事されるなど、市内の文化財に精通されている方を委員として想定しております。
審議会委員の任命の際の教育委員会との関係につきましては、委員の任命のみならず様々な案件について、教育委員会との協議や意見聴取などを必要に応じて実施してまいります。
文化財保存活用地域計画策定や協議会の設置の考え方につきましては、まずは、文化財保護条例のもと、文化財の総合的な保存、活用を推進するため、地域の文化財の把握に努めてまいります。
今後、地域計画の策定の際には、市民の意見の反映に努めるとともに協議会の意見を聴取してまいりたいと考えております。
次に、専門人材の育成・配置についてであります。
文化財行政を担う歴史資料館における学芸員の配置状況としましては、現時点では主任1名、任期付き職員1名、パートタイム会計年度任用職員2名の合計4名を配置し、歴史学、考古学を専門としております。
業務の継承、人材育成等の観点から、パートタイム会計年度任用職員のうち1名につきましては、本年4月採用の任期付き職員への6カ月間の引継ぎのため採用しており、本市における文化財の実情に応じ、複数人を配置することが望ましいと考えております。
また、市民学芸員養成講座を修了した市民学芸員が、資料の整理や展示の企画・設営等を通じて、本市の学芸員とともに専門性を高めることで、地域における文化財の保存と活用のサポートをしていただけるものと考えております。
次に、普賢寺遺跡発掘調査の現状についてであります。
発掘調査の経過と現状につきましては、旧第一中学校跡地周辺において、土地区画整理事業に伴う埋蔵文化財の現地における発掘調査を令和2年6月から開始し、令和3年3月末の終了を予定しております。
現在、調査区域のうち、約4分の1が終了し、溝や井戸のほか埴輪や土器、瓦が数多く出土しております。
市民への説明会等の開催につきましては、新型コロナウイルス感染症の状況を見極め、実施時期や規模等を検討してまいります。
また、発掘調査の報告書につきましては、令和4年度に刊行を予定しております。
次に、生涯学習複合施設の展示等についてであります。
歴史資料館の今後の方針につきましては、当館のみならず、市有施設の総量や管理運営の考え方による公共施設マネジメントの観点から総合的に検討してまいります。
また、生涯学習複合施設での展示等につきましては、門真市生涯学習複合施設建設基本計画において、図書館部門における開架閲覧スペースに「郷土資料ゾーン」の設置を想定しており、今後、選定する設計者や運営する指定管理者と協議を進め、市域に残る文化財に興味を持っていただけるような展示となるよう文化財の保存と活用に努めてまいりますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。
【再質問】
答弁については概ね了とするものですが、やはり気になるのが「文化財保護行政上の4つの要請」のうち「開発行為との均衡」です。
答弁では「専門的な知見を有する学識経験者等で構成される文化財保護審議会を設置し、専門性や継続性等を担保する」との答弁に包含されていると考えますが、開発行為が優先されることによって、埋蔵文化財が損壊することのないようにすることが重要で、とりわけ門真市内に15ヵ所ある「周知の埋蔵文化財包蔵地」については、今回の普賢寺遺跡発掘調査も含め慎重に対応することが求められます。
この点について、市長部局に移管されても「開発行為との均衡」が具体的にどのように担保されるのか、改めて答弁を求めます。
【答弁】
開発行為との均衡をどのように担保されるのかついてであります。
国会における文化財保護法及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律案の審議過程において、様々な議論の末、付帯決議が付され、文化財に係る施策を推進するに当たっては、文化財の保存と活用の均衡がとれたものとなるよう、十分に留意することが求められております。
このことを踏まえ、本市においては引き続き文化財保護の専門性を有する職員を配置するとともに、専門的な知見を有する学識経験者等で構成される文化財保護審議会を設置することで、埋蔵文化財を適切に保存し、開発行為との均衡を図りながら文化財資源の活用に努めてまいりますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。
【意見・要望】
文化財保護行政上の4つの要請では、埋蔵文化財の分野だけでなく、社寺等の建造物も取り扱うことから「政治的中立性」も重要な要素となっています。また、市指定の文化財を安定的に保存活用するための財政措置も必要となってきます。今後の課題となりますが、しっかりと取組んでいただきますよう要望しておきます。
2 新型コロナウイルス感染症対策について
市内感染確認者の現状と認識についてです。
新型コロナウイルス感染症の感染者が門真市内で初めて確認された3月7日以降、昨日まで102人が確認されています。
6月までの感染確認者は24人だったものが、7月には27人が確認され倍増し、8月はその1.5倍以上の43人の感染者か確認され、感染の拡大は顕著となりました。
また、当初は20代、30代が中心で、7月末までは60代以上の方は51人中2人で4%弱でしたが、8月に確認された43人中60代以上の方が11人となり、25%を占め、高齢者への感染拡大も顕著となっています。
また、人口当たりの感染確認者は、政令市を除くと府下平均をやや上回っているという状況です。
今後は、インフルエンザの流行とあわせ対策の強化が求められていますが、現状の分析等が欠かせません。
市内感染者の状況、感染経路、クラスターの有無、PCR検査の認識について答弁を求めます。
次に、対策事業の現状と課題についてです。
新型コロナウイルス感染症対策は、感染拡大の防止と市民の暮らしと営業を守るための支援施策が重要です。
国においては、世論と国会論戦で政府の方針を転換させ実現した一人10万円の特別定額給付金、二次にわたる補正予算において交付された地方創生臨時交付金などがありますが、「安倍のマスク」や他国に比べ著しく遅れているPCR検査等に象徴されるように、後手後手にまわり、全く不十分だと言わざるを得ません。
こうした中で、市としてこれまで実施してきた新型コロナウイルス感染症対策関連事業をみると、事業費総額145億9,433万5千円から、特別定額給付金をはじめとした国・府で10/10負担の事業費総額126億5,356万5千円を差し引いた額は19億4,077万円です。
そのうちギガスクール構想推進事業は6億9,667万6千円で、事業費総額の約36%を占め、一般財源で見ると地方創生臨時金を含めた一般財源で賄った総額15億7,869万2千円のうち4億5,795万2千円で、約3割を占めており、国誘導の状況が色濃く出ています。
議会の要望も踏まえ「おうち時間応援給付金給付事業」や「水道料金基本料金の減免」なども実施してきましたが、こうした状況も併せ、これまでの新型コロナウイルス感染症対策事業の現状と課題と認識している点について答弁を求めます。
次に、市民への支援施策をはじめ今後の強化方向についてです。
新型コロナウイルス感染症対策は、終息が見えない中で、引き続き事業の推進が求められています。
インフルエンザ対策と合わせた感染症対策と同時に、様々な影響受けている市民の暮らしと営業を守る立場での支援策が求められています。
先の総務建設常任委員会でも質疑を行いましたが、市が対策事業で支出予定の一般財源は、予算ベースで約1億2,900万円、決算ベースでは、一般財源の支出が全くなくなる可能性もあります。
財政調整基金が厳しい状況の中でも、さらなる対策事業の推進と財政措置が必要だと考えます。
市民への支援施策をはじめとした、新型コロナ感染症対策事業の今後の強化方向について答弁を求めます。
【答弁】
まず、対策事業の現状と課題についてであります。
新型コロナウイルス感染症対策事業の現状につきましては、感染拡大から収束し、経済が回復するまでを、緊急対策期、回復準備期、回復期と位置付け、「感染症の拡大防止」、「くらしと経済を支えるセーフティネットの強化」、「危機を乗り越え未来をつくる」の3段階に応じた施策を構築してまいりました。
この間、令和2年度の事業見直し及び新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金並びに国の補助事業を活用し、現状の課題を踏まえて事業を実施しているところではございますが、財源確保が課題であると考えております。
同感染症の収束が見通せない中、感染症対策や経済対策において更なる対応が必要となる場合もあると認識しており、引き続きしっかりと対応できる様、財源確保等に努めてまいります。
次に市民への支援施策をはじめ、今後の強化方向についてであります。
市民への直接的な支援施策につきましては、国が実施した「特別定額給付金」及び「子育て世帯への臨時特例給付金」の給付をはじめ、市の施策といたしまして、「おうち時間応援給付金の支給」、「水道料金基本料金の50%減免」、「休業要請支援金の支給」のほか、今議会で提出いたしました「高齢者、妊婦、乳幼児から小学校6年生までのインフルエンザ予防接種費用の助成」、「産後ママ育児パパ応援給付金の支給」などを実施または予定しているところでございます。
今後の方向性につきましては、市民の暮らしを守り、安心安全を確保し、雇用の維持と事業の継続に向けた「くらしと経済を支えるセーフティネットの強化」に取り組むとともに、市内の消費需要を喚起する取組や未来に向けた持続可能な社会経済の構築など「危機を乗り越え未来をつくる」ため、新しい生活様式を踏まえて、必要に応じて支援策を検討して参りたいと考えておりますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。
市内感染確認者の現状と認識についてであります。
9月15日現在、大阪府健康医療部の報道発表資料によりますと、府内において、9,727名の感染が確認されています。その内、本市の感染者は101名であります。
年齢構成としては、若い世代の発生が多く10代と20代で全体の46.5%を占めています。
感染者が急増した7月以降、20代と高齢者の発生者数の増加が目立つ中、80代の発生も6名確認されており、また、80代2名、50代1名の計3名の重症化、その内、80代で1名の方が、お亡くなりになられたと公表されています。市中の感染拡大に伴い、重症化のリスクは高まる傾向にあります。
本市の感染者101名の内、感染ルートが判明しているのは42名、全体の41.6%、その内家族内感染が17名、40.5%と散見している状況ですが、施設等での大規模クラスターの報告はございません。
次 に、PCR検査の実施体制につきましては、守口保健所管内で実施医療機関等が開設されており、先般、門真市内小学校で児童1名の陽性が判明した際には、週末にも関わらず、速やかに教職員と児童あわせて31名の検査が実施され、全ての陰性が確認された事例がございました。
本市におきましても唾液による検体採取センターに係る事務を大阪府より受託し、8月27日に開設したところであります。
【意見・要望】
新型コロナウイルス感染症対策については、すでに対策が始められていますが、インフルエンザとの同時流行への対策が強く求められます。また、答弁にもありましたが、市民の暮らしと営業を守り、安心安全を確保し、雇用の維持と事業の継続、市内の消費需要の喚起する取組みなどの支援策について、実情をしっかり把握する中で実施し、国・府に対しても役割にふさわしい財政措置を強く求めることが重要です。
こうした取組みをしっかり進めていただきますよう要望しておきます。