[2019.12.17] -[議会活動]
1.「子育てのまち門真」をめざしたまちづくりについて
(1)子育て世代の流入促進、流出抑制の現状と認識について
宮本市長は、2016年7月の当選直後の第3回定例会で、「本市の人口減少数が、近畿圏で最も高く生産年齢人口の減少と高齢化率の高まりが見込まれる中で、子育て世帯の流入を促すとともに、流出を防ぎバランスのとれた人口構成を実現することが喫緊かつ最重要の課題であるとして、未来へ展望を持てるまちづくりのために子育て・教育に重点的な対策が必要である」と述べ、その後幼児教育・保育の無償化や18歳までのこども医療助成の拡大はじめ、子育て支援施策をすすめてきました。
その効果を測ることは困難な側面もありますが、これまで重点的に進めてきた子育て・教育施策の概要と、その施策に対する子育て世帯の流入促進と流出抑制の現状と評価について答弁を求めます。
(2)待機児童の無い質の高い保育所整備、子育て支援施策の充実について
保育所の待機児の解消と施設の充実をはじめとした質の高い保育所整備は、子育て支援施策大きな柱のひとつです。
待機児童解消については、年度途中においても待機児童がなく、安心して子どもを保育所に預けることのできる環境が出来つつあります。
しかしながら、その質の向上やそのための保育士の確保をはじめ課題は少なくないと考えます。
先日、公立園最適化検討委員会の答申が出されましたが、公立園の役割とその機能が後退するのではないかとの危惧もあります。
現在、保育所の待機児童解消と質の高い保育所整備についてどのように進められているのか、公立園最適化検討委員会答申を踏まえどのように具体化を図ろうとしているのか、答弁を求めます。
合わせて現在進められている子育て支援策の概要と充実の考えについて答弁を求めます。
(3)子どもが安心して遊べる公園整備について
子どもが安心して遊べる公園整備は、子育てのまちづくりに欠かせません。
現在、門真市緑の基本計画の改訂が進められていますが、子育て施設等利用者ヒアリング調査の「今後の門真市の公園において必要な公園」との複数回答可の問いに対し、68.8%が「子どもが安心して遊べる公園」と答え、二番目の「歩いて行ける身近な公園」の29.7%を大きく引き離しています。
また、公園利用者ヒアリング・モニタリング調査の「公園の改善点と要望」では、ブランコや鉄棒の設置等遊具が16.1%、トイレの設置や洋式化が15.9%、ベンチや街灯の設置等が14.6%と続きます。
こうした調査結果も踏まえ、「子どもが安心して遊べる公園」の現状と今後の公園整備の考えについて答弁を求めます。
(4)こどもの未来応援ネットワーク事業、中学校給食はじめ、市の子育て支援施策をアピールすることについて
「子育てのまち門真」をめざしたまちづくりをすすめながら、その施策を市内外にアピールすることが重要となります。
本定例会には、「入院時食事療養費」をこども医療費助成の対象から除外する条例改正や35人学級を事実上廃止する条例改正が提案され、残念ながら可決されましたが、本市の子育て・教育に関する姿勢にについて、市内外にマイナスのアピールをするものとして極めて残念なことだと言わざるを得ません。
また、こどもの未来応援ネットワーク事業や中学校給食をはじめ、市内外に積極的にアピールできる施策が少なくないにもかかわらず、あまり知られていないのではと感じる面もあります。
子どもの未来応援ネットワーク事業では、応援団員が1,200名を超えていますが、その活動が地域であまり知られていない状況が見受けられます。登録いただいた応援団員のみなさんの思いがしっかり伝わるような働きかけが必要だと考えます。
中学校給食は、自校調理で府下でも進んだ内容となっていますが、先の決算特別委員会でも指摘しましたが、シティプロモーション推進事業のアンケート項目に入っていませんでした。門真市民の皆さんは、中学校給食は当たり前と思っておられますし、他市のみなさんにはあまり知られていないのではないでしょうか。
以上についての認識と改善に対する考え、他の子育て支援施策も含め市内外に積極的にアピールしていくことについて答弁を求めます。
新年度から第6次総合計画がスタートします。
「子育てするなら門真」、「子育てのまち門真」と呼ばれるようなまちづくりをすすめていくことが求められると考えますが、第6次総合計画に基づきどのように進めていこうとしているのか、答弁を求めます。
【答弁】
まず、子育て世代の流入促進、流出抑制の現状と認識についてでありますが、重点的に進めてきた子育て・教育施策の主なものにつきましては、これまで幼児教育・保育療育の利用者負担の無償化をはじめ、待機児童解消に向けた保育定員や子ども医療費助成、中学生放課後学習支援Kadoma塾など各種施策の拡充に組んできたところでございます。
施策に対する子育て世帯の流入促進と流出抑制の現状と評価につきましては、0歳から5歳において平成26年度から5年間で約1,000人減少しており、平成29年度においても、0~9歳の子どもと20~44歳の親世代の転出が依然として多い状況であります。
これらの状況を踏まえ、引き続き、さまざまな角度から対策に取り組む必要があると考えており、特に若い世代・子育て世代の定住促進をはかるためにも、安心して出産・子育てができる環境のさらなる充実が必要であると考えております。
次に、子どもの未来応援ネットワーク事業、中学校給食初め、市の子育て支援施策をアピールすることについてであります。
従前より、情報発信の重要性は認識しており、とりわけ市として重点的に取り組んでいる子育て世帯に向けた施策につきましては、積極的な発信に努めております。
広報かどまでは、平成30年12月号での子育て支援や31年3月号での子育て世代包括支援センター「ひよこテラス」の特集、平成31年3月から開始した動画配信「門真こどもの未来応援チャンネル」では、子どもの未来応援ネットワーク事業や学校給食を特集するなど、市内外に子育て支援に関する取り組みを積極的に発信しているところであります。
また、報道機関への情報提供にも精力的に努めたことにより、子どもの未来応援ネットワーク事業が全国紙で取り上げられるなど、一定の成果があったものと考えております。一方で、平成30年度実施の市外在住者へのアンケート結果では、これら子育て施策への関心は高いものの、残念ながらいまだ十分に知られていないという結果がでております。
現在、本市のシティプロモーションの指針となる「シティプロモーション基本方針」策定に向け、各部局の若手職員を中心に構成するプロジェクトチーム会議で、議員ご指摘の中学校給食なども含めて本市の魅力をあらためて確認し、どのように市内外へ伝えていくか検討を進めております。
今後につきましても、引き続き魅力発信への全庁的な意識の醸成に努めるとともに、積極的な情報発信に努めてまいります。
次に、第6次総合計画に基づきこれらまちづくりをどのように進めていこうとしているのかについてであります。
基本構想において、まちづくりの基本目標に「出産・子育てがしやすく、子どもがたくましく育つまちの実現」を掲げており、基本計画においても子育て、教育、健康管理分野それぞれの基本施策でめざすべき方向性を定めております。
さらに実施方針においても、子どもを真ん中においた子育て・教育への積極的な取組を進めてまいることとしております。
次に、待機児童のない質の高い保育所整備、子育て支援施策の充実についてであります。
まず、待機児童解消につきましては、これまで「子ども・子育て支援事業計画」に基づき、計画的に保育所等を整備し、今年度新たに230名の保育定員の拡充を行ってまいりました。
その結果、12月1日時点の速報値で比較すると、昨年同時期に163名であった待機児童が、今年は1人となっているなど、年度途中の待機児童の解消に成果がみられてきております。
引き続き、就学前児童人口数の推移を見ながら年度途中における待機児童解消に向け努めてまいります。
次に、質の高い保育所整備についてであります。
これまでも保育所や小規模保育事業所、また認可外保育施設を含め、年1回の指導監査等を実施し、保育の質を確保するとともに、児童の安全確保を図っているところであり、人的充実につきましても、指導監査をはじめ様々な機会に、補助金の活用を促しながら、有資格者の確保について働きかけてまいりたいと考えております。
また、保育士の資質向上を図るため、教育・保育の総合的な指針として策定した「就学前教育・保育共通カリキュラム」の市内施設への普及に努めるとともに、本市が主催する研修や大阪府をはじめ関係機関が開催する研修への受講を促す等施設職員のスキル向上を図っているところであります。
このような中、去る12月2日に門真市公立園最適化検討委員会より公立園の今後のあり方についての答申をいただきました。本答申を踏まえ、年度内に庁内会議等を経て、市としての公立園のあり方を示す基本方針を策定してまいりたいと考えております。
答申の中では、公立園の役割として、就学前教育・保育共通カリキュラムに基づく教育・保育の先導的な役割、地域子育て支援を実施する拠点の1つとしての役割、適切な対応や配慮を必要とする障がい児保育等を充実させるための先導的な役割等のご意見を頂いております。
また、保育の質の向上につきましては、「就学前教育・保育共通カリキュラム」の更なる浸透への取組みや公立園が私立園に先んじて小学校や様々な施設との交流を進め、全ての施設が積極的な交流が行えるような環境作りを進めてほしいなどのご意見をいただいております。
本答申や議会からいただいたご意見等を踏まえ、今後も公立園の役割や機能が後退しないよう、また保育の質がさらに充実するよう取り組み、将来の門真を担う子どもたちが健やかに成長できる環境の実現に努めてまいりたいと考えております。
最後に、子育て支援施策の概要と充実についてであります。
本市では、これまで国や他市に先駆けての「幼児教育・保育・療育の無償化」や「こども医療費助成の18歳までの拡充」、本市独自の「保育士等確保事業」や「放課後児童クラブの時間延長」の実施、また「子育て世代包括支援センター」の開設等、様々な子育て支援策を展開してまいりました。
今後におきましても、今年度末に策定予定の「第2期子ども・子育て支援事業計画」等に基づき、ひとり親支援や、病児・病後児保育事業のさらなる充実、また乳幼児家庭の教育力の向上等の様々な課題に取り組み、このまちで子どもを産み育てたいと感じられるよう、子育てがしやすい環境のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、子どもが安心して遊べる公園整備についてであります。
まず、本市の公園の現状につきましては、都市公園が65箇所、その他、児童遊園等が99箇所の計164箇所あり、そのうち、ブランコや鉄棒などが135箇所、ベンチは145箇所、トイレは3箇所設置している公園があります。
次に、今後の公園整備の考えについてでありますが、既存の公園の老朽化した遊具につきましては、現在策定中の公園施設長寿命化計画に基づき補修や更新を行うなど、引き続き適切な維持管理行ってまいります。
また、新たに公園を設置する場合や大規模に改修を行う際には、植栽帯や施設の配置を検討し、子どもが安心して遊べる公園整備に努めてまいりますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。
【意見表明】
答弁では、0歳から5歳児がこの5年間で約1,000人減少しているとありました。
宮本市長となって、これまで様々な子育て・教育施策をすすめてきましたが、残念ながら減少率もその以前と比べ歯止めがかかっていない状況ともなっています。
子育て世帯の流入促進と流出抑制は、どの世帯も住みやすいまちづくりをすすめ、さらに「子育てするなら門真」と呼ばれるような施策を地道に進めていくことが求められています。
残念ながら、今議会で議決された35人学級の事実上の廃止、こどもの医療費助成制度の後退は、討論でも指摘しましたが、市内外にマイナスのメッセージを発信し、これまでの地道な努力による成果を損なうものです。
対象から除外された入院時食事療養費を元に戻すことをはじめ、一部負担に対する補助で子どもの医療費を無料化するなどの制度の充実、35人学級の復活と拡充を強く求めます。
2.公文書管理条例の制定について
(1)公文書管理の現状について
公文書とは、公文書等の管理に関する法律の目的において、「国及び独立行政法人等の諸活動や歴史的事実の記録」と規定され、「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源として、主権者である国民が主体的に利用し得るものである」とし、「国民主権の理念にのっとり、公文書等の管理に関する基本的事項を定めること等により、行政文書等の適正な管理、歴史公文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するその諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにする」ことが明確に書かれています。
9日に閉会した臨時国会では、安倍首相主催の「桜を見る会」が後援会行事として私物化されていたこと、そして招待者名簿が処分され、公文書も私物化されていたことが大問題となりました。
招待状や受付票がマルチ商法の宣伝材料に使われ、反社会的勢力が招待されていたことも合わせて、年明けの通常国会でも安倍首相の説明責任が厳しく問われることになると思いますが、森友・加計学園問題で問題となった公文書管理の在り方について改めてクローズアップされてきました。
公文書管理については、地方自治体についてもその重要性は変わることなく、公文書等の管理に関する法律第34条において「地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、その保有する文書の適正な管理に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施するよう努めなければならない。」とされています。
本市においては、「文書の管理について必要な事項を定めることにより、事務処理の適正化及び事務能率の向上を図る」ことを目的とした「門真市文書管理規定」にもとづき、その事務が行われていますが、①文書の定義、②文書管理の方法、③保存年限、④文書管理に関する職員研修等の状況、⑤文書管理に関する課題について答弁を求めます。
(2)わずか2ヶ月で破棄できるとしたサウンディング型市場調査「提案書」について
公文書に関する取扱いについて、法や条例、規則に基づいて行われているのか疑問に感じる事案が先の総務建設常任委員会の質疑で明らかとなりました。
それは、「門真市旧第一中学校跡地整備活用に関するサウンディング型市場調査」における実施要領に関する問題です。
このサウンディング型市場調査は、本市の「まちのコンセプトとターゲット」に実現に向け、事業者が有する先端技術やPRポイント等を踏まえた特徴ある持続可能な導入サービスの提案を「提案書」として求めるもので、実施要領には、提案内容及び対話の内容に申込者の個別の治験・ノウハウが含まれていることから「知的財産」として取扱方針が定められています。
取扱方針では、提案書や対話に係る著作権等は申込者に帰属し、門真市情報公開条例第6条2号の不開示情報に当たるとして不開示とすることを規定し、ただし、開示請求があった場合に申込者が開示することを承諾した場合には、この限りではないと開示情報として取扱われる場合もあることを規定しています。
しかし、提案書については、令和2年1月以降に、個別に申込者に返却し、申込者が希望しない場合は、本市で破棄することを規定しています。
サウンディング型市場調査の提案書の受付が締め切られたのは先月の11月22日です。そしてその提案書が、場合によっては、開示される可能性があるものも含め、わずか2ヶ月で破棄されるという通常ではありえない規定となっています。
この規定については、公文書等の管理に関する法律、門真市文書管理規定、門真市情報公開条例の趣旨に反すると考えますが、その規定の根拠と合わせて答弁を求めます。
(3)公文書管理条例の制定の考えについて
公文書管理条例の制定については、一昨年3月の第1回定例会において、我が党の亀井あつし議員が条例制定を求め、その後も幾度となくこの問題を取り上げてきました。
公文書管理条例の制定状況については、総務省自治行政局が昨年3月に調査結果を公表していますが、都道府県では47団体中5団体、指定都市では20団体中4団体、市町村では1,605団体中12団体と、残念ながら決して多くはありません。
公文書管理条例制定の意義については、2011年6月17日に発表された地方公共団体公文書管理条例研究会報告書において、①住民自治の主体である「住民」による文書管理を実現するためであること。②住民の権利制限のためには、条例という法形式を用いなければならないこと。③地方公共団体とは異なる法人格を有する団体に対応するためであることが述べられています。
本市においては、先ほど挙げた問題点を改めるためにも、その基本となる公文書管理条例の制定が必要だと考えますが、答弁を求めます。
【答弁】
公文書管理の状況についてであります。
本市におきましては、門真市文書管理規程において、文書の定義については、「職員が職務上その権限に属する事務を処理するため作成し、又は当該事務に関し受け取る書類、図画、写真、フィルム及び電磁的記録をいう」と定め、文書管理の方法につきましては、文書の収受、処理、施行、整理保管、保存、廃棄の基本的な事項を、また、保存年限につきましても文書管理規程内で文書保存年限基準表を参考に決定しております。
次に、文書管理に関する職員研修等の状況につきましては、新人職員研修時をはじめ定期的に公文書の管理について研修を実施しております。
次に文書管理に関する課題につきましては、年々増え続ける紙ベースの公文書を適切に保管できる書庫の確保が課題であると考えております。
次に、公文書管理条例の制定の考えについてでありますが、公文書等の管理に関する法律において地方公共団体の公文書管理について努力義務が定められております。
公文書管理条例の制定は、市民共有の知的財産である公文書の適正な管理及び保存をするための条例との認識を持っており、府内全市町村に公文書に関する調査を実施したところ、条例を制定しているのは大阪市のみでありました。
今後におきましても、適切な公文書の管理について職員研修を実施していくとともに公文書管理条例の制定につきましては、他市の状況等の情報収集に努め調査研究してまいりますのでよろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。
次に、サウンディング型市場調査の提案書についてであります。
サウンディング型市場調査実施要領の作成時におきまして、提案内容及び対話内容の記録については、公文書として開示請求に関する取扱いを明示し、提案書については一時的に預かる文書のため、申込者へ返却する取扱いとすることで知的財産の保護を図ることとしておりました。
しかしながら、後に提案書についても門真市情報公開条例の趣旨から、公文書として取り扱うべきものであるとの認識に至りました。
そのため、門真市文書管理規程により、公文書は少なくとも1年間保管しなければならないことから、申込者に対して市が保管することへの協力を求めてまいります。
【意見表明】
答弁では、サウンディング型市場調査の提案書が、実施要領の取扱方針でわずか2ヶ月で廃棄できる規定が、門真市情報公開条例の趣旨から、公文書として取り扱うべきものとの認識に至り、対応を改めていく考えが示されましたが、今回の担当部署に限らず、公文書に対する認識が不十分であること言えるのではないでしょうか。
こうした課題を解決するためにも公文書管理条例の制定を求めるとともに、「門真市旧第一中学校跡地整備活用に関するサウンディング型市場調査」においては、国土交通省総合政策局が昨年6月に策定した「地方公共団体のサウンディング型市場調査の手引き」に示された、「公平性・透明性の確保」についても留意し、進めていくことを強く求めます。