[2008.9.12] -[門真民報]
2000年度から国は、国民健康保険料を1年以上滞納した世帯に対し、保険証を返還させて医療機関窓口で10割負担となる資格証明書を交付するよう市町村に義務付けました。
厚生労働省が公表した調査によれば、06年6月現在で、資格証明書の発行を受けた「無保険」状態となる世帯数は、全国で35万1270世帯。門真市では556世帯(08年7月現在)にもなっています。
「無保険」状態の主な要因は高い保険料の支払いが出来なくなったためと考えられます。 門真市は、夫婦と子ども2人の年間所得200万円の世帯で国保料は約43万円。(下記表参照)これは所得の2割を超えており非常に重い負担といえます。 80年代以降、国民健康保険事業に対する国庫補助金の負担率の削減が続き、社会保障制度がいかに弱者に冷たいかを最もよく示しているといえます。
資格証明書では、子どもが病気になっても10割負担であるため、高額な医療費となり、受診を控える恐れがあります。「責任がない子どもに犠牲を強いるのはおかしい」と見直しを求める声が上がっている。
また、ほとんどの自治体で子育て支援のため、乳幼児医療費の助成制度を実施しています。しかし「無保険」状態は対象外となっているとみられます。
「無保険」世帯の子どもは、都道府県庁所在地など51都市中20都市に7333人いることが、毎日新聞の全国調査で判明しています。
大阪社会保障推進協議会が大阪府内で国民健康保険証を取り上げられた世帯の子どもの数を調査しました。
調査の結果、大阪府内の無保険の子どもが1848人(乳幼児・小中学生)その内、大阪市748人、東大阪市285人、堺市244人、枚方市130人、寝屋川市120人、茨木市108人、大東市47人、門真市36人と、一方、府内43自治体中、吹田市、富田林市、和泉市など20自治体で子どもがいる世帯への資格証明書発行はゼロであることが分かりました。
同協議会によると、吹田市は、高齢者、子どものいる世帯について、資格証明書は未発行となっています。資格証明書発行も措置審査委員会で滞納世帯の状況について慎重審査し判断している、所得300万円以上に限って発行していることなど、「市民のくらしと命を守る」立場の国保行政であることを報告しています。
日本共産党は資格証明書等発行の見直しを求めてきましたが、厚労省は「ルールに基づき自治体が独自に判断するもの」と頑な返事を繰り返しています。合わせて、「無保険」によって、子どもが医者に罹れなくなることは大問題であり、改善を要求していくものです。
所得額 | 年間保険料 | 府内順位 | 府内平均保険料 |
100万 | 19万3100 | 5番目に高い | 16万8548 |
200万 | 43万3910 | 6番目に高い | 38万3723 |
300万 | 57万8410 | 5番目の高い | 49万9966 |
〇上記の表は、2007年度、大阪府内43市町村の保険料に基づく
8月29日、党市会議員団は、大阪府環境農林水産部環境管理室の担当者から、大阪府が門真市沖町で実施した「大気質調査」について、阿部誠行府会議員とともに聞き取り調査を行いました。
これは、8月8日、第2京阪道路の環境対策について、日本共産党市会議員団と宮本たけし元参院議員がおこなった国土交通省浪速国道事務所との交渉の中で、「府の大気質調査は簡易測定でコメントする立場にない」とバッサリと切り捨てる発言を行った問題で、実施した側の大阪府の認識を聞くために、おこなったものです。
府の担当者は、「門真市の住民から(第2京阪ができる前の)現在の環境の状態を知りたいとの要請を受け、四季調査を行うとともに、終わる度に住民に報告を行った。」
「測定項目も、二酸化窒素、浮遊粒子状物質などについて行ったもので、周辺局と同レベルの濃度であった。」との説明がありました。
冬場について、基準をオーバーした日があるのでは、との点は、「1時間値で基準を超える日はあったが、98%値では基準を満足している」との答でした。
ただ、浪速国道事務所の「簡易測定だから」という認識については、「環境測定は、都道府県の仕事という意味なのか分からないが、四季調査は07年度決算も厳しい財政状況明らかに
公的なものである。測定手法は、一つひとつ十分な精度を持っているもので、2週間・24時間・年4回測定し、合せて常設の周辺の測定局との比較も行った公定法に基づく公的な調査である。」との認識が示されました。
07年度の決算状況がまとまり、財政健全化法に基づく各指標や監査委員の審査意見書と合せ、議会に対し報告が行われました。
07年度の決算状況では、歳入と歳出の差し引き額で約4千9百50万円の黒字となっています。(別表参照)
しかし、積立金の取り崩しが約14億円あり、実質の単年度収支は約13億9千万円の赤字となっており、厳しい財政状況が続いています。
また、国民健康保険事業特別会計では、上昇傾向にあるものの、高い国保料による低い収納率や所得の減少等による市独自の保険料減免(約3億円)によって、単年度赤字分約10億円を一般会計から繰り入れることで、累積赤字約58億円を増やすことなく維持しているという厳しい状況となっています。
財政健全化法に基づく健全化判断比率では、「連結実質赤字比率」が16・63%と「早期健全化基準」の17%を僅かに下回る状況となっています。(別表参照)
他の指標(実質赤字比率、実質比率、将来負担比率)については、審査意見書においても「良好な状態にある」としています。
財政健全化法は、国が地方への関与を強め、「スリムな自治体」づくりをすすめるものです。この間の三位一体改革や地方交付税の削減で、門真市でも歳入減や負担増が押付けられています。
このような状況の中、連結実質赤字比率が早期健全化基準を上回り、「早期健全化団体」の指定を受けることを回避するために、「門真市財政健全化計画」や「第2次門真市行財政改革推進計画」等を策定し、実施に移しています。
党議員団は、8月に国(総務省)に対し、地方への財政措置を強く求めてきました。
今後も市民への負担増やサービス後退、住民合意なしの行革強行を許さない立場で頑張ります。
2007年度決算状況
区分 | 2006年度 | 2007年度 |
1.歳入総額 A |
43,948,594 |
45,353,732 |
2.歳出総額 B |
43,899,557 |
45,304,224 |
3.歳入歳出差引額 C(A-B) |
49,037 |
49,508 |
4.翌年度繰越財源 D |
2,818 |
24,376 |
5.実質収支 E(C-D) |
46,219 |
25,132 |
6.単年度収支 F |
△193,462 |
△21,087 |
7.積立金 G |
129,148 |
30,342 |
8.繰上償還金 H |
- |
- |
9.積立金取崩額 I |
1,750,000 |
1,399,300 |
10.実施単年度収支J(F+G+H-I) |
△1,814,314 |
△1,390,045 |
財政健全化法に基づく各指標
実質赤字比率 | 連結実質赤字比率 | 実質公債費率 | 将来負担比率 | |
算定値 |
- |
16.63 |
8.6 |
128.4 |
早期健全化基準 |
12.00 |
17.00 |
25.0 |
350.0 |
財政再生基準 |
20.00 |
40.00 |
35.0 |
実質収支、資金不足・余剰額 | |
一般会計等 |
25,132 |
国民健康保険事業特別会計 |
△5,854,483 |
老人保健医療事業特別会計 |
△87,600 |
水道事業会計 |
1,375,773 |
公共下水道事業特別会計 |
175,454 |
連結実質赤字額A(上記合計) |
△4,365,724 |
標準財政規模B |
26,249,209 |
連結実質赤字比率A/B(%) |
16.63 |
8月30日、「消費者庁と地方消費行政の充実を求める関西市民大集会」が開催されました。
同集会は、消費者主役の新行政組織全国会議、日本弁護士連合会、大阪弁護士会、兵庫県弁護士会、京都弁護士会の共催で開かれたものです。
内閣官房消費行政一元化準備室審議官の福富光彦さんが、消費者庁設置に関する準備中の法案等の説明がおこなわれました。
意見交換会の中で、消費者生活専門相談員の森順美さんは、身近な地方の消費者センターが少なすぎる現状を示し、地方消費者行政法を策定し、国・都道府県の責務を規定するとともに、消費者センターの設置指針を設ける事等を提言しました。
弁護士の山本雄太さんは、被害防止措置として、事業者等が消費者庁の指示・命令に従わなかった場合の公表制度・罰則を規定する等の提言をしました。
弁護士の二之宮義人さんは、消費者庁が現時点で予定している法律は若干29本で、利息制限法等の移管は、今後の課題となっていると指摘。消費者被害が多発している問題に関する法律の取り扱いを積極的に取り組むこと等の提言をしました。