[2018.12.18] -[議会活動]
1.度重なる災害で改めて重要となった空き家対策について
人口減少も相まって空き家が増えてきています。2013年度総務省による住宅・土地統計調査では空き家は全国で約820万戸にも上っています。総住宅数に占める空家の割合である空家率は13.5%と過去最高となりました。
空家の中でも急がれるのは「放置空き家」の対策です。周辺環境の悪化だけではなく、台風などの災害で倒壊すれば通行人や隣家に被害を与える恐れもあります。対策として2015年5月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行されました。
この特措法では、空き家の定義、所有者や市町村の責務、空家等対策計画、協議会、立入調査、空き家等に関するデータベースの整備などについて定められました。
また、自治体は一定の要件、手続きを行えば、倒壊の恐れのある危険な空き家(特定空き家)を行政代執行で強制的に解体・除却できるようになりました。
空き家問題が社会問題になる中、先日、打越町において、市民の方から近所の空き家が台風21号の被害を受け、今にも倒れてきそうで危険。何とかならないか。と相談を受けました。また、その空き家の4件ほど隣にも空き家があり、そこは玄関に穴が開いており、猫が出入りしている状況となっており、衛生面も心配との声が出されました。
まさに、周辺環境の悪化、災害による倒壊の危険性が門真市内でも起こっています。
今年は地震、台風と災害が相次ぐ中で、こうした市民の声が出され、改めて空き家対策は喫緊の課題であると考えます。
こうした中、今年度は空家等対策計画策定に向けて、空家等対策協議会が2回開催されてきています。
国土交通省によると、今年3月31日現在で、特措法に基づく空家等対策計画は法施行後約3年で全市区町村の約半数(45%)となる774団体が策定し、今年度末には6割を超える1,101団体が策定する見込みとなっているようです。
策定中の空家等対策計画の内容について答弁を求めます。
また、「門真市空家等対策計画(素案)」及び「門真市特定空家等判断基準(案)」については11月1日から30日までパブリックコメントが実施されていましたが、その結果について、どれだけの意見が寄せられたか、どのような意見だったか答弁を求めます。
次に、空き家の現状についてです。
総務省調査によると、大阪府は空き家率では14.8%、空き家戸数は約68万戸で全国2番目に多い状況となり、空き家率、空き家数ともに過去最高となりました。
本市では、平成28年度に「門真市空き家等実態調査」を行っていますが、市内の空き家の状況について答弁を求めます。
次に、除却・利活用についての課題についてです。
空家等対策協議会の中でも除却・利活用について議論がされています。
今年9月27日に開かれた第2回空き家等対策協議会では、ある委員からは「他市ではいらないから空き家になっている。その土地は使いようがないから空き家になっているのに、門真市では狭あいなどが原因で空き家になっているのが多いので、もう少し利活用が工夫次第で出来るんではないかと思う」といった発言や宮本市長も「門真市の場合は長屋が多く、大半は除却するしか仕方がないのかなという感じになるわけで、うまくリノベーションする、要は工夫しないと利活用にはならない、施策誘導していかないことには利活用につながっていかないんだろうなと思いますし、建物の中を改装するだけでは難しく、子育て世代向けにもうちょっと面積を広げるとか必要かと思います」との発言もしています。
除却・利活用に向けて何が課題と考えているか、今後の取組と合わせて答弁を求めます。
【答弁】
策定中の空家等対策計画の内容等についてであります。
門真市空家等対策計画は、本市における空家等対策を効果的かつ効率的に推進するために、空家等の適切な管理や利活用などの方策、特定空家等に対する措置や対処について定めるものであり、空家等対策の基本方針として「発生抑制」「適正管理の促進」「利活用の促進」「除却の促進」を掲げております。
現在、パブリックコメントを実施したところであり、3名の方から計9件の意見があり、主な意見につきましては、空家等対策において、「平坦で建築物を建築しやすい門真市の利点をアピールすること」や「空家対策に積極的に取組んでいる事業者の協議会への参画」などについてご意見を頂いております。
次に、空家の現状につきましては、28年度に、「門真市空き家等実態調査」を実施し、1,423件が空家等と判定され、うち管理不全と判定されたものが122件あり、問題なしと判定されたものは1,020件と約7割でありました。
次に、除却・利活用についての課題についてであります。
除却の課題につきましては、費用の問題や空家等が接道不良や狭小な敷地のため再建築が困難であるなどの課題があることから、本市では空家等も含めた危険家屋等や老朽木造建築物等の除却に対し補助制度を設け、除却を推進するとともに、今後は、狭あい道路や狭小敷地の問題を空家等の除却と併せて解消する施策を検討してまいりたいと考えております。
利活用の課題につきましては、空家等の活用方法がわからない方や所有者が遠方に在住しているため利活用の意識が薄いなど、所有者意識に関する課題や、「借り手、買い手がいない」から活用できないなど流通に関する課題などがあるため、空家等利活用の取組みに関する情報提供や空家等に関する相談窓口を充実するとともに、所有者と希望者のマッチングによる利活用の促進について検討してまいりたいと考えております。
今後の取組みにつきましては、「門真市空家等対策協議会」においてパブリックコメント結果等について協議し、今年度中に計画を策定する予定としており、本計画を踏まえ、空家等に関する対策を総合的かつ計画的に推進してまいりたいと考えておりますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。
2.難聴児(者)支援について
難聴児特別補聴器給付事業の拡充についてです。
昨年度から難聴児特別補聴器給付事業について、対象となる条件が張聴力レベル「41デシベル以上60デシベル未満」から「30デシベル以上60デシベル未満」に、世帯の所得区分では「非課税世帯」「生活保護世帯」から「市民税所得割額46万円未満の世帯」へ拡充となりました。
難聴児をもつ保護者の方から、拡充されたことで補聴器を買い替えることができ、補聴器の性能も昔に比べるとより高性能になっており、子どもが遠くの花火の音が聞こえるようになった、電車の音がこんなにも大きくうるさいものだと知ることができたと話しておられ、親子ともども喜んでおられる様子でした。
ただ、やはり子どもが使うものでもあり、故障による修理費用などの負担は大きいとのことでした。
大阪府下でも修理費用含めて助成している自治体もあります。修理費用など拡充についての考えをお聞かせください。
次に、相談・支援体制の連携強化についてです。
実際に難聴児を持つ保護者の方の話を紹介させていただきたいんですが、8年ほど前の話になりますが、生後7日たたずに聴力に障がいがあると診断を受け、どこの病院へ行けばいいのか、何をしてあげればいいのか、これからどうしていけばいいのか、分からないまま紹介された病院へ検査に行きました。
しかし、大人の難聴と子どもの難聴では取り扱いが異なるため、何が必要か病院から何の案内もされないままただ、検査を繰り返しながら時間だけが経過していくのみでした。
もちろん乳児検診も受けていましたが、発達検査を受けるだけで、療育がどうといった話もなく日々を過ごすだけでした。
何も情報がないままのとき、今まで通っていた病院から「小児難聴のいる先生の病院へ」と紹介され、ようやく補聴器が必要であること、療育が必要であること、などを教えてもらえたようです。
早期の療育が推奨されているのに、このとき子どもは2歳半になっていました。
また、この方の知り合いで補聴器が必要なのにもかかわらず、病院や周囲から何の助けもないまま、小学校中学年になって初めて療育が必要なこと、補聴器が必要なことが発覚した家庭もあるとのことでした。
耳が聞こえない、聞こえづらいために発達が遅れ、知的障害もあるのではないかと疑われていたようです。しかし、実際に補聴器をつけ、要約筆記をつけ、学習していくうちに、しっかり理解できる、知的障害ではないことが分かったようです。
耳の遅れは発達の遅れにつながります。正しい理解無くしては健全な育成の足かせになってしまいます。必要なものは正しい知識と情報です。子どもたちの将来の可能性が潰されるようなことがあってはならない。と話されていました。
障がいを持っているから全てを同じ場所、同じ案内ではなく、それぞれの対応、多岐にわたる案内が必要だと思います。
市内には、どのような相談場所があるのか、手帳が交付されない軽度の方への対応はどうなっているのか、今後の改善の考えも合わせて答弁を求めます。
次に、小さい子どもを連れても受講できるような手話講座の環境づくりについてです。
現在、手話奉仕員養成講座や社会福祉協議会で手話教室などが実施されていますが、時間帯や曜日、ほかの受講者の迷惑にもなるため小さい子ども、赤ちゃんを連れての受講が難しい状況だと聞いています。
手話講座の実施状況と合わせて受講体制の環境整備についても答弁を求めます。
最後に、手話言語、障がい者コミュニケーション条例についてです。
大阪府は昨年、「大阪府言語としての手話の認識の普及及び習得の機会の確保に関する条例」、いわゆる「手話言語条例」を公布・施行しました。
手話は、障害者基本法において「言語」と明確に規定されているにもかかわらず、そのことの認識が普及せず、そのために手話を習得することのできる機会が確保されていません。このような状況を踏まえ、「言語としての手話の認識」や、聴覚に障がいのある方々等の「手話の習得の機会の確保」を目的としたものです。
最近では、手話言語条例に留まらず、手話だけでなく広く障がい者の情報収集、コミュニケーション手段の利用を促進していくことを目的とした「手話言語及び障がい者コミュニケーション条例」が制定されてきております。
保護者の方の話も紹介させていただきながら縷々述べてきましたが、門真市手話言語及び障がい者コミュニケーション条例を制定し、障がいの有無にかかわらず、お互いに一人一人の尊厳、人格、個性を尊重し合うまちづくりをすすめてほしいと思います。
手話言語及び障がい者コミュニケーション条例制定の考えについて答弁を求めます。
【答弁】
まず、難聴児特別補聴器給付事業についてであります。
本市の難聴児特別補聴器給付事業につきましては、府内で先行して実施してきた中で、平成29年度に府の補助事業を活用することにより、対象となる条件について、「30デシベル以上60デシベル未満」に、世帯の所得区分では、「市民税所得割額46万円未満の世帯」に拡充したところであります。
議員ご指摘の修理費や負担額などの更なる拡充につきましては、府及び近隣市の動向を踏まえ、調査研究してまいります。
次に、相談・支援体制の連携強化についてであります。
現在、本市では、障がい児(者)の相談先としては、障がい福祉課のほか、保健福祉センター1階の基幹相談支援センター及び相談支援センタージェイ・エス、京阪電鉄大和田駅前の相談支援事業所あん、こども発達支援センターがございます。
聴覚障がい児の相談は、このうち「あん」を除く4カ所が対応しており、身体障がい者手帳取得対象にならない軽度難聴児にも、同様に相談に対応しております。
軽度難聴児を早期に発見し、適切に療育機関等へ繋ぐためには、健診等を実施する健康増進課や発達に関する相談先のこども発達支援センターとも密な連携が必要であると認識しており、今後につきましても情報の共有とともに、より一層の連携強化に努めてまいりたいと考えております。
次に、小さい子どもを連れても受講できるような手話講座の環境づくりについてであります。
手話奉仕員養成講座は年に通算42回の受講が必要であり、30年度は、12名の市民の方に受講いただいております。
議員ご指摘のとおり、以前、小学生のお子様が保護者と一緒に受講されたことがありますが、幼いお子様を保護者の受講中にお預かりする環境を整えるには、保育場所の確保や保育士の配置など課題が多く、現時点では難しいと考えております。
次に、手話言語、障がい者コミュニケーション条例についてであります。
本市では、29年度に「全国手話言語市区長会」に加入し、手話言語に関する国等の動向に注視しております。また、28年3月制定の大阪府手話言語条例に基づき、本市におきましても手話の学習機会の確保等の環境整備に努めております。
議員お示しの手話言語、障がい者コミュニケーション条例につきましては、大阪府手話言語条例が制定されておりますことから、現時点では本市で制定する予定はございませんが、引き続き、学校教育現場や市民向け講座等において、手話を学習する機会の確保及び障がい者のコミュニケーション手段の確保やその理解及び周知に努め、障がいのある方の社会参加及び自立が促進できるよう努めてまいります。