[2018.9.20] -[議会活動]
5番堀尾晴真でございます。通告に従い、順次質問いたします。
まず、子どもの貧困対策についてです。
厚労省による2015年の国民生活基礎調査の結果、日本の貧困率(相対的貧困率)は15・6%、子どもの貧困率は13・9%で約7人に1人が「貧困ライン」を下回っています。なかでも深刻なのが、ひとり親世帯です。貧困率は50・8%で、主要国で最悪の水準です。
安倍首相は、日本の相対的貧困率が、前回調査(2012年調査)よりわずかに低くなったことを根拠に、「アベノミクスで貧困が改善した」といっています。しかし、相対的貧困率は、全国民の所得の真ん中(中間値)を基準に、その半分しか所得がない人を「貧困層」と定義し、全体に占める割合を示したものです。2012年から2015年の間に数値が変動したのは、中間層の所得が落ち込んだため、「貧困層」にあたる人の割合が見かけ上、少なくなったからで、生活困窮者の所得や生活はなんら改善していません。むしろ、中間層が所得を減らし、貧困層は放置され、国民生活はますます落ち込んでいるのが実態です。
こうした中で、本市においても一昨年の「子どもの生活に関する実態調査」の結果、他市に比べて深刻な実態が改めて浮き彫りになりました。
貧困が世代を超えて連鎖してしまう「貧困の連鎖」を断ち切るために、昨年10月から大阪府のモデル事業として、貧困により支援の必要な子どもやその保護者に寄り添い、地域力も活用しながら支援する「門真市子どもの未来応援ネットワーク事業」が開始されています。
事業実施から約1年が経過する中で、先日事業報告書がまとめられました。
まず、この事業報告書の内容について答弁を求めます。
次に、課題と今後の方向性についてです。
報告書を読むと、地域で子どもの課題発見などの活動を行う「子どもの未来応援団員」が当初目標600名を大きく超え、1000名をこえる応援団員が生まれています。
4中校区では「第四中学校区子どもの未来応援団連絡会」が設立されたり、「みまもりシート」が作成されたりと、試行錯誤しながら支援が必要な子ども・保護者の発見や支援の実施が行われていると思いますが、その一方で団員のあかしとなるバッジの認知度の低さやどういった場合に連絡すればいいのかなど見守り方法の課題も指摘されています。
どのような事が課題と考えるのか、またその改善策について、今後どのように事業を展開していこうと考えているのか答弁を求めます。
次に、ひとり親家庭への支援、家庭児童相談センターの体制強化についてです。
事業報告書の中では、事業開始から寄せられ対応したケースの各事例が紹介されています。
その中での重要なキーワードは「ひとり親家庭」「家庭児童相談所」だと感じました。
先述したように調査の結果、ひとり親家庭の貧困率は50・8%と高くなっており、母子世帯の82・7%が「生活が苦しい」と答えています。「貯蓄がない」と回答した母子世帯は37・6%、全世帯平均14・9%の2・5倍です。
山形大学戸室健作准教授の「近年における都道府県別貧困率の推移について―ワーキングプアを中心に―」という論文では、国の統計データで都道府県別の貧困率を調べたのではなく、各都道府県の最低生活費を算出し、収入が最低生活費を下回る世帯の割合を「貧困率」としていますが、最も貧困率が高いのは沖縄県で29・3%、2位以下は高知県、鹿児島県、大阪府と続いています。
厚労省が2009年度「離婚に関する統計」を発表しており、その中で都道府県別に2008年の協議離婚の割合をみると、最も高いのは沖縄で92・0%となっており、次いで大阪、高知の順となっており、貧困率のランキングとほぼ重なる結果となります。
また、夫婦ともにどの年齢階級も離婚率は上昇傾向で推移しており、夫は19歳以下と20~24歳が交互に最も高くなっており、妻は19歳以下が最も高くなっています。
つまり、夫婦ともに若いうちに離婚している割合が高くなっています。
収入の安定しない若いうちに結婚、出産、離婚を経験することで、ひとり親となり、夫婦共働きと比べて収入も減り、子どもも育てていかなければならない中で、貧困から抜け出せない状況があるのではないかと考えます。
本市においても、若いうちに結婚、出産、離婚を経験し、ひとり親になる家庭が多いという実態があります。
貧困対策を考えたとき、ひとり親家庭に対しての支援は切り離せないものだと考えますが、ひとり親家庭への支援は、どのようになっているのか答弁を求めます。
また、家庭児童相談センターについても今後、未来応援ネットワーク事業、子どもの貧困対策をすすめていくうえで、体制強化が必要になってくると考えます。
一昨年児童相談所が「対応の限界」に来ているという認識のもと、国と都道府県と市町村の役割を明確にすることなどを中心にした、社会保障審議会児童部会「新たな子どもの家庭福祉のあり方に関する専門委員会報告」がまとめられ、その「提言」を経て、児童福祉法が改正されました。
また、今年6月には日本共産党、立憲民主党、国民民主党、無所属の会、自由党、社民党の6野党・会派は、児童福祉司の配置基準を法令化し、政府目標の「人口4万人に1人」から「3万人に1人」へと増やすほか、各児童相談所に1人追加し、虐待対応件数の多い児童相談所にも上乗せするなど、全体で約1200人増員することを柱とした「児童福祉法・児童虐待防止法改正案」を提出しました。
人数を増やすということで問題の解決が図られるものでもありませんが、しっかりと対応していくためにも専門知識を持つ人員の拡充は必要だと考えますが、家庭児童相談センターの相談員の現状と体制強化の考えについて答弁を求めます。
子どもの未来応援ネットワーク事業については、課題解決の検討がすすめられ、家庭児童相談センターについても児童虐待防止を中心に対策強化等も取り組まれているということなので、今後もしっかりと対応していただくよう要望しておきます。
【答弁】
まず、子どもの未来応援ネットワーク事業の報告書の内容についてであります。
同報告書は、事業の概要、門真市での実施状況、学識経験者による全体評価及び各事例紹介という構成となっており、事業の概要では、目的、期待される効果及びモデル事業の体制を記載しております。
実施状況では、3月にまとめた中間報告と同様にケースの対象となる子どもや、応援団員から情報提供があった場合のケースフロー、子どもの未来応援チームの構成員等についてまとめております。
また、応援団員の活動の中で特筆すべきものとして、第四中学校区で「子どもの未来応援団連絡会」が発足し、見守り方法等を検討された結果、「見まもりシート」が作成され、それを全応援団員で共有した例なども掲載しております。
学識経験者による全体評価では、これまで試行錯誤を繰り返し、推進体制や関係機関との連携方法について議論を重ねて改善を繰り返した結果、市民意識の変革、社会の課題としての貧困の認識の醸成、教育と福祉の連携の仕組みの形成及び企業との連携の誕生等の成果が見られたと評価をいただいております。
各事例紹介では、13のケースのこれまでの対応状況等を取りまとめております。
次に、課題と今後の方向性についてであります。
本年7月26日に「応援団員」を対象に事業報告会を開催し、その中で、アンケート調査を実施したところ、「校区担当推進員を含めて応援団員が交流できる取組や場所の設定」、「見守り方法等についての研修会実施」及び「応援団員バッジの知名度向上」等の課題が提起され、また、学識経験者の評価においても様々な取り組みを共有する場の設定が指摘されています。
これらの課題を受け、推進員と応援団員が地域で交流し情報交換ができる機会の創出、応援団員の見守り方法のスキルアップを図る研修等の開催及び応援団バッジの知名度向上を図る周知方法について検討を進めているところでございます。
今後につきましては、1,000人を超える応援団員と子どもの未来応援チームが更に連携を密にし、子ども等のシグナルに対して迅速・効率的な対応ができる体制を整えることに加えて、応援団員を中心に温かい声を掛け合える地域づくりを進めていき、持続的に子どもを見守れる風土を醸成できるよう進めてまいります。
次に、ひとり親家庭への支援についてですが、本市では児童扶養手当の支給や医療費の助成をはじめ、就労支援として、資格取得等を支援する「ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金」や「ひとり親家庭高等職業訓練給付金」等の事業、また、ハローワークへつなぐ「自立支援プログラム策定事業」や女性サポートステーション及び地域就労支援センターによる就労相談などを実施しております。また、大阪府が実施する生活資金貸付制度の窓口として、子ども達の就学に向けた支援を担い、関係機関・団体との連携にも努めるなど、ひとり親家庭の自立にむけた様々な相談に応じるとともに様々な支援を実施しています。
次に、家庭児童相談センターの相談員の現状や体制強化についてですが、平成28年6月に児童福祉法が改正され、29年4月1日から家庭児童相談センターには、社会福祉士等の専門職の配置が義務付けられたほか、訪問等による継続的なソーシャルワーク業務を行う機能を担う拠点の整備等が努力義務として規定されました。
本市におきましては従前より正職員、非常勤職員等ともに専門職を中心とした職員配置としてまいりましたが、同法改正の趣旨も踏まえ、30年度からは専門職の非常勤職員を1名増員し、現在は、正職員4名、非常勤職員6名の10名体制で、児童虐待を中心とした様々なケースに対応しているところでございます。
また、本年6月15日に開催された「児童虐待防止対策に関する関係閣僚会議」の決定をうけ、児童相談所、市町村における職員体制・専門性の強化などの体制強化や関係機関である警察、学校、病院等間の連携強化などを内容とする「児童虐待防止対策の強化に向けた緊急総合対策について」が発出されたほか、市町村の体制強化を盛り込んだ「児童虐待防止対策体制総合強化プラン」が年内に策定されることとなりました。
本市としましても、こうした国の動きをうけ、「未就園児等の緊急把握の実施」や「転出児童の情報共有のさらなる徹底」などに新たに取り組んでいるところでありますが、今後も引き続き、国の動向を常に注視ししながら、体制の強化、取り組みのさらなる充実に努めてまいりたいと考えておりますので、
よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。
次に、生活保護についてです。
エアコン設置に係る家具什器費の見直しの概要、周知についてです。
今年6月27日に一時扶助における家具什器の見直しという通知が出され、家具什器費の対象に冷房器具が追加されました。
これまで、エアコン(冷房機)の設置には社会福祉協議会の「生活福祉金」の貸付制度の利用しかありませんでした。
貸付であるため返済する必要があり、「最低限度の生活」を脅かす可能性もあります。また、貯蓄を行い、購入・設置することは認められていますが、2013年の生活保護基準の切り下げ、今年10月からの更なる切り下げによって、「最低限度の生活」が切り下げられ、食事を切り詰めるなど毎日の生活をぎりぎりの状態ですごしており、とても貯蓄を行っていく余裕はありません。
そうした中で、今回の通知でようやくエアコン代が支給されることになりますが、対象となる世帯や金額など家具什器費の見直しの内容について答弁を求めます。
また、その内容の周知についてですが、相談員はもちろん、ケースワーカーなど職員が見直しの内容について把握し、しっかりと説明を行わなければなりません。
職員に対する周知状況、保護利用者に対する説明は適切に行われているのか答弁を求めます。
次に、エアコンの設置・利用の実態把握の有無と状況についてです。
今年の夏は、連日の猛暑に襲われ、昨日よりも今日、今日よりも明日暑くなるといった異常な暑さが続き、ニュースでも連日「今年一番の暑さ」「記録的な暑さ」「観測史上初めて」などと報道し、十分な注意を呼びかけていました。
埼玉県熊谷市では41・1度を記録し、国内の観測史上最高気温を5年ぶりに更新、東京都内、岐阜県などでも40度を超える酷暑日が記録されました。
本市においても連日35度以上の猛暑日を記録し、38度まで上がる日もありました。
7月23日には、気象庁が異例の緊急会見を行い、「1つの災害と認識している」との見解を示し、「長期的にみると地球温暖化の影響が表れてきている」と説明しました。
「躊躇なくエアコンの利用を」といった呼びかけなど十分な熱中症対策が言われ、まさに、エアコンのあるなしが命に関わる状況です。
毎年夏に行われている大阪社会保障推進協議会による自治体キャラバンにおいて、エアコンの設置状況について実態把握をして欲しいといった意見が出され、「実態把握はしている」と回答していましたが、改めて実態把握は行われたのか、その結果エアコン設置状況はどうであったのか答弁を求めます。
また、家具什器費が見直された後の利用実績についてもあわせて答弁を求めます。
次に、見直し以前からエアコンが設置されていない世帯への対応についてです。
家具什器費の見直しによりエアコンの購入・保有を認め、費用も出すことは歓迎されるものですが、前年度以前からの生活保護受給者や電気代は切り下げが重ねられた保護費からのやりくりで支払うしかないなど問題も数多く残っているのが現状で、独自補助を行う自治体も出てきています。
福島県相馬市は7月9日、市内在住の生活保護世帯と65歳以上の高齢者がいる住民税非課税世帯を対象にエアコンの購入・設置費を独自に補助すると発表しました。
相馬市は「新規だけを対象にするのは制度の不備」として独自の拡充を決めたようです。同様の補助は荒川区でも高齢者世帯、障がい者や要介護4以上の人がいる世帯、就学前の子どもがいる世帯に5万円を上限に独自に助成するなど行っているようです。
見直し以前からエアコンが設置されていない世帯への対応はどのようになっているか答弁を求めます。
また、エアコンがあったとしても、電気代を気にして使っていないといった世帯も少なくありません。
電気代などの心配なくエアコンを使用できるようには、夏季加算の創設が必要だと考えますが答弁を求めます。
【答弁】
エアコン設置に係る家具什器費の見直しの概要についてでありますが、近年、熱中症による健康被害が数多く報告されていることを踏まえ、平成30年7月1日より、新たに冷房器具の購入に必要な費用が支給対象に加えられ、保護開始時や転居の場合など、冷房器具の持ち合わせがない世帯に対し、上限50,000円の範囲内で支給できることとなりました。
また、設置費用が別途必要で真にやむを得ない場合は、必要な最小限度の額を支給できることとされております。
なお、30年4月1日から6月30日までの間で支給要件に該当する世帯のうち、7月1日時点において、冷房器具の持ち合わせがない世帯についても、支給対象として差し支えないとされております。
周知につきましては、対象世帯に対し、保護開始時や転居の訪問時等に状況の確認を行い、未設置の場合は支給できることを説明しております。
なお、周知するに先がけ、従事する職員へは資料配布及び概要の説明を行うなど情報共有してまいりました。
次に、エアコンの設置・利用の実態把握の有無と状況についてでありますが、保護受給全世帯の設置状況の把握につきましては、訪問時等に確認しております。
また、家具什器費が見直された後の利用実績につきましては、すでに保有されている、または、すでに住居に備え付けられている場合もあり、新たに8月末までに設置・利用された世帯は新規開始時2世帯、転居時6世帯となっております。
次に、見直し以前からエアコンが設置されていない世帯への対応についてでありますが、従来どおり、生活費のやり繰りによって賄っていただくか、大阪府社会福祉協議会が実施している「生活福祉資金」の貸付制度の説明を行っており、同制度につきましては、8月末現在、26世帯が利用されております。
今後、支給対象外の世帯及び「夏季加算」等につきましては、制度改正等国の動向に注視してまいりたいと考えております。
無電柱化についてです。
昨年9月議会においても無電柱化について質問させていただきました。
今年の8月25日、たつみコータロー参議院議員とともに国道163号の歩道の状況について昨年に続き、現地調査を行いました。
やはり、通行の妨げとなり危険な電柱となっており、早期の無電柱化が望まれています。
台風21号による影響で、近畿6府県で800本を超える電柱が折れるなどの被害を受けたとの報道もありました。
コスト等の問題もありますが、こうした災害に対しても無電柱化は有効だと考えます。
昨年質問した時点では、大阪府が無電柱化推進計画の策定に着手しているとの答弁でしたが、その後、今年の3月に大阪府無電柱化推進計画が策定されていますが、その内容について答弁を求めます。
あわせて、門真市無電柱化推進計画策定など、無電柱化を進める考えについて答弁を求めます。
【答弁】
まず、大阪府無電柱化推進計画の内容についてでありますが、平成30年3月に、大阪府が今後10年間を計画期間として、優先的に取り組む箇所の考え方や課題解決に向けた方策など無電柱化推進に関する方針をとりまとめたものであり、具体的な箇所は示されておりません。
次に、本市の無電柱化推進の考えについてでありますが、本市の多くの道路は幅員が狭いため、都市防災の向上や安全で快適な通行空間の確保につながるなど、無電柱化は有効な事業と考えております。
しかしながら、無電柱化事業には、本市と電柱管理者などの役割分担に応じて、本市も多額の費用が必要となることから、無電柱化事業の情報共有などを目的とした大阪府無電柱化地方部会「市町村部会」を活用するなど、本市の状況に応じた無電柱化の推進について、引き続き調査研究してまいりますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。