• HOME
  • 門真民報
  • 議会活動
  • 政策・提言
  • 新着情報
  • お知らせ
  • こんにちは。門真市会議員団です。

    2017年12月議会 ほりお晴真議員の一般質問・答弁

    [2017.12.19] -[議会活動]

     

    1.自分らしさを育む教育について

     先に、校則、生徒指導について質問します。

     今年9月、生まれつき茶色い髪を黒く染めるよう何度も指導され、精神的苦痛を受けたとして、府立高校に通う女子生徒が府に対し慰謝料など約220万円の損害賠償を求める訴状を大阪地裁に提出し、第1回目の口頭弁論が10月27日に開かれました。

     生徒の母親は入学時に髪が生まれつき茶色いことを学校側に説明し、黒染めを強要しないよう求めていました。しかし、学校側は「ルールだから」と、写真撮影日など入学式の前から黒染めを強要し、色が戻るたびに染め直すよう指示されました。昨年9月には「頭髪指導に従えないなら授業は受けられない。黒染めするか、学校をやめるか選べ」などと迫り、同年10月の修学旅行への参加も認められず、名簿から生徒の氏名も削除され、度重なる頭髪指導にストレスは限界に達し、不登校が続いている状態だと報じられています。

     訴状の中で「地毛が茶色いだけでなぜ責められ続けるの」と家族に語ったことや「黒染めをしなかったら学校に通えない、大学に進学できないと思った」と当時の心境を語っています。

     一定のルール、決まりごとはあってしかるべきで、個人の尊厳を守るためにも存在するものだと考えますが、理由がわからない校則やルールによる不当な抑圧や排除、行き過ぎた指導は到底教育と呼べるようなものではありません。

     学校のルールの中には「校則」として明示されているもの以外にも、教師の裁量や慣習として機能しているルールも存在します。

     実際、今回の黒染め強要指導も校則には明記されておらず、学校のルールとして指導が行われていました。

     この問題は府立高校で起こったものですが、校則や校内でのルールは小学校、中学校でも存在し、本市でも起こり得る問題です。

     そこで質問ですが、そもそも校則はどのように決められ、どのような場合に生徒指導が行われるのか答弁を求めます。

     こうした問題が起こった後、「ポニーテール禁止」「日焼け止め禁止」「白の下着以外禁止」などといった合理性や必要性の説明もつかないような校則、生徒たちが理不尽と感じる校則が「ブラック校則」と呼ばれ、テレビやネットで取り上げられています。

     一方的な押し付け、強要では教育的な効果は発揮できないどころか、反発したくなる心情にも陥ります。

     「児童の権利に関する条約」いわゆる子どもの権利条約を日本は1994年に批准し、20年以上が経過しています。

     子どもの権利条約とは、子どもの基本的人権を国際的に保障するために定められた条約で、18歳未満を「児童(子ども)」と定義し、国際人権規約が定める基本的人権を、その生存、成長、発達の過程で特別な保護と援助を必要とする子どもの視点から詳説しています。

     前文と本文54条からなり、子どもの生存、発達、保護、参加という包括的な権利を実現・確保するために必要となる具体的な事項を規定しています。

     子どもの権利条約第121項では「締約国は、自己の意見を形成する能力のある児童がその児童に影響を及ぼすすべての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する。この場合において、児童の意見は、その児童の年齢及び成熟度に従って相応に考慮されるものとする。」と規定し、2項では.「このため、児童は、特に、自己に影響を及ぼすあらゆる司法上及び行政上の手続において、国内法の手続規則に合致する方法により直接に又は代理人若しくは適当な団体を通じて聴取される機会を与えられる。」と規定されています。

     つまり、「自分に関するすべてのことがら」について子どもが意見を表明することやそれを十分に聞く場を設け権利を保障することを求めています。

     校則について児童・生徒自らが参加し、見直していくことで子どもたちの自主的な力も育まれていくものと考えます。

     自ら理解し、納得できる校則にしていくために、児童・生徒が参加し意見も取り入れながら実態に即したものにすべきですが、市の考えについて答弁を求めます。

     今回の黒染め強要の指導は個性を否定する指導であり、人格を否定するものです。

     文科省の生徒指導提要第1章第1節では生徒指導の意義と課題が定められ、「生徒指導とは、一人ひとりの児童生徒の人格を尊重し、個性の伸長を図りながら、社会的資質や行動力を高めることを目指して行われる教育活動のことです」と明記されています。

     今回の問題が起こった高校は生徒に入学当初12週間ごと、翌年は4日ごとに黒染めを指導し、生徒は頭皮のかぶれなどを起こしたと報じられています。

     頭髪や服装などのライフスタイルが個人の自由に属することは憲法13条の中で個人の尊厳、自由・幸福追求の権利として保障されています。

     また、子どもの権利条約16条にも「いかなる児童も、その私生活、家族、住居若しくは通信に対して恣意的に若しくは不法に干渉され又は名誉及び信用を不法に攻撃されない」と定めています。

     憲法、子どもの権利条約、生徒指導提要に照らしても、このような指導はあってはならないものだと思いますが、市の認識について答弁を求めます。また、本市において黒染め強要指導と同様の指導がされていないか、生徒指導に対してこれまでどのような対応をとってきたか合わせて答弁を求めます。

     この間セクシャルマイノリティについて質問をしてきて、多様性を認め合える社会、教育を求めてきました。

     今回の問題でも生まれ持った個性を認める、自分らしさを育む教育が必要だと考えます。

     「子どもの権利条約 市民・NGO報告書をつくる会」事務局長で新潟大学准教授の世取山洋介氏は「頭髪は服装以上に個人の自由に属するもの。地毛を黒染めさせたとすれば、深刻な人権侵害。子どもの尊厳や事情に配慮しない懲戒は、子どもの権利条約にも反する」と指摘しています。

     また、世取山准教授は、人権侵害ともいえる指導の背景には「ゼロトレランス(寛容度ゼロ)」政策があると指摘し、「学力テストに象徴されるような競争的秩序を守るためには、子どもの事情に応じた指導は許さない。はみ出すものを排除するなど寛容性のない指導法」と説明しており、「機械的に子どもに罰を与えることは危険。教師は行為を批判しているだけだと思っていても、子どもは人格を否定されていると感じる」と指摘しています。

     生まれ持った個性、自分らしさ、アイデンティティーを認め合える教育を実施していく必要があると思いますが、市の考えについてお聞かせください。

     

    答弁】

     校則とはどのように決められ、どのような場合に生徒指導が行われるのかについてであります。

     門真市内の小・中学校においては、「学校生活のきまり」や「生徒心得」等、校則にあたるものが定められております。各学校において生徒指導担当の教員等を中心として、子どもの実態を踏まえ作成しております。

     校則に違反するような言動に対しては、その都度教員が指導しておりますが、必ず本人の了解の上で是正を促し、必要に応じて保護者にも連絡し協力を得るような体制で指導を行っております。

     校則を生徒の意見も取り入れながら実態に即したものにすべきだということについてであります。

    校則は、毎年教員による見直しを行っており、より現状に即したものとなるよう、必要に応じて生徒会等の意見も聞きながら随時改正しております。

     人格を否定するような指導についての市としての見解と、頭髪指導についてこれまでどのような対応をとってきたかについてであります。

     教育委員会といたしましても、一般的に子どもの人格を否定するような指導はあってはならないものと認識しております。

     次に頭髪指導についてでありますが、各中学校の生徒手帳に望ましい髪型や、染色・脱色・変形・パーマ等の禁止について記載しております。故意に染色等を行って登校した場合は、元の色に戻すよう指導を行いますが、地毛が茶色等の生徒についての黒染めは強要しておらず、生徒指導を行う際には、児童・生徒の人権を大切にする観点を持って指導をおこなっております。

     生まれ持った個性、自分らしさ、アイデンティティーを認め合える教育を実施していく必要があると思うがどうかについてであります。

     教育委員会といたしましては、26年度に「門真市生徒指導のあり方懇談会」を開催し、市内の小中学校の教員や学識経験者と協議を重ね、全ての児童生徒の自己実現にむけて、自己指導能力を育成し、社会性を身に付けさせることを目的とする「門真市開発的生徒指導」を打ち出しました。

    これに基づき、各小中学校において、お互いを認め合い個性が尊重される集団づくりを基盤として、子どもたちが自分らしさを発揮しながら、自己実現できるような生徒指導の観点を大切にした教育活動を行っております。

     

     

    2.教職員の多忙化の解消について

     文部科学省は昨年10月から11月、全国の公立小中学校各400校の教員を対象に連続7日間の勤務状況などを尋ね、小学校397校の8951人、中学校399校の1687人から回答を得た勤務実態調査を行いました。

     この調査により、中学校教諭の1週間当たりの平均勤務時間は63時間18分で、10年前より5時間12分増えたことがわかり、「過労死ライン」に達する週20時間以上の残業をした教諭が6割近くを占めたと報道され、小学校も含め、校長や教頭などすべての職種で勤務時間が増えており、「教員の多忙化」が進んでいることが改めて浮き彫りになりました。

     調査によると平日1日あたりの勤務時間は小学校教諭で前回調査から43分増の11時間15分、中学校教諭で同32分増の11時間32分です。管理職では副校長・教頭が小中学校とも12時間を超えています。

     多数の教員が過労死ラインをこえる勤務を強いられている現状は異常といわなければなりません。過労死や過労自殺もたびたび起きており、多くの教員が健康を害し、命を脅かされるほど働かされている異常な長時間労働の現状は、大きな社会問題になっています。

     本市では教職員の勤務実態をどのように把握しており、勤務実態の現状はどのようになっているか答弁を求めます。

     教員の多忙化が解消されない背景には、勤務実態を正確に把握していないことも要因の一つだと考えます。

     公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(給特法)第32項では教育職員については、「時間外勤務手当及び休日勤務手当は、支給しない」と定められており、その代わりに給料月額の4%分を教職調整額として支給されています。

     そして、公立の義務教育諸学校等の教育職員を正規の勤務時間を超えて勤務させる場合等の基準を定める政令では「教育職員に対し時間外勤務を命ずる場合は、次に掲げる業務に従事する場合であって臨時又は緊急のやむを得ない必要があるときに限るものとすること」と明記され、「校外実習その他生徒の実習に関する業務」、「修学旅行その他学校の行事に関する業務」、「職員会議に関する業務」、「非常災害の場合、児童又は生徒の指導に関し緊急の措置を必要とする場合その他やむを得ない場合に必要な業務」以外の業務については時間外勤務が想定されていないため、時間外勤務を把握する必要がないといった規定になっているわけです。

     しかし、実際には夜遅くまで働いており、現場の先生からも「本当に忙しくて大変」といった悲痛な声が聞かれます。

     長時間労働の是正のためにはまずは、勤務実態を正確に把握する必要があります。

     労働管理システムの導入など客観的に勤務時間の把握をすることが大前提だと思いますが市の考えについて答弁を求めます。

     文科省は毎年、公立学校教員の人事行政について調査を行い、2015年度の調査では、うつ病などの精神疾患による病気休職者は5009人となっており、全教員の0.54%にのぼることが発表されています。20年ほど前から増加しており、2007年度以降5000人前後で高止まりが続いている状況です。

     在職者に占める割合を学校別でみると、小学校2,237人で0.55%、中学校が1,524人で0.64%、高校683人で0.37%、特別支援学校560人で0.66%、中等教育学校5人で0.30%となっています。

     こうした状況の背景にも、一向に改善されない教員の多忙化があります。経済協力開発機構(OECD)の2013年の国際調査によると、日本の中学校教員の1週間の仕事時間は参加国で最長となっており、日本の中学校教員は世界で一番忙しいといった状況です。

     こうした教員の長時間労働、ストレスによる体の不調は子どもたちの教育にも深刻な影響を及ぼします。

     子どもの話にじっくり耳を傾けることや授業の準備もままならないなど子どもたち一人ひとりに寄り添った教育ができなくなってしまいます。

     調査で出ている人数は「氷山の一角」であると思いますし、休職には至っていない「予備軍」も相当数いることは容易に想像できます。

     埼玉県川口市では教員のメンタルヘルスカウンセラーを配置し、各校への定期的な巡回訪問、教職員からの要請による個別面談を通じて教職員のメンタルヘルスケアに対応しているようです。

     巡回訪問は、管理職への助言や相談を通して、教職員の健康を守る風通しのよい職場環境をつくることを狙いとし、個別面談は、メンタルの不調を訴える教職員やその予備軍に対し、迅速に個別対応をすることで、病休・休職を未然に防ぐことを目的としています。

     本市のストレスチェック、メンタルヘルスケアの対応はどのようになっているか、復職を支援するための取り組み状況についても合わせて答弁を求めます。

     教員の多忙化の状況は縷々述べさせていただきました。

     2012年度に門真市では学力向上対策委員会で学力向上についてですが、7回にわたって議論が行われていました。この中で委員から学力向上支援員について「授業の研究や復習、丸つけ、やらないといけない業務を短縮してできるというところは大きです。ぜひこの加配は継続・充実させていただきたいと思っています」また別の委員からは「裏側で、学校の図書館を充実させた方がいいと思います」といった意見も出されています。

     来年4月からは学習指導要領が変わり、道徳の教科化やプログラミング教育、小学校34年生に外国語活動の導入に加えて、年間の総授業時間増など教員、児童・生徒をめぐる状況は変化していっています。

     教員の重要な仕事は「授業」であり、年間の総授業時間が増えるとなると、授業準備の時間も増やさないとなりません。

     北海道教育大学、愛知教育大学、東京学芸大学、大阪教育大学の4大学による共同調査研究として、全国の公立校を対象に2015年に実施された「教員の仕事と意識に関する調査」によると、仕事上の悩みや不満10項目のうち、最もその数値が高かったのは、小中高いずれにおいても「授業の準備をする時間が足りない」といった結果でした。

     ベネッセが2016年に全国の公私立校を対象にした「第6回学習指導基本調査」でも仕事上の悩み12項目のうち、小中において最も数値が高かったのは「教材準備の時間が十分に取れない」でした。

     市内の校長先生にも話を伺うと、やはり「授業をしっかり行うためには授業準備が必要。しかし、本当に忙しく、みんな大変な思いで働いている」といった話を聞きました。

     中央教育審議会では「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」が取りまとめられ、答申で「『主体的・対話的で深い学び』を実現するための授業改善や教材研究、学習評価の充実、子ども一人ひとりの学びを充実させるための少人数によるきめ細かな指導の充実など、次期学習指導要領等における指導や業務のあり方に対応するため、必要な教職員定数の拡充を図ることが求められる」とされています。

     ゆとりを持って子どもたち一人ひとりに寄り添った教育をしていくために教員の数を大幅に増やすことや少人数学級(35人学級)の全学年での実施などが必要になってきます。しかし、国では35人学級は小学校1年生、大阪府は小学校12年生となっています。

     教員のいのち、健康のためにも、子どもの教育のためにも多忙化の解消は喫緊の課題と考えますが、多忙化についてどのような認識で、解消に向けてどのように考えているか答弁を求めます。

      

    【答弁】

     教職員の勤務実態の把握と現状についてであります。

     勤務実態につきましては、毎月、教職員から提出される勤務時間管理簿により校長が把握しており、教育委員会といたしましても、各校の時間外業務集計票を2年ごとに集約、分析しております。

     現状といたしましては、前回集計において、小学校教員の13.7%と中学校教員の30.5%が月平均80時間以上の時間外労働を行っている結果となっております。

     次に、客観的な勤務時間の把握についてであります。

     教育委員会といたしましても、勤務時間をより客観的に把握・集計するため、適切な労働管理システムの導入について検討しております。

     次に、ストレスチェックやメンタルヘルスの状況についてであります。

     教育委員会といたしましては、長時間勤務者からの申し出に基づき、医師による面接指導を実施しており、本人への必要な保健指導および校長への必要な助言を行っております。また年に一度、職員のストレスの程度を把握し、メンタルヘルス不調となることを未然に防止することを目的とした、ストレスチェックを実施しております。

     復職を支援する取組につきましては、精神疾患により長期間職場を離れている教員を対象として、大阪府教育委員会により、円滑な職場復帰と再発防止を目的とした、職場復帰支援事業が実施されております。

     次に、多忙化についての認識や解消に向けた取組についてであります。

     教育委員会といたしましても、多忙化の解消は重要な問題であると考えております。教員と教員以外の人材が適切な役割分担を行い、様々な情報を共有しながら課題解決に取り組む「チーム学校」の体制を構築していくことで、多忙化解消に向けた取組を進めていきたいと考えております。

      

    【再質問】

     勤務実態の把握についてですが、「2年ごとに集約、分析」との答弁でしたが、正確に把握するためには毎年、毎月の勤務実態を把握する必要があります。

    労働管理システムの導入について検討しているとのことなので、早期に導入し、まずは勤務実態を正確に把握するところから多忙化解消に向けて取り組みを進めて欲しいと思います。

     多忙化解消の取り組みとして「教員と教員以外の人材が適切な役割分担を行い、様々な情報を共有しながら課外解決に取り組む『チーム学校』の体制を構築していく」との答弁でしたが、一方で業務負担の軽減が図られたとしても、教員以外の人材、外部の人材との対応などで新たな業務負担が増え、総業務量が変わらない、むしろ増えてしまうとなれば意味がありません。

     この点について市の考えをお聞かせください。

    【答弁】

     外部人材との打ち合わせ等による一定の調整業務は増えるとは思われますが、教員以外の人材が学校に入ることで、教員が行っている業務量は総合的に減少するものと考えており、さらには、様々な観点から子どもたちを見守っていくことで、丁寧な指導・支援ができるものと考えておりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。