[2017.9.23] -[議会活動]
1.難聴障がい児への支援について
(1)難聴児特別補聴器給付事業について
難聴とは、音の情報を脳に送るための部位のいずれかに障がいがあるために、音が聞こえにくい状態のことです。聴覚障がいには後天性のものと生まれつきの先天性のものがあります。
先天的に難聴のある子どもは、毎年1000人に1人の割合で生まれているようです。先天性の聴覚障がいには、治療により治すことが出来るものと、治療によって治すことが出来ないものがあります。
治すことが出来ない聴覚障がいの場合には、聴力を補うために何らかの改善方法がとられます。
その一つが補聴器です。補聴器は医療機器となっており、購入の際には保険が適用されません。しかし、身体障害者手帳を持っている場合は、申請書などを提出することで原則1割負担での購入が可能となります。
身体障害者手帳の交付を受けることが出来る聴覚障がいの等級基準は1級、5級はなく、6級以上で、厚生労働省では両耳の聴力レベルが70デシベル以上の場合、または片耳の聴力レベルが90デシベル以上、もう片方の聴力レベルが50デシベル以上の場合が6級と定められています。
ちなみに、50デシベルとは静かな事務室、70デシベルは電話の呼び鈴、交通量の多い道路、90デシベルは騒々しい工場内程度です。
補聴器の価格はピンきりですが、安いものでも3万円程度、高いものでは両耳で100万円を超えるものもあります。
補聴器によっては防水機能がないものも多く、夏場は特に、プールや海など水場で装着したままであったり、大人以上に汗をかいたりするなどによって故障します。その修理費用や育ち盛りの子どもたちの成長によるつくりかえなど費用負担が重く、難聴児の健全な育成の足かせになっています。
今年4月からは手帳が交付されない軽度の難聴児に対して、難聴児特別補聴器給付事業が拡充されましたが、その概要と実績について答弁を求めます。
(2)学習能力や活動意欲の低下を防止する教室等の支援や相談体制等について
聴覚の障がいが重い場合には、生後間もなくても発見されますが、中程度、軽度の場合はその発見が遅れる傾向にあります。
また、補聴器をつけなければ、どの程度聞こえないかは本人でないと分からない問題であり、なかなか理解されにくい問題です。
実際に難聴児を持つ保護者の方から「子どもが難聴だと分かったときどうすればいいのか分からない状況だった」との話を聞きました。
その方は、どうすればいいのか分からない状況の中で問題を解決するために相談できるようなところがないと嘆いておられました。
現在、難聴児を持つ保護者の相談員や相談窓口など相談体制はどのようになっているのか答弁を求めます。
また、耳から情報を適切に取り入れることが出来ない難聴児は、コミュニケーションや言語発達の面に遅れが生じる傾向にあります。
周りの大人にも軽度難聴の幼少期や学習機に情報保障の必要性が認められず、理解してもらえないことにより、本人は分からないことが当たり前で、青年期を迎えると人とのコミュニケーションも適当に合わせるようになり学習能力の低下や活動意欲の低下につながります。
社会人になり何が必要で何をしないといけないのかの判断が育っていないので自分を正当化し、相手を悪く思いながら仕事を辞める方も少なくないとの話も聞きました。
聴覚障がいのある人のコミュニケーション方法には、手話や筆談など様々な方法があります。
様々な方法でその子どもにあったコミュニケーションをとっていくことが必要になるわけですが、様々な事情で小さい子どもを預けることが出来ない人などは自力で手話を学ぶか諦めるしかなく、自力で学ぶにも日々新しくなる手話についてゆけない状況があります。小さい聴覚障がい児とともに学べる手話教室がほしい、必要なことが学べない環境ではなく、環境を整えてほしいとのことでした。
コミュニケーションが取れないことによる学習能力、活動意欲の低下を防止する観点からも小さい障がい児とともに学べる手話教室の実施や学習の遅れを指導してもらえるような教室など支援の考えについて答弁を求めます。
(3)コミュニケーション支援アプリの導入について
コミュニケーションの重要性、学習能力の低下等については前述したとおりです。
こうした状況の中、コミュニケーション支援アプリの導入が全国的に進みつつあります。
コミュニケーション支援アプリには、話している内容がリアルタイムで文字化されるというものや手書き、筆談用のもの、文章を音声で伝えるものなどさまざまな種類のものがあります。
多様な機能を使って1対1の会話から多人数の会話や会議まで幅広く様々な人とのコミュニケーションに活用することが出来るものもあります。
傷害の有無に関係なく会話の内容を共有することが出来るため、全国の大学や自治体でもコミュニケーション支援アプリの導入が進んでいます。
音声認識により変換されるため、発音の明瞭さなども関係しますが、キーボード入力などで修正することも可能なアプリもあり、学校現場への導入により、教職員が分かりやすい説明を意識したことで、健聴者も含めて学力が向上したとの話もあるようです。
障がいの有無に関係なく、様々な場面で活用が可能なコミュニケーション支援のアプリの導入について市の考えをお聞かせください。
【答弁】
難聴障がい児の支援についてであります。
まず、難聴児特別補聴器給付事業についてであります。
本市の難聴児特別補聴器給付事業につきましては、児童の教育・言語訓練及び生活適応訓練を促進する観点から、国及び大阪府の事業対象とならない軽度の難聴児に対し、国の定める基準額の3分の2を限度に補聴器の購入費を助成してまいりました。
さらに、29年度からは、府の補助事業を活用することにより、対象となる条件について、聴力レベルでは「41デシベル以上60デシベル未満」から、「30デシベル以上60デシベル未満」に、世帯の所得区分では、「市民税非課税及び生活保護世帯等」から「市民税所得割額46万円未満の世帯」に拡充したところであり、難聴児がより早期から補聴器を装着することにより、日常生活や学習への支障が軽減するなど、障がい児への支援の充実に繋がっているものと考えております。
助成の実績につきましては、28年度の3台に対し、29年度は、8月末現在で、すでに2台となっており、引き続き必要な方に必要なサービスが届きますよう制度周知に努めてまいります。
次に、学習能力や活動意欲の低下を防止する教室等の支援や相談体制等についてであります。
議員ご指摘の手話教室等につきましては、大阪府手話言語条例において、早い段階からの手話習得機会の確保が謳われたことから、府主催の就学前の聴覚障がい児とその保護者を対象とした手話教室が開催されており、本市におきましても、手話奉仕員養成講座を年に42回実施しており、29年度は、小学生の参加もいただいたところでございます。
また、聴覚障がい児に関する相談体制につきましては、障がい福祉課窓口だけでなく、障がい者基幹相談支援センターほか市内相談支援事業所などでも対応しているところであり、医療・保健に係る関係機関とも密に連携し対応しているところでございます。
相談内容としましては、補聴器の給付や早期療育、手話教室等に関するものであり、必要に応じ関係機関との連携や情報提供などを行っており、今後につきましても、聴覚障がい児を持つ保護者が安心して相談できる体制確保に努めてまいりますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。
学習能力や活動意欲の低下を防止する教室等の支援や相談体制等についてのご質問のうち、一部について御答弁申し上げます。
学校現場におきましては、聴覚障がいのある児童・生徒に限らず、学習の遅れが見られる子どもたちは多数存在します。放課後に教師が個別に指導したり、長期休業中に登校して集中して学習したり、個人の学習定着度を考慮して、個別の宿題を作成するなど、保護者とも連携しながら対応しており、今後も合理的配慮の観点も踏まえた取組を行ってまいります。
続いて、コミュニケーション支援アプリの導入についてであります。
現在の支援の状況でございますが、聴覚に障がいのある児童・生徒に対しては、教員が授業に入り、パソコンを使って要約筆記をするなどの支援を行っております。また、教育委員会といたしましては門真市筆記通訳グループを活用し、聴覚に障がいのある児童・生徒が在籍している学校に対して週に数時間、筆記通訳者を派遣しており、そのグループの方が要約筆記を行う際、コミュニケーション支援アプリを使用しております。
このようなコミュニケーション支援アプリは、話者の声を文字化する際のタイムラグが少なく、児童生徒がスムーズに情報が得られる点で効果的であると考えております。一方、教師の声の質や大きさ、滑舌等により誤変換が起こりやすかったり、他の子ども達の声や教室内の雑音によって音声を拾うことが出来なかったりするなど、学校への導入に向けては課題となる点も予想されることから、他自治体等の導入事例や検証も参考にしながら、今後も調査研究していきたいと考えております。
また、市全体としての導入につきましても、活用の必要性も含め関係部局とも相談し、調査研究してまいりますので、よろしくご理解賜りますよう、お願い申し上げます。
2.性的マイノリティの権利保障について
(1)書類の不必要な性別欄の撤廃について
今年6月7日に、門真市人権講座「ともに生きる」においてNPO法人えんぱわめんと堺代表理事の方を講師に「性的少数者の人権~LGBTって知ってますか~」と題して講演が行われました。
この講演は昨年12月の一般質問の中で、普及啓発活動が必要だと求める中で取り組まれたものだと認識しています。
私も参加し、講演を聞かせていただきました。終了後にアンケートがありましたが、そのアンケートにはカッコ書きではありましたが、性別欄が設けられていました。
講演の中でも「性的少数者はなかなか見えにくく、知らないうちに差別しているかもしれない」「日常生活の中で、ありふれた会話が相手を傷つける可能性がある」との話もありました。
書類などに記載される性別欄は当事者にとって大きな障害となっていること、不必要な性別欄の撤廃について昨年12議会においても質してきており、かつ、性的少数者の人権というテーマでの講演で、性別欄が設けられたアンケートには残念に思いました。
12議会での答弁では、「各種申請書類における性別の記載の必要性につきましては、全庁的な調査を行っておりません。申請書類ごとに性別の記載が法律等により定められている場合や施設入所等、業務執行に必要な場合などがあるため、一概に撤廃することはできませんが、記載の必要性の有無、記載方法などにつきまして、府内市町村の動向も踏まえ調査研究してまいります。」と答えています。
この答弁に対し、まずは全庁調査をすべきと質すと、「公文書における性別欄の必要性の有無につきましては、性的マイノリティの方々への人権的配慮とともに、性的マイノリティを特別視するのではなく、全ての市民の皆様の個人情報の適正な取り扱い等に資するよう、まずは庁内の各種申請書等における性別欄のあり方について調査研究するとともに、府内各市町村の現状把握に努めてまいりたいと考えております。」と答えています。
記載の必要性の有無、記載方法など性別欄のあり方について、現状どうなっているか、改善した点などあるか答弁を求めます。
(2)普及啓発を進めるための今後の取り組みについて
7月12日に、トランスジェンダーの方と懇談を行い、性適合手術を受けた後も戸籍上には変更前の性別が記載され、就職の際などに大きな障害となっている実態など日常生活の中での苦労や困難が話されました。
実際に当事者の方と話をすることで認識が深まると同時に、日常生活の中での困難を無くしていくためには取り組みを進めていく、そのための普及啓発活動を進める必要があると改めて感じました。
文教こども常任委員会において、教職員への研修状況も聞かせていただいたところ、「教職員自身の性的マイノリティへの関心は高まっているものと考えております」との認識も示されました。
今後、ますます普及啓発活動が必要になってくると思いますが、現状の取り組みと今後の取り組みについて市の考えを求めます。
【答弁】
まず、公文書における性別欄のあり方についての現状と改善点についてであります。
性別記載の必要性の有無や、記載方法を検討するためには、法的根拠や実務上必要があるものを除き、全ての市民の皆様の個人情報の適正な取扱い等に資するよう留意するほか、性的マイノリティの方々などへの人権的配慮について、職員が理解を深め、課題に気付く力をつけることが必要であると考えております。
このことから、本市では高い人権意識を身に付けるための職員研修を毎年実施しており、今年の8月28日には、性的マイノリティの当事者支援団体から講師を招き「LGBTについて」をテーマに職員人権研修を実施、53人が受講しております。
また、各種申請書類の性別欄の必要性や記載方法について、北河内6市の取り組みの現状把握を行い、調査研究に努めているところでありますが、今後におきましては、人権擁護や個人情報保護の観点から、公文書における性別欄等の必要性や記載方法を点検することについて検討して参りたいと考えております。
次に、普及啓発を進めるための今後の取組みについてであります。
議員ご承知の市民及び市内企業向けに開催した人権講座「ともに生きる」では「性的少数者の人権 LGBTって知っていますか」をテーマに取り上げ、34名の方に参加いただきました。
また、6月23日には、市内企業1社に対し「性的少数者の人権」をテーマとして出前講座を実施し、25名ほどが受講されております。
さらには、10月1日には北河内人権啓発推進協議会が大阪府と共催で「一人ひとりの個性があって、えぇねんで! 性的マイノリティの人権問題を一緒に考えましょう」をテーマに啓発事業を実施するほか、広報紙などにおいても「性的マイノリティ」を取り上げ啓発することを予定しております。
今後におきましても、性的マイノリティの方々への理解を深め、差別や偏見がなくなるよう啓発に取り組んでまいりたいと考えておりますので、よろしく御理解賜りますようお願いいたします。
3.国道163号の無電柱化について
(1)通行の妨げとなっている電柱の認識について
昨年12月に災害の防止、安全かつ円滑な交通の確保、良好な景観の形成等を図ることなどを目的とした「無電柱化の推進に関する法律」が成立しました。
無電柱化の現状をみると、欧米やアジアの主要都市では無電柱化が進んでおり、ロンドンやパリ、香港では無電柱化率は100%です。しかし、日本における無電柱化率は国土交通省調べによる2013年度末の状況では、東京23区で7%、大阪市で5%となっており、立ち遅れている状況です。
市内にも、電柱が通行の妨げとなり危険な個所が多数見受けられます。
大阪国道事務所のHPを拝見すると、電線共同溝事業中箇所一覧の中に、門真速見電線共同溝2.4㎞とあり、工事が行われています。また、整備計画箇所一覧の中に約2.0㎞との記述があります。
今年7月20日に、党市議団は国道163号の電柱について特にひどい箇所の現地調査を行い、大阪国道事務所へ要望も行いました。現地調査を行った箇所は整備計画として予定されている地域で、車いすは電柱を挟んで片側しか通行できない箇所があり、近隣の市民からも「自転車ですれ違う際に、ぶつかったことがある」「すれ違う際に、電柱をよけて車道へ出た自転車が歩道へ戻ってくるときに転んで救急車で運ばれる事故が相次いでいる」などの切実な声も聞かれ、改めて危険な状況であることを認識しなおしました。
市は、このような通行の妨げとなっている電柱について、どのような認識をしているか答弁を求めます。
(2)無電柱化の推進に関する施策の策定、実施の考えについて
無電柱化推進法の第7条には、国土交通大臣は、無電柱化の推進に関する施策の総合的、計画的かつ迅速な推進を図るため、無電柱化の推進に関する計画を定めなければならないとあり、第8条には都道府県無電柱化推進計画について8条2項で市町村は、無電柱化推進計画を基本として、その市町村の区域における無電柱化の推進に関する施策についての計画を定めるよう努めなければならないとされています。
現在、第7条、8条で定められている無電柱化推進計画は策定されているのか答弁を求めます。
また、第4条では、地方公共団体の責務として、地方公共団体は、基本理念にのっとり、無電柱化の推進に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じた施策を総合的、計画的かつ迅速に策定し、及び実施する責務を有する。とあります。
市として第4条に定められているような施策の策定、実施の考えについて答弁を求めます。
あわせて、大和田茨田線や門真中央線などの市道においても、道路幅が狭く電柱が通行の妨げになっている箇所は多くあります。
安心・安全な道路を確保するためにも、まずは移設や本数を減らすなどの対応が必要だと考えますが、市の考えについて答弁を求めます。
(3)国、市、電力会社党の事業者の負担割合について
無電柱化推進法附則2項において、無電柱化の費用は、無電柱化に係る事業の特性を踏まえた国、地方公共団体及び関係事業者の適切な役割分担の下、これらの者がその役割分担に応じて負担するものとするとともに、政府は、第十三条に定めるもののほか、無電柱化を円滑かつ迅速に推進する観点から、無電柱化の費用の縮減を図るための方策その他の国、地方公共団体及び関係事業者の負担を軽減するための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。とあります。
国が直轄している国道で無電柱化を行うとなると、国、市、電力会社などの事業者の負担割合はどのようになるのか答弁を求めます。
【答弁】
はじめに、通行の妨げとなっている電柱の認識についてであります。
国道163号の歩道の一部において、電柱が歩道の中央に設置されており、通行の支障になっていることは認識しております。
このことから、国道163号を所管している大阪国道事務所に対し、機会を捉えて、通行される方々の安全が確保されるよう求めているところであります。
次に、無電柱化の推進に関する施策の策定、実施の考えについてであります。
まず、「無電柱化の推進に関する法律」第8条第2項で定められている無電柱化推進計画は策定されているのかについてでありますが、現在、策定しておりません。しかしながら、同計画につきましては、国、及び大阪府が策定する計画を基本として、無電柱化推進計画を定めるよう努めなければならないとされており、大阪府が現在、計画の策定に着手していることから、引き続き注視してまいりたいと考えております。
また、同法第4条の無電柱化の推進に関する施策の策定、及び実施の考えについてでありますが、大阪府の動向を注視しつつ、本市の状況に応じた施策について、調査・研究してまいりたいと考えております。
次に、市道大和田茨田線や門真中央線における当面の対策についてであります。
市道大和田茨田線や門真中央線には、通行に支障となっている電柱があることは認識しております。
当該道路内での電柱の移設につきましては、十分なスペースがないため困難であり、沿道の民有地への移設についても、土地所有者の協力や設置スペース等の課題もあります。
また、電柱の撤去につきましては、電柱管理者に確認したところ、撤去可能な電柱はないとの回答でありましたが、当該道路を少しでも快適に通行できるよう、電柱の集約等について協議・調整に努めてまいります。
最後に、国が直轄する国道での無電柱化における国、市、電力会社などの事業者の負担割合についてであります。
現在、本市域の国道163号で進められている電線共同溝方式による無電柱化は、道路管理者である国が、電線共同溝の整備及び道路の舗装を行い、電力・通信事業者がケーブルを管路に通し、電柱・電線を撤去するものであります。道路管理者及び電線管理者は、「電線共同溝の整備等に関する特別措置法」に基づき、それぞれ施工する範囲について費用負担していることから、本市の費用負担は生じておりませんので、よろしく御理解賜りますよう、お願い申し上げます。