[2017.6.21] -[議会活動]
ほりお晴真 議員
1.国保の一部負担金減免の拡充について
現在、本市では国民健康保険法第44条「保険者は、特別の理由がある被保険者で、一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、一部負担金の減額、免除、徴収の猶予といった措置をとることができる」という規定に基づき、一部負担金の減免等について要綱で実施しています。
ケガや病気で仕事ができないといったことで収入が減ると、医療費が払えず受診に行けず、体調がさらに悪化し、さらに収入が減るなど「負の連鎖」に陥ります。
格差と貧困が拡大していく中で、決して珍しい話ではありません。そうした中、一部負担金の減免等があれば助かることは言うまでもありませんが、これまでの実績はどうなっているのかお答えください。
次に、恒常的低所得者も減免対象にすることについて質問します。
年金生活者などの恒常的低所得者は「著しく収入が減少」していないとして、減免対象から除外されています。
しかし、昨年12月19日に全国生活と健康を守る連合会が厚生労働省国保課と交渉を行い、その中で「国は、恒常的低所得者も減免の対象と考えているのか」との質問があり、「減免対象になると考えている。望ましい基準と考えているのは『特別な事情がある被保険者』と示しているが、それに当てはまらない、それよりも広い範囲にするとか、もう少し狭い範囲にするとかは、その市町村によるものとしている。平成26年度4月1日で259自治体が実施している。それを国として制限しているわけではない」と回答しています。
大阪府下では、八尾市や東大阪市で恒常的低所得者も一部負担金減免の対象とされています。
生活保護など含めて、様々な相談の中で医療費を何とかしてほしい、医療費さえ何とかなれば、保護の申請もせずにすむなどの声を聞きます。
この間も、入院して手術することになるが、何とかならないかといった相談を受けました。「著しく収入が減少」していないとして、一部負担金減免の対象とはならず、結果としては社協の貸付制度を利用して無事に手術を受けることとなりました。しかし、貸付ですから借りたお金は当然返していかなくではなりません。今回のケースでは、貸付で何とかなりましたが、返せるかどうかまで心配をし、あきらめて手遅れになるといったことも考えられないものではありません。
お金の心配をすることなく、必要な医療を必要なときに安心して受けられるよう、こうした方たちの思いに応えるためにも、一部負担金減免を通院などにも拡大していく、国が交渉の中で答えているように恒常的低所得者も減免対象とすることについて答弁を求めます。
【答弁】
国保の一部負担金減免の拡充についてであります。
まず、一部負担金減免の実績についてであります。
一部負担金減免制度につきましては、平成23年6月から実施しており、23年度から25年度までは各年度1件、26年度以降現在まで0件となっております。
また、減免額につきましては、23年度分が3万5,400円、24年度分が5万5,038円、25年度分が5万6,640円でございます。
なお、本制度につきましては、被保険者証発送時に同封するパンフレット、広報かどま及び市ホームページで周知いたしております。
次に、恒常的低所得者に対して一部負担金減免の対象にすることについてであります。
本市の一部負担金減免制度につきましては、国基準に則り実施しており、恒常的低所得者や通院などを対象とする制度の拡充は、市の新たな財政負担に繋がることから、国民健康保険事業において多額の累積赤字を抱える現状を鑑み、拡充は困難であると考えておりますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。
2.生活保護の介護扶助費について
まず、ケアマネが作成したケアプランを保護総務課が点検していることについてですが、ケアマネージャーは正式名称を「介護支援専門員」といい、2000年に「介護保険制度」が導入された際に誕生した資格です。
介護が必要な方本人の自立や尊厳を保持して、その人らしく暮らせるように支援します。また、介護認定を受けた人やその家族からの相談に応じたり、利用者の希望をヒアリングした上で、適切な介護保険サービスが受けられるようにケアプランを作成し、関係機関との連絡や調整を行ったりします。
つまり、ケアマネージャーには「介護が必要な人と介護保険サービスをつなぐ」という大切な役割があります。
ケアマネになるには、「介護支援専門員実務研修受講試験」、いわゆるケアマネ試験に合格しさらに、「実務研修」を修了することで資格を取得できます。
ケアマネの試験合格率は過去5年間で19.0%、15,5%、19,2%、15,6%、13,1%と2割にも満たない状態です。
ケアマネの仕事は多岐にわたりますが、その中で重要な業務がケアプランの作成です。課題分析(アセスメント)を行い、目標を設定しケアプランは作成されます。
ケアマネにしか出来ない仕事であり、最も重要な役割ともいえます。このケアプランに基づいて実際に介護サービスが開始されれば、定期的に利用者の自宅を訪問し、健康状態やサービスなどをモニタリングして、目標が達成できているか、不満はないかなどを評価します。
このように、まさに専門家であるケアマネにしか出来ない仕事がケアプランの作成です。
なぜ資格を持った専門員であるケアマネが作成したケアプランを保護総務課が点検しているのか、法的根拠は何なのか答弁を求めます。
次に、福祉用具、住宅改修の三者見積りで一律に一番安い業者に決定していることについてです。
介護保険の対象となる福祉用具は、介護保険法第44条1項の規定に関する告示によって、和式を腰掛式に変換する、様式の高さを補うなどの腰掛便座、特殊尿器、入浴用のイスや浴槽用の手すりなどの入浴補助用具、簡易浴槽、移動用リフトのつり具の部分、といったものに定められています。
また、住宅改修については、介護保険法第45条の規定に関する告示によって、手すりの取り付け、段差の解消、滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更、様式便器等への便器の取替え、その他住宅改修に付帯して必要となる住宅改修と定められ、支給限度基準額は20万円となっています。
住み慣れた家であっても、体が不自由になるなど介護が必要な状態になってくると、福祉用具を購入したり、住宅改修が必要になってきます。
介護利用者はケアマネに相談して、本人が使いやすいもの、本人が納得して福祉用具の購入や住宅改修を行っていくものだと思います。それこそが憲法25条が保障している「健康で文化的な最低限度の生活」ではないでしょうか。
介護保険法においても基本は利用者とケアマネが話し合って計画を決定していきます。
最低限=一番安いではないと思います。利用者が使いやすいもの、納得するものである必要があると思います。
本市においては、生活保護受給者が福祉用具の購入、住宅改修を行おうとすると、3者見積もりをした上で、一律に一番安い業者を決定している状況です。
他市においては、3者見積もり自体を必要としていなかったり、利用者とケアマネの話を尊重し、自分に合った業者のものを選択したり、一律に一番安い業者を決定しているような状況ではありません。
利用者はケアマネが作成したケアプランを基に家族などとも話し合い、最終的に自分で計画を決定することが出来ます。利用者とケアマネが十分話し合った結果を尊重すべきではないでしょうか。
福祉用具、住宅改修それぞれに3者見積もりを提出してもらい、福祉用具はA業者で、住宅改修はB業者でとなると手間隙も増えてきます。
生活保護法、介護保険法にも明記されておらず、一律に一番安い業者に決定をする門真市の独自運用、ローカルルールを見直すべきだと考えますが、答弁を求めます。
【答弁】
生活保護の介護扶助費についてであります。
まず、ケアマネが策定したケアプランを保護総務課がチェックしていることについてでありますが、介護扶助の実施にあたっては、平成23年3月31日付、厚生労働省保護課長通知において、「不正又は、不適切な介護サービス提供がなされていないか確認すること」とされております。
このことから、本市におきましては、ケアマネジャーより提出されたケアプランにつきまして、業務委託をしている職能団体において確認作業を実施することにより、介護扶助費の適正化に努めているところでございます。
次に、福祉用具、住宅改修の三者見積りで一律に一番安い業者に決定していることについてでありますが、介護サービスを受けていただくにあたっては、必要な量のサービスを受けていただけることが大前提であると考えております。
しかしながら、福祉用具等にかかる費用については、生活保護制度において「基準額の範囲内において必要最小限度の額とすること」とされており、本市におきましては、制度趣旨を踏まえる中、用具等の種目ごとに三者見積りの提出をお願いしているところでございます。
サービス利用者の方には一定のご負担をお掛けしていることは認識しており、より丁寧に説明させていただく中で御理解いただきながら、今後におきましても、引き続き介護扶助の適正な実施に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。