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  • こんにちは。門真市会議員団です。

    2016年12月議会 ほりお晴真議員の一般質問・答弁

    [2016.12.15] -[議会活動]

     

    1.LGBTSOGI)などの性的マイノリティーの権利保障について

    LGBTとはそれぞれ該当する言葉の頭文字をとった用語です。Lはレズビアン、Gはゲイ、Bはバイセクシャル、Tはトランスジェンダーです。性的マイノリティーはLGBTだけではなく、誰に対しても性的指向(性欲)を持つことの無い「アセクシャル」、自分の性的指向や性自認が分からない、探している「クエスチョニング」と言われる人たちもいます。

    英語版フェイスブックでは約50種類の性別が設定可能となっています。

    このように、性のあり方は実に多様であり、最近では、LGBTという言葉のほかに、性のあり方の多様性を認める立場からSOGIという用語が使われるようになってきました。これは、SO、セクシャルオリエンテーション(性的指向)と GI、ジェンダーアイデンティティ(性自認)の頭文字をとった言葉で、「ソギ」または「ソジ」と読みます。

    2003年には「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」、通称GID特例法が制定、2008年に改正されました。この法律により、条件を満たせば性別の変更が可能となり、2015年末の時点で認容されたのは6021人です。

    日本にはどのくらいの割合でLGBTSOGI)などの性的マイノリティーがいるか、株式会社電通におけるダイバーシティ(多様性)課題対応専門組織「電通ダイバーシティ・ラボ」が、昨年4月に全国69,989名を対象に、LGBTを含む性的マイノリティーに関する広範な調査を実施しました。その結果、該当する人は7.6%となり、約13人に1人は当事者がいるということになります。

    性的マイノリティーについて、今回質問するにあたり、いろいろと調べていく中で実に多様で多くの課題があることが分かりました。

    例えば、トイレや更衣室の使用、保険証を出すことや名前を呼ばれることの抵抗感により、医療機関への受診を控える、いじめや差別、虐待による貧困や自殺など枚挙にいとまがありません。

    これらの問題解決のため、また、権利保障のため、日本共産党は性的マイノリティーの人たちの人権と生活向上のためにとりくみます。どういう立場や分野の問題であれ、マイノリティ(少数者)の人たちが肩身の狭い思いで生活せざるをえなかったり、あるいは差別や偏見のためにありのままの自分を肯定できなかったりすれば、それは健全な社会とはいえません。逆に、マイノリティーといわれる人たちが暮らしやすいほど、その社会のすべての構成員にとっても暮らしやすい社会であるといえます。

    とくに性的マイノリティーをめぐっては、問題が、ふだんほとんど公然と語られることのない性意識・性行動にかかわる事柄であり、また、当事者がカミングアウト(公表)しなければ事態が表面化しないために、“最後のマイノリティー”といわれてきました。

     しかし、性的マイノリティーをめぐっては、この1、2年で、行政的にも社会的にも非常に大きな変化・発展がありました。日本共産党はこの間の性的マイノリティーをめぐる施策の一定の前進や社会的認知をふまえ、さらに性的マイノリティーにたいする差別の解消や偏見の除去、そして生活の向上と権利の拡大のために力をつくすことを述べ、質問に移ります。

     

     まず、職員研修の実施状況についてです。

    門真市では2005年に門真市男女共同参画推進条例が制定され、同条例の第3条には基本理念が定められ、2項に「男女の性別にとどまらず、性同一性障害を有する人、先天的に身体上の性別が不明瞭であるひとその他のあらゆる人の人権についても配慮されるべきこと」とあり、第4条には市の責務として「基本理念にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する」とあります。また、第9条に基づき、「第2次かどま男女共同参画プラン」が策定されています。

    しかし、このプラン内では性的マイノリティーについての施策は、「人権尊重意識を高めるための機会の確保とその内容の充実に努めます」とあり、人権講座の開催などにとどまっています。

    大阪市淀川区では2013年に「LGBT支援宣言」を出し、職員研修、普及啓発活動、当事者アンケートの実施、教職員向けのハンドブックの作成などに取り組み、今年度は①意見交換会、②啓発活動、③LGBT電話相談、④コミュニティスペース、⑤パネル展、⑥リーフット作成の6つの事業を展開しています。

    性的マイノリティーをめぐる問題解決のためにも、本市としても人権講座の開催だけではない施策を実施していく必要があると考えます。

    性的マイノリティーの当事者でない人が、理解し支援するという考え方、あるいはそうした立場を明確にしている人々を指す言葉として「アライ」という言葉があります。

    施策を前進させていくためにもまずは、性的マイノリティーについて、正しい知識を身につけ、理解、認識を深め、「アライ」として、身近な相談相手となれるよう職員研修をしっかりと位置づけ、実施すべきと考えますが、答弁を求めます。

     

     次に、専用の相談窓口について質問します。

    昨年8月、一橋大学の法科大学院に通う男性が同性愛者であることを同級生に暴露された後、心身に不調をきたし、飛び降り自殺を図り、転落死するという痛ましい事件がおきました。両親は、大学と同級生に計300万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしています。

    訴状によると、男子学生は昨年4月、この同級生に恋愛感情を告白しました。同級生は「気持ちには応じられないが友人関係は続ける」と答えましたが、その後同級生約10人でつくる無料メッセージアプリ「LINE」のグループに、LGBTであることを暴露されました。

    男性はその後、同級生に会うと吐き気や動悸がするようになり、心療内科に通うようになり、大学のハラスメント相談室に相談していたといいます。そして、8月、授業中にパニック発作を起こして、大学内の建物のベランダを乗り越え転落死しました。

    こうした本人の了解を得ずに、公にしていない性的指向や性自認を暴露することを「アウティング」と言い、望まないアウティング行為によって、男子学生はこれまでの日常生活を送ることができなくなりました。

    宝塚大学看護学部の日高康晴教授らが行った「わが国における都会の若者の自殺未遂経験割合とその関連要因に関する研究」の中では、自殺未遂の関連要因として、いじめ被害や薬物使用経験の有無、そして性的指向についても質問されています。

    性的指向に関しては、回答者の男性全体の内「異性愛でない」と答えた人が約5%いて、その自殺未遂率は異性愛者に比べて約6倍高かったという報告になっています。

     家族にさえ理解されず、いじめられ続けることで染み付く自己否定感や、社会に受け入れられない孤独感。また、身の回りにロールモデルとなる存在が極端に少ないため、人生設計を見いだせず、将来に希望を持てないことも生きづらさの要因になります。

    性的マイノリティーの方の多くは差別を恐れて、周囲にカミングアウトせず、そのため、自殺で亡くなっても、その動機は公になりません。性的マイノリティーの自殺リスクの高さが認識されにくいのは、この問題が可視化されないことによると指摘する専門家もいます。

    こうした中で、専用の相談窓口を設置することは命に関わる重要なことです。

    啓発活動に取り組みながら、当事者が安心して相談できるよう電話相談などを含めた相談場所の設置を求めますが答弁を求めます。

     

     次に、各種申請書類などの公文書の不必要な性別欄の撤廃について質問します。

    前述したように性的マイノリティーに該当する人は7.6%、約13人に1人です。121日現在で門真市の人口は124,788人ですから、単純に計算すると約9,484人は当事者ということになります。

    性別違和を感じる人たちにとっては、性別欄を記入すること自体がひどく苦痛に感じるものです。不必要なカミングアウトをすることなく、各種申請書類などの公文書の不必要な性別欄を撤廃することについて答弁を求めます。

     

    次に、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認定する条例・要綱について質問します。

     これまで述べてきたように、性的マイノリティーの人たちは生活上で数多くの問題に直面します。同性カップルが直面する生活上の問題の一つに「医療現場での同性パートナーの取り扱い」があります。 

     例えば、同性カップルの一人が意識不明の状態となって病院に運ばれたとき、そのパートナーが医師から病状説明を受けられないケースや意識がなく緊急手術が必要なとき、家族でないからという理由でパートナーが手術の同意書にサインできないことなどがあります。

     また、その他にも公営住宅の入居申し込み条件には該当しない場合もあります。

     こうした中、東京都渋谷区では「渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例」、通称「パートナーシップ条例」が20154月から施行されています。この条例では、男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備えた戸籍上の性別が同じ二者間の社会生活関係をパートナーシップと定義し、証明書の交付を行っています。つまり、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認定し、証明書を交付しています。また、同条例では、「区民及び事業者は、その社会活動の中で、区が行うパートナーシップ証明を最大限配慮しなければならない」と明記しています。

     この条例を皮切りに、東京都世田谷区、三重県伊賀市、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市がパートナーシップを認める要綱を策定しています。

     本市でも、だれもが自分らしく生きることが出来る社会を実現するため同様の条例・要綱の策定をすべきと考えますが、答弁を求めます。

     

    【答弁】

    本市では平成27年度に、「様々な人権問題について」をテーマに、人権研修を実施しており57人が受講しております。

    その中で性別に関する人権問題として性的マイノリティーの人権について、取り上げております。

    また、平成27年度は北河内人権啓発推進協議会が実施した研修において9人が、平成28年度は部落解放・人権夏期講座において2人が、それぞれLGBTをテーマとした研修に参加しております。

    性的マイノリティーについて正しい知識を身に付けることは、市民への対応に加え、雇用管理上も必要と考えており、今後につきましても、性的マイノリティーの問題を含め、様々な人権問題を正しく理解し、高い人権意識を身に付けるための研修を実施してまいりたいと考えております。

     

    性的マイノリティーの方々の人権につきましては、門真市男女共同参画推進条例第3条第2項の規定にありますとおり、重要な課題の1つとして捉えており、その相談については既存の人権相談において対応することが可能でありますが、これまで当事者等からの相談実績はございません。

    今後におきましては、人権相談において性的マイノリティーの方々の悩み相談ができることや、大阪弁護士会が毎月第4月曜日に実施するLGBTs(エル・ ジー・ビー・ティ・エス)のための電話相談など、相談窓口の周知に努めるとともに、性的マイノリティーの方々への理解を深め、差別や偏見がなくなるよう啓発に取り組んでまいります。

     つぎに、各種申請書類など公文書の不必要な性別欄の撤廃についてであります。

     現在、各種申請書類における性別の記載の必要性については、全庁的な調査を行っておりません。

     申請書類ごとに性別の記載が法律等により定められている場合や施設入所等、業務執行に必要な場合などがあるため、一概に撤廃することはできませんが、記載の必要性の有無、記載方法などについて府内市町村の動向も踏まえ調査研究して参ります。

     つぎに、同性カップルを「結婚に相当する関係」と認定する条例・要綱についてであります。

    現在、渋谷区をはじめ徐々に複数の自治体において、性的マイノリティーの方々に対する具体的取り組みが広がってきておりますものの、LGBTSOGI(ソギ)に対する市民の意識や関心の度合いについては、まだ低いものと認識しており、啓発を進めていくことが必要であると考えております。

    今後につきましては、先進市の事例について情報収集し、調査研究するとともに、性的マイノリティーの方々の人権について理解を深められるよう市民の皆様への啓発を進めてまいりますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。

     

     

    【再質問】

    職員研修の実施については、昨年度は9人が、今年度は2人がLGBTをテーマとした研修に参加したとの答弁でした。

    紹介した大阪市淀川区では201391日に「LGBT支援宣言」を出し、同年919日にはLGBT当事者である外部講師を招き、全職員を対象に職員研修を実施しています。

    本市の研修参加の状況はまだまだ少ないと感じます。本市の職員が正しい知識と理解を持ち、差別や偏見をなくすためにも出来るだけ多くの職員が研修へ参加していただくよう要望しておきます。

    次に、公文書の不必要な性別欄の撤廃についてです。

    現在、各種申請書類における性別の記載の必要性については、全庁的な調査を行っていないとの答弁でした。

    性的マイノリティーの方は性別欄があることで申請など躊躇してしまう可能性も考えられます。

    性別欄の必要性について、まずは全庁調査を行い書類の精査を行うべきと考えますが答弁を求めます。

    最後に、答弁全体を通じて、まずは普及啓発活動が必要だと感じます。

    相談についても、これまで当事者等からの相談実績はないとの答弁でしたが、本市に当事者がいないのではなく、相談しやすい環境にない、普及啓発が進んでいない裏返しではないかと考えます。

    性的マイノリティーの施策が前進している自治体は、普及啓発活動にも力を入れています。

    啓発を進めていくことが必要との認識で、取り組んでいくとの答弁でしたが、今後どのように啓発活動を行っていくのか答弁を求めます。

     

    【答弁】

     性別記載の必要性に関する全庁的な調査についてであります。

    公文書における性別欄の必要性の有無につきましては、性的マイノリティーの方々への人権的配慮とともに、性的マイノリティーを特別視するのではなく、すべての市民の皆様の個人情報の適正な取扱い等に資するよう、まずは、庁内の各種申請書等における性別欄のあり方について調査研究するとともに、府内各市町村の現状把握に努めてまいりたいと考えております。

    つぎに、性的マイノリティーの方々の人権について、今後どのような啓発を行うのかについてであります。

    人権尊重の理念の定着を図ることを目的に、年5回実施している門真市人権講座「ともに生きる」の中で、テーマの一つとして取り組むとともに、市広報や市ホームページを通じて、性的マイノリティーの人権について啓発に努めてまいりますので、よろしく御理解賜りますようお願い申し上げます。