[2004.8.29] -[門真民報]
大阪府南部の泉南市、阪南市、泉佐野市、田尻町、岬町の5市町の合併の是非を問う住民投票が、泉佐野市を除く4市町で22日実施されました。泉南市と阪南市、田尻町で合併反対が圧倒的多数をしめ、岬町では合併賛成が反対を上回りました。
合併問題を考える阪南市民の会や「合併反対に〇をする」泉南の会、泉南市の合併を考える議員有志の会などが「合併は地方自治を踏みつぶす」と市民に訴え活発な活動をくりひろげました。
泉南の会の宮崎守副代表は「合併は、関西空港建設にともなう、りんくうタウン造成による財政破たんを、泉佐野市中心の新市づくりで市民に再び押しつけるものだった。住民投票の結果はこうした押しつけ合併にたいする市民のきびしい批判を示している。
党派をこえた11人の泉南市議の活動や市民の共同が勝利への大きな力になった」と話しています。 住民投票は、 当初は、7月11日におこなわれることになっていましたが、「資料不足で判断ができない、延期すべきだ」とする声に押されて、8月22日投票になったものです。
一方、大阪・忠岡町で22日実施された、岸和田市との合併の是非を問う住民投票で、「合併しない」が「合併する」を大きく上回りました。合併を推進してきた前川正明町長は、辞職する意向を示しました。「合併しないに〇の会」は、「住民と職員と議会と町長が協力すれば町財政は必ず再生できると訴えてきました。
投票結果は、住民の意思をしっかり示すものです。町長は告示後も、『町財政は火の車』などと公金を使った広報を配布し、かえって住民の怒りを広げた」との談話を出しました。22日の投票結果を受けて、いずれも法定合併協議会の解散が確定的と見られています。
門真市・守口市での住民投票、投票率50%以下で開票しないことは将来に大きな禍根
22日の住民投票では、投票率が泉南市で36.95%、阪南市が38.07%と大きく過半数を割り込みました。しかし、合併の是非についての市民の判断はいずれも「合併反対が圧倒的」という結果となっています。
もし、ここで投票率50%以下は不成立とし、開票しなかったとすれば、市民の意思は踏みにじられたまま、自治体の将来を大きく見誤ることになります。今回、あらためて、50%条項の不当性が明らかになったもので、門真市の姿勢が厳しく問われるものです。また、50%の投票率を超えるようどう努力するのかも問われるところです。
日本共産党門真市委員会は、昨年12月18日、門真市・守口市の合併について、住民不在、市民サービス切り捨ての合併に反対との見解を明らかにしました。それ以降も、合併協議が引き続いて行われてきましたが、見解で指摘したことの正しさがいっそう明らかとなりました。
合併協議会で決定された新市市町村計画では、将来のビジョンもなく、具体的な根拠を示した数値目標は何ら示されず、抽象的かつおおざっぱな数字が並べられているだけです。
また、合併協議会だよりでは、「合併しなければ両市とも赤字再建団体転落」とみずからの責任にはほおかむりして、市民に合併を迫っています。しかし、使途が限定されている合併特例債を通常の事業にまで振り替えるなど、合併効果を「水増し」した財政計画になっており、「水増し」がなければ、合併したとしても、赤字再建団体となります。また、財政計画は合併後10年間しか示されていません。合併後10年以降は毎年交付税が減らされ、16年目以降は約23億円も減らされます。合わせて、合併特例債の償還のピークが合併後14年で、約11億円にのぼるなど合併後10年以降の不安にはまったく答えていません。
さらに、これまで指摘してきた「合併先にありき」「重要問題先送り」の無責任な色彩がいっそう濃厚となってきたことです。
合併すれば「門真の中学校給食はどうなるの」「学童保育は」「公民館は増えるの」このような市民の疑問に答えないまま、「合併後調整」となっています。
これでは合併の是非について判断できません。合併後4年で赤字のピークを迎える新市で「3年をめどに調整」とされている学校給食が中学校で実施されるとは到底考えられません。また、市民サービスの要となる合併後の市役所は「分庁方式」とされ、議会や管理部門が門真市役所に置かれること以外は何も示されておらず、市民サービスへの影響が不透明です。
また、事務所の位置は現在の守口市役所の位置とされ、新市の中心に位置する門真市役所になぜならないのか、市民にまったく説明がつきません。門真市の水道料金を合併時から引き下げるとしていますが、基金を17億円あてるというものです。ところが、平成16年度末の両市の財政調整基金は、門真市が50億円、守口市が1億円です。これなら合併しなくてもできるのではありませんか。
さらに、厚生労働省が改修を求めている守口市に残された給水管の「鉛管対策」の費用も不透明です。「財政が苦しいから」と合併を言いながら、合併協議会では現在の市会議員は引き続き2年間とどまる「在任特例」を適用することを決定。職員を減らし、重要問題を先送りしながら、議員だけは合併時に選挙せず居座ることは許されません。
日本共産党はもちろん議員の在任特例に反対しました。門真市はこの間、行財政改革計画を策定していますが、「合併は究極の行革」として、「棚上げ」となっています。
これまでの財政運営のツケを不問にし「合併」で乗り切ろうというのは無責任です。財政の建て直しは、住民が主人公の立場に立って、行政、議会が住民とともに責任をもっておこなうべきです。
7月28日、市民の直接請求による住民投票条例が議会で一部修正後、全会一致で可決されました。画期的な出来事として高く評価するものです。
日本共産党は、住民投票が9月19日に実施されるという新たな状況の下で、合併反対の態度を改めて明らかにするとともに、住民投票の成功と合併反対の市民の選択が得られるよう、全力をつくすものです。
日本共産党門真市委員会 2004.8.23