[2015.12.18] -[議会活動]
1.学校教育環境の充実について
私は、9月議会でも子どもの貧困対策について質問をさせていただきましたが、子どもの相対的貧困率は、2012年に過去最高を更新し16.3%になっており、子どもの6人に一人が貧困状態にある状況です。
雇用の不安定化、賃金格差の広がり、年金、医療など所得保障の手立ての後退、生活保護基準の切り下げなどの社会保障制度の後退で、貧困状態にある世帯が増えてきている今、どの子もお金の在るなしに関わらず等しく教育を受けられる環境を整備していくことが求められています。
まず、小中学校の教育費についてですが、学校現場では消耗品費が不足している状況にあると伺っています。先日も市内のある学校現場の先生から、「インク代等事務のお金がこのままいけば2月半ばでなくなる、消耗品費が足りない」と聞きました。「コピーはなるべく控えること、カラー印刷はさらに控えること、会議で使う資料は裏刷りを使うことになっているため、コピーするのにインクでくっつき、コピーが2度手間になっている」ことなど挙げられていました。また、来年度は、保護者負担を引き上げざるを得なくなるとの話もささやかれているとのことでした。
私は、なぜこんなことが学校現場で起こっているのかと、驚きました。
新潟大学現代社会文化研究科、人間形成研究専攻の世取山洋介准教授が「学習費における私費負担の現状」を、著書で書かれています。
その中では、2006年、2007年(平成18,19年)に文部科学省の「新教育システム開発プログラム」の委託研究による、全国公立小中学校事務職員研究会がおこなった「新しい時代の学校財務運営に関する調査研究報告書」が出されています。
その報告書とは、公費と私費の実態を悉皆調査で行っているもので、世取山準教授はこの報告書から学校配当予算が全般的に不足しているという実態が明らかにされていると言います。
学校配当予算とは、学校で執行可能な予算として、学校を設置する市町村教育委員会が各学校に配当「令達」した予算のことだそうです。
そこで伺いますが、①門真市の学校配当予算はどのようになっているのか、お金や事務の流れ、各学校への配当予算の算定基準などのルールについて ②消耗品費については昨年度に比べて予算額はどのようになっているのか ③消耗品費とは具体的にどのようなものか ④年度途中に不足する場合はどうしているのか ⑤現状の予算をどのように考えているのか、足りていると考えているのであればその根拠についてお聞かせください。
次に、保護者負担の軽減についてです。冒頭に申し上げましたように、経済的に非常に厳しい家庭の子どもたちが増えていることから、保護者負担がどのような状況なのか把握し支援していくべきではないかと考えます。
2009年度(平成21年度)の文部科学省の教育白書では、「家計負担の現状と教育投資の水準」について次のように、まとめられています。
在学者(子ども)1人当たりの公財政教育支出について、こう述べています。
「我が国は,国民全体としては教育のために国際比較で平均程度の支出をしているもののその多くは家計などの私費負担によって支えられており,それに比して公財政支出が少ないという実情がうかがえ、このことが,各家庭における教育費負担の重さにつながっているといえる」 また、我が国をはじめ世界各国において,教育予算にどの程度の重点が置かれているのか比較し、このように述べています。「各国の国及び地方公共団体の公財政支出全体(一般政府総支出)に占める教育支出の割合をみると、一般政府総支出のうち,我が国は,教育のための支出の割合が,OECD諸国の中でも下位に位置している。」と。
このように文部科学省の教育白書の中でも、日本の教育費に対する予算が低い、家庭における負担が重くなっていることが明らかにされています。
そこで質問ですが、本市は保護者負担の現状についてどのように把握されているのか、以下の質問をさせていただきます。
義務教育は無償と定められていますが、保護者負担の位置づけは法的にはどのように定められているのか、保護者負担にはどのような物があるのか、負担額は小中学校でそれぞれどのようになっているのかについてお聞かせください。
経済的理由によって,就学困難と認められる児童生徒の保護者に対しては,本市も就学援助制度があり、給食費、新入学児童・生徒学用品費、林間・臨海など参加費、修学旅行費等が支給されています。
しかし、就学援助は認定にあたっての所得基準があり、生活が厳しいからと言って誰でも受けられるわけでありません。自治体によっても差があります。
保護者2人子ども2人の4人世帯の認定基準額で見ますと、本市は273万5千800円で北河内7市の中では低い基準となっています。一方、枚方市では313万4000円です。本市での拡充が求められているのではないでしょうか。拡充についての本市の考えをお聞かせください。
全国では、保護者負担の軽減の努力をされているいくつかの自治体があります。例えば、山梨県早川町は義務教育に係るすべての費用を町が負担しています。鳥取県南部町は、小学校1年生から3年生の教材費無償、小学校1年生から6年生までの学級費を無償としているなどの事例もあります。⑤本市は保護者負担の軽減についてどのように考えているのかお聞かせください。
最後に、社会教育活動における学校施設の貸し出し等について質問します。
社会教育法では、第6章第44条で学校施設の利用について、「管理機関は、学校教育上支障がないと認める限り、その管理する学校の施設を社会教育のために利用に供するよう努めなければならない。」となっています。
本市の各小中学校においても、教室や体育館、グラウンドなどで利用されていることと思いますが、現状についてお聞かせください。
また、より一層、充実を図っていく立場から、今後についての考えをお聞かせください。
【答弁】
学校教育環境の充実について、まず、学校の消耗品についてであります。
学校配当予算に関しては、各学校からの予算ヒアリングを基に、予算編成を行い、学校の児童・生徒数、クラス数などを基準に予算配当を行っております。
次に、消耗品費の予算額は、26年度、小学校では平均154万円、中学校では平均277万円であり、27年度は、児童・生徒数の減少やそれに伴うクラス数の減少により、小学校では平均12万9千円、中学校では平均28万3千円の減額となっております。
次に、消耗品費の内容についてでありますが、消耗品費とは、比較的短期間に消耗、消費されるものを購入する際に執行する費目となります。具体的には、PPC用紙やコピー機のトナー、トイレットペーパーなどであります。
次に、年度途中で予算が不足した場合についてでありますが、消耗品費につきましては、各学校において予算検討委員会を開催のうえ、年次計画を策定し、それに基づいて予算を執行していることから、基本的には不足額が生じることはありませんが、不足となった場合は、教育総務課及び各学校間で調整を行い、確保しております。
次に、現状の予算の考えについてでありますが、本市の厳しい財政状況のもとで、消耗品費についても子細な検討が必要となっております。各学校で質の高い教育活動を行う上で必要な消耗品を確保することは、重要な課題であり、今後はより効率的で無駄のない予算執行のために、様々の方策を検討してまいります。
続いて、保護者負担の軽減等についてであります。
まず、保護者負担の位置づけについてでありますが、公立の小・中学校に関しては、日本国憲法第26条第2項及び学校教育法第6条の規定により、義務教育は、無償とされ、授業料は徴収されておりませんが、義務教育無償の範囲につきましては、最高裁における、「憲法の義務教育は無償とするとの規定は、授業料のほかに教科書、学用品その他教育に必要な一切の費用まで無償としなければならないことを定めたものと解することはできない。」との判例があり、給食費をはじめとする学校徴収金の保護者負担を一定お願いしているところでございます。
次に、保護者負担いわゆる学校徴収金についてでありますが、給食費や学級費、教材費、林間・臨海等の参加費や修学旅行費等があります。26年度の学校徴収金の合計金額といたしましては、給食費を除いて、小学校の年額が平均13万1,667円、中学校については、年額が平均15万1,557円となっております。ただし、教育活動の内容に違いがあることから、学校や学年によって徴収額も違っております。
次に、就学援助の所得基準についてでありますが、本市の財政状況がまだまだ厳しく、大阪府内でも就学援助率が極めて高い状況の中、物価の動向や近隣他市の状況等も勘案しながら慎重に検討を進めてまいります。
次に、保護者負担の軽減についてでありますが、学校徴収金につきましては、保護者の過度な負担とならないよう、各学校に対して、その額や使途の妥当性を検討して毎年見直しを図るとともに、保護者への十分な説明と報告を行うよう指導しており、今後とも保護者の負担の軽減に努めてまいります。
続いて、社会教育活動における学校施設の貸し出し等の現状と今後についてであります。26年度における小・中学校の貸出件数は、音楽室等で1,055件、体育館で8,082件、運動場で4,149件となっており、それぞれ合唱の練習や会議、バレーボールや卓球、サッカーや軟式野球等で各学校とも活発に利用されております。今後につきましても、引き続き学校教育上支障のない範囲での利用に供してまいりたいと考えておりますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。