[2006.5.14] -[門真民報]
4月20日、大阪府大東市が2002年、条例で市立保育所の廃止と民営化を決めたのは、子ども達の健やかに成長する権利を侵害するものだとして、60人(36世帯)の保護者が廃止処分の取り消しなどを求めた訴訟の控訴審判決が大阪高裁でありました。裁判長は、市立保育所の廃止の取り消し請求を棄却する一方、市は子どもらの心理的不安を取り除く努力を怠ったなどとして、1世帯あたり33万円の損害賠償を大東市に命じました。
大東市は、01年行財政改革で市立保育所6園の民営化方針を打ち出しました。これに対し、保護者は、保育所の民営化は住民投票で決めるべきだとして、住民投票条例制定署名に取り組み、2万人もの署名を集めましたが、02年6月議会で否決されました。02年9月議会で、市立保育所条例の廃止が可決されると、大東市は、11月市立上三箇保育所(定員120名)の廃止・民営化を公表。一方的な市の発表に怒り12月、74名の父母が保育所廃止条例の取り消し、執行停止を大阪地方裁判所に提訴しました。こうした、保護者の強い反対にも関わらず、大東市は、03年4月市立上三箇保育所をわずか、3ヶ月の引継ぎ期間(1・2月は週2、3日でクラス担当保育士も6クラスに対して3名のみ。実質的な引継ぎは3月のみ)で廃止し民営化を強行しました。05年1月、大阪地裁は、数々の不安、懸念を認めながらもガマンの範囲内とし保護者の訴えを棄却しました。05年2月、保護者60人が大阪高裁に控訴。これに対しての判決がこの4月20日に出されたものです。
判決では「児童の発達における人的影響には大きいものがあり、児童の保育にあたっては、保育士と児童及び保護者との信頼関係が重要であるところ、3ヶ月の引継ぎ期間で数名の保育士が参加しただけでは、信頼関係を構築することは難しい」と指摘。また「新保育所では、当初、けがをする子どもが多く、保育士の知らない間に子どもが家に帰るなど混乱が生じた」と子どもの精神的負担、児童の安全への危険が生じかねない状況や混乱が生じたことを認定し、「万全の対応をとった」とする大東市の主張を退けました。
門真市は、公立保育園7園のうち、3園程度を08年より民営化する「行財政推進計画」を昨年12月に発表しました。そして、今年4月の機構改革で、保育所民営化を検討するための「保育園民営化担当」を設置しました。しかし、保育園の民営化で、大好きな先生方を取り上げられ、どんなに子ども達がつらい思いをしているのか。保育士と子ども達、保護者の信頼関係を壊し、それが子ども達の成長にも影響することが大東市の例からも明らかです。この訴訟を起こした原告団はこの判決に対し「民営化でつらい思いをした全国すべての子ども達への勝利判決」とする見解を出し、「私達は、今回の公立保育所廃止・民営化の最大の犠牲者が子ども達であり、保護者・保育士など関係者がどれほど心を痛めてきたかを訴え続けてきました。今回の判決は、保育において『保育士と児童及び保護者との信頼関係』が重要であること、それをわずかな引継ぎで構築することは困難であり、保育士の経験年数にも言及して子ども達の被害を認定したことは、全国で当たり前のように進められている民営化の影で様々な苦痛と我慢を強いられているすべての子ども達の被害を認定し、行政の責任を明確に断罪したものです」と述べています。門真市は、この裁判の判決を真摯に受け止め、公立保育所の民営化計画を見直しすべきです。
4月29日、大和田・中部地域日本共産党後援会は総会を大池自治会館で開催し、井上まり子議員の市政報告と黒田まさ子府会議員の講演を行い59人が参加しました。
井上まり子議員の市政報告では、園部市長の施政方針、行財政改革方針と具体的計画で、ごみ収集業務の民間委託、ごみ収集有料化、保育園の民営化、長寿祝い金や福祉電話の縮小等などと、小泉構造改革路線の「官民協働」「少人数行政」手法が持ち込まれ、いっそう市民へ負担を求める中身となっていることを指摘しました。
次に議員定数削減について報告をしました。議員定数は現状でも下回っている28なのにさらに6削減して22にすることが、日本共産党などを除く賛成多数で決められました。わが党は公明党の提案に対し、「議員歳費、政務調査費を削減すれば6人定数減とほぼ同額の財政効果。しかも4月から実施できるため即効性があり7560万円の上乗せが出来る」と質問しましたが全く反論できなかったことを報告しました。
黒田まさ子府議の講演では、「アメリカいいなり」「財界べったり」の小泉政治の結果、国民の命を危うくしている。大阪の就学援助率は27.9%と全国平均の12.8%の倍以上、府立高校の減免は26.3%と非常に高く府民の生活状況の厳しくさが現れています。いよいよ日本共産党の果たす役割が重要との訴えがありました。