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  • こんにちは。門真市会議員団です。

    2014年12月議会 福田英彦議員の一般質問・答弁

    [2014.12.16] -[議会活動]

     

     介護保険制度の来年度からの大改悪に関し、危惧される点などについては、先の第3回定例会一般質問において我が党の井上議員が質疑を行いましたが、その後くすのき広域連合において第6期介護保険事業計画策定委員会、本市では門真市高齢者保健福祉計画策定委員会が開催されたことを踏まえ、改めて質疑を行います。

     まず、要支援者サービス切捨て、特養入所の「要介護3」以上への限定、2割負担の導入など、制度改悪に対する認識と対応についてです。

     安倍自公政権は今年6月、「医療・介護総合法」を強行しました。その中身は、多くの高齢者を介護サービスから除外し、利用者に大幅な負担増を押し付けるなど、公的介護保障を土台から掘り崩す大改悪となっています。

     具体的には、「要支援12」認定されサービスを受ける方の8割が利用する、ホームヘルパーによる訪問介護、デイサービスなどの通所介護を保険給付から外し、地域支援事業の「介護予防事業」に、要支援者の訪問・通所介護の“代替サービス”を加え、「新しい介護予防・日常生活支援総合事業(新総合事業)に改編されます。

     厚労省は7月の全国介護保険担当課長会議で、新総合事業を実施する際の「ガイドライン案」を示し、「効率的な事業実施に努める」として①低廉な単価のサービスの利用普及②認定に至らない高齢者の増加③自立の促進という三つのやり方で事業の効率化を図るよう自治体に押し付けています。

     「低廉な単価サービスの利用普及」とは、ヘルパーなど介護職によるサービスを、非正規やボランティアなど人件費の安い非専門職のサービスに置き換えていくということです。

     「認定に至らない高齢者の増加」とは、要介護認定を受けさせないということで、高齢者の認定申請に対し、窓口職員が“要支援担当”と判断した場合は、要介護認定を省略して、新総合事業のサービスを割り振ることが可能となり、利用者が要介護認定されないようにして「多様なサービス」に流し込んでいこうというものです。

     そして「自立の促進」とは、新総合事業の適用となった方は、「かがめるようになる」、「一人で買い物に行けるようになる」などの「目標」「課題」を持たされ、行政側から「目標達成」「状態改善」とみなされると、単価の安いサービスへの転換やサービスの「終了」を行政から求められることとなります。

     このような要支援者サービスの切り捨てをはじめ、特養入所を原則「要介護3」以上に限定し、限定された「特例入所」を認めるとして膨大な介護難民を放置したまま、見かけ上の待機者を減らそうというものです。

     2割負担の導入は、所得160万円(年収280万円)以上の層に対し、2割負担を導入しようというもので、個人の所得で決まることから、夫の年金収入が280万以上で妻が無収入でも夫の利用料は2割となります。

     このほか低所得者が介護施設を利用する場合に食費・居住費を軽減する「補足給付」の縮小・打ち切りも行われます。

     これらの制度改悪①要支援者サービスの切り捨て②特養入所者の「要介護3」以上への限定③2割負担の導入④「補足給付」の縮小・打ち切りについて、市としてどのように認識し、対応しようとしているのか答弁を求めます。

      次に、4,998円から7,000円超と1.4倍にもなると試算されている介護保険料の軽減策についてです。

     このような制度改悪が強行されようとしていますが、保険料は安くなるのかと言えば大幅な増額という実態が明らかとなっています。

     107日を締め切りとして都道府県を通して全国市町村の「第6期給付見込みと保険料推計ワークシート」が厚生労働省に提出されました。その保険料推計ワークシートの内容が、124日開催のくすのき広域連合第6期事業計画策定委員会の事務局説明で明らかにされました。

     事務局説明によると、現在の基準額の月額4998円の保険料が7,000円超と何と1.4倍にもなるという驚くべき内容です。

     合わせてくすのき広域連合では、第5期の期間中の赤字分を財政安定化基金から借り入れを行っており、その返済分も介護保険料に上乗せされることから、さらに高い保険料となります。

     そこで、厚労省に提出した保険料推計ワークシートでは、現在の4,998円からいくらになると推計されたのか、またその推計額から上乗せされる財政安定化基金の返済の影響額についても答弁を求めます。

     そしてこのように試算されている保険料をこのまま負担を求めていくのか、軽減策が必要と考えますが、これはくすのき広域連合任せではなく、負担金の増額を含め本市として軽減策を提案し、実施を求めていくべきと考えますが、答弁を求めます。

    次に、第6期介護保険事業計画と高齢者保健福祉計画との整合をどのように図るのか、介護保険事業計画策定委員会において明らかとなった広域連合の「機能不全」の認識と対応についてです。

     来年度に向けて介護保険事業計画と高齢者保健福祉計画の策定に向け、現在それぞれの策定委員会が開かれています。

     両計画は本市において高齢者施策をすすめるうえで、「車の両輪」として機能しなければならいことは言うまでもありません。しかし、両計画の策定委員会の議論を見ますと、車の両輪にふさわしい計画が策定されるのか危惧せざるを得ない状況となっています。

     1031日開催の第1回高齢者保健福祉計画策定委員会では、徘徊見守りネットワークについては、「介護保険事業計画と市の保健福祉計画とお互いに検討して一歩も進んでいないのではという現場の思いもあります。本当に地域包括ケアを進めるというときに、お互い見合う様な連携ではなくて、ものが進むような方向に是非考えていただきたいと思います。」との意見や、先ほどの新総合事業に関わって今後の考えを聞かれ「介護保険事業計画と整合性を図るというところで、今後調整する」との市の回答に「介護保険事業計画と市の計画の振り合いで灰色的なことになるか、市民にとっては不幸なことですので、是非明確な線引きをしながら計画をつくっていただきたい」との意見が出されています。

     また、124日開催のくすのき広域連合の第6期介護保険事業計画策定委員会では、認知症対策については網の目が粗いとの指摘や地域支援事業の位置付けや具体化が不十分で研究会を持ってほしいとの要望が出され、地域包括支援センターの強化について曖昧、深刻な人材確保について盛り込んでほしいとの要望に対し「案思い当たらない」などなど。

     そして、「3市の調整」ばかりで、目の前の問題さえ解決できない、3市の独自の取り組みを尊重すべきとの厳しい指摘もありました。

     今回の介護保険制度改悪の問題点は多々ありますが、両計画策定委員会の議論はそもそも広域連合が十分に機能せず、「機能不全」に陥っているのではないかとの思いを強く持ちました。

     以上の問題点を踏まえ、介護保険事業計画と高齢者保健福祉計画との整合をどのように図るのか、くすのき広域連合は「機能不全」に陥っているではないか、認識と今後の対応について答弁を求めます。

     

    【保健福祉部長の答弁】

     介護保険制度改正への対応についてであります。

     まず、介護保険制度改正に対する認識と対応についてであります。

     今般の介護保険制度の改正は、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向け、高齢者が住み慣れた地域のなかで暮らし続けていくために、医療や介護、住まい、予防、生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築に向けた取組みを一層推進すること、また、介護保険制度の持続可能性を勘案した費用負担の公平化などを目的に行われたものであります。

     改正による影響も否定できないところではありますが、生活に密着したきめ細かなサービスが適正に提供できるよう、市民周知も含め制度改正への対応について、くすのき広域連合と綿密に協議してまいります。

     次に、介護保険料に対する軽減策等についてであります。

     現行の介護保険料は月額4,998円でありますが、第6期介護保険事業計画における保険料につきましては、9月の中間報告における国のワークシートへの未確定要素を含む数値入力の結果として、月額7,032円となり、その時点での財政安定化基金償還による影響額は174円とのことであります。

     また、保険料の引上げにつきましては、今後の要支援・要介護認定者数の増加に伴う給付費の伸びや財政安定化基金からの借入れ償還分などを考慮する中、避け得ない状況にあると聞き及んでおります。

     保険料の軽減策につきましては、構成市の負担金の増加にもつながることから非常に困難と考えておりますが、保険料増加は全国的な課題であり、財源構成を含めた抜本的な制度改正や低所得者対策など、引続き、国、府に対し、広域連合とともに要望してまいります。

     次に、第6期介護保険事業計画と高齢者保健福祉計画との整合性をどのように図るのか、及び広域連合の「機能不全」に対する認識と対応についてであります。

     現在、介護保険事業計画策定にあたり、地域包括ケアシステムの構築に向けた新しい地域支援事業の充実などについて、広域連合と構成3市での協議を重ねているところであります。また、地域支援事業の推進につきましては、市単位での運用や体制づくりが望ましいと考えられるものもあることから、介護保険事業計画策定過程で整理された理念を高齢者保健福祉計画に反映することにより整合性を図るべく、取組んでいるところであります。

     いずれにいたしましても、両計画は今年度中の策定を目指しているところであり、広域連合、本市のそれぞれにおいて検討を進めつつ、情報交換も密にし、進めてまいりたいと考えております。

     両計画の審議において、今後の調整事項となった部分はありましたが、今般の制度改正は、非常に大きなものでありながら、改正内容を具現化するガイドラインなど、国が詳細について示していない要素もあり、広域連合の「機能不全」との認識はございません。

     今後とも、検討中の両計画の策定をはじめ、必要な方に適正なサービスが提供できる体制づくりのため、広域連合と構成3市において、引続き、精力的に協議、調整を図ってまいりたいと考えております。

     

    【再質問】

    介護保険制度の改悪に対する認識について「改正による影響も否定できない」との答弁ですが、具体的にどのような影響があると考えているのか答弁を求めます。

    保険料の軽減策について「構成市の負担金の増加にもつながることから非常に困難」との答弁ですが、市としてこれ以上の負担金の増加は困難だと考えているのか、他市との協議をしていないから困難と考えているのか、そうだとすれば協議を経て一定額を構成市の負担金の増加によって軽減を図るよう提案をすべきと考えますが答弁を求めます。

    地域支援事業の推進について「市単位での運用や体制づくりが望ましいと考えられるものもある」との答弁ですがどのようなものか答弁を求めます。

    広域連合が「機能不全」との認識はないとの答弁ですが、2006年度(平成18年度)の制度改正以降、地域包括支援センターの設置をはじめ「地域」という考え方が取り入れられ、広域連合が時代遅れや実情に合わなくなっているのではないか、現行制度においてスケールメリット以外に広域連合のメリットはあるのか。今後あり方をしっかり検証し、本市が保険者として介護保険制度を運営することも視野に入れるべきと考えますが答弁を求めます。

     

    【再質問に対する答弁】

    介護保険制度改正による影響につきましては、一部介護予防給付の新たなサービスへの移行やサービス利用時の費用負担の増加などを想定しております。

     次に、保険料の軽減策としての市の負担金増についてでありますが、介護保険制度の運営は保険料や国・府・市の公費負担による独立した財政運営をすることとされ、平成121130日付の国の事務連絡において、市の一般財源投入による保険料軽減は適当ではないとされております。本市としましても、このことから負担金の増加は考えておりません。

     次に、地域支援事業の推進についてでありますが、新しい介護予防・日常生活支援総合事業や、在宅医療・介護連携の推進などに向けたサービスの運用や体制づくりは、各市の地域特性を踏まえ、既存の社会資源を活用する必要があることから、地域支援事業については、市単位での推進が望ましいものもあると考えております。

     次に、介護保険制度の運営についてでありますが、広域連合を構成する大きな目的は、保険財政基盤の安定、介護施設整備などサービス基盤の効果的整備促進、行財政の効率化などの規模のメリットを活かせることであり、現在はこれらの利点を考慮し広域連合で行っているものであります。

     なお、本市が保険者として運営することにつきましては、現時点では考えておりません。