[2014.9.25] -[議会活動]
幸福町・中町のまちづくりについて
(1)開発会社への建物補償29億円問題と住民訴訟について
この問題は、門真市と二人三脚でまちづくりをすすめてきた光亜興産株式会社及び株式会社サンコオア(以下「開発会社」)が、4年半前の2010年3月に旧ダイエーの土地・建物を取得し、翌年の2011年7月に門真市が発表した「門真市財政健全化計画・中期財政見通し」においてその用地の一部を体育館用地とする考えが突然示したことから、いち早く事業用地となりました。
そして、その翌年の2012年3月議会に旧ダイエー建物の一部について建物除却補償費18億円がまず予算計上され、翌年2013年3月議会には、補正予算で残りの建物の除却補償費14億円余が計上されました。
この予算計上について党議員団は、当初予算の審査段階から問題点を指摘してきましたが、昨年3月議会での補正予算の委員会審査では、問題点が浮き彫りとなり、「否決すべきもの」と決しましたが、本会議では、公明党、自民党、門真市民クラブの賛成多数で可決され、昨年12月までに総額29億円余の建物の除却補償費が開発会社に支払われることとなったものです。
昨年6月の市長選挙においても税金の使い方として問題があると争点の一つともなりましたが、この開発会社が保有するビルを市長側が選挙事務所として使用したことが後にテレビの報道番組でも取り上げられ、「問題はないのか」と質される場面もありました。
この問題は、昨年11月1日付一般紙の夕刊一面に、「『無価値建物に』移転補償」「地元会社に29億円」「元担当部長の天下り」との見出しで大きく取り上げられたことから、広く市民に知られることとなりました。
そして、11月18日には市民から住民監査請求が提出され、今年に入り監査結果を不服として住民訴訟が提起され、後に市民12人が住民監査請求を経て、住民訴訟に共同参加することとなり、10月28日には第4回目の口頭弁論が予定されていますが、まず住民監査請求及び住民訴訟に関するこれまでの経過について答弁を求めます。
さて、住民監査請求を行った市民はじめテレビや新聞報道などでこのことを知った市民のみなさんは、財政が苦しいと言いながら、価値のない建物に29億円もの莫大な市民の税金や国の補助金、交付金を建物除却補償費として支払う一方で門真市は1㎡の土地も取得しないということに疑問や憤りの声が高まっています。
入札を経て取得したとされていますが、開発会社が4年半前に旧ダイエーの土地と建物をどのような額で取得したのかについては、国土利用計画法第23条第1項に基づく土地売買等届出書に記載の額が市側の訴訟準備書面(1)によって明らかにされています。
土地売買等届出書に記載の土地、建物それぞれについての売買契約の対価の額、その建物に対する門真市が支払った除却補償費(建物の価値補償分、解体撤去費)について答弁を求めます。
この29億円問題について、党議員団が取り組んだ市民アンケートでも、「知っている」と答えた方は68%、「問題である」と答えた方は73%、「わからない」が23%、「問題ない」と答えた方は僅か4%です。
「問題ない」とする市や議会の「多数」と市民との認識の違いは歴然としています。
この問題について「知らない」との回答が3割、「問題である」との回答が7割を超える現状は門真市側からすればこの問題が市民に「十分理解されていない」わけで、「問題ない」とする議会からも、新聞の報道だけではなく、市のほうからも広報、ホームページを使って一定の事業の内容について市民にしっかり周知、説明してほしいとの要望も出されています。
これまでこの問題について、市民に対しどのように説明してきたのか、今後どのように説明していこうとしているのか、答弁を求めます。
(2)開発会社が事務局を務める事業組合で事業計画書を策定せず事業がすすめられている問題について
幸福町・中町のまちづくりは、住宅市街地総合整備事業と区画整理事業の手法で現在進められています。
住宅市街地総合整備事業の推進に当たっては、幸福町地区、中町地区それぞれ共同整備事業組合が設立されていますが、いずれも問題となっている開発会社がその事務局を務めています。
この共同整備事業組合が行う事業は、組合規約で明確に定められていますが、その第一番目に共同整備事業に関する事業計画の策定とその推進及び調整とあり、本事業は「事業計画書」にもとづいて実施するとされています。
しかし、この間明らかになったことは、この事業計画が策定されていなかったこと、策定されずに事業がすすめられていたことです。
開発会社が事務局を務める事業組合が、事業計画も策定せずまちづくりがすすめられているとすれば大変なことで、この点について市は本年6月議会の総務建設常任委員会において「組合において事業計画書が策定されていないということは、組合の不備であると認識していますことから、組合に対しては助言を行っているところ」との答弁を行っていますが、事業組合に対しどのような助言を行ったのか、その後事業組合でどのような対応がなされたのか、答弁を求めます。
(3)今後のまちづくりについて
現在中町地区においては、旧ダイエー跡地や中町公園跡地に区画街路の整備がすすめられ、体育館建設予定地には整備予定時期や整備イメージの看板が設置されています。
体育館の整備については、再来年の2016年(平成28年)秋とされ、年度中にまちびらきとしていますが、現在の進捗状況と北側のUR保有地をはじめ全体のまちづくりに対する市の考えについて答弁を求めます。
あわせて幸福町地区についても現在の進捗状況、事業区域の考え、全体のまちづくりに対する市の考えについて答弁を求めます。
また、幸福町・中町のまちづくりについては、「公民協働によるエリアの再整備を行う仕組みの具体化を図る」ことを目的とした「門真市幸福町・垣内町・中町まちづくり協議会」が関与していることと思いますが、このまちづくり協議会も問題の開発会社が事務局を務めています。
現在、このまちづくり協議会が幸福町・中町のまちづくりにどのように関与しているのか、2月に4年半ぶりに会議が開かれていますが、その後の開催状況等についても答弁を求めます。
【まちづくり部長の答弁】
まず、住民監査請求及び住民訴訟に関するこれまでの経過についてでございます。
中町地区整備事業に係る旧ダイエー建物補償が、違法な公金支出であるため、返還請求するよう求めた住民監査請求が2件提出されましたが、市監査委員は、いずれも請求人の主張は理由がないものとして棄却されました。
その後、監査結果を不服として、住民訴訟に至ったものでございます。
住民訴訟につきましては、26年3月18日に第1回目の口答弁論が開催され、現在までに3回にわたり口頭弁論が行われ、10月28日に第4回目が予定されております。
次に、土地売買等届出書に記載の土地、建物それぞれについての売買契約の対価の額、その建物に対する門真市が支払った除却補償費についてでございますが、国土利用計画法に基づく、土地売買等届出書に記載されている対価の額につきましては、現在係属中の住民訴訟の準備書面に記載されておりますし、また、そのような届出の書類自体が、全て開示された状態で、裁判所に、証拠として提出されております。
これは、公正妥当な訴訟の実現のため、関係者の不利益に配慮しつつ、訴訟資料として、裁判所に提出されるものでございまして、訴訟資料は、民事訴訟法に定められた要件に従い、裁判所において、所定の手続を経て、閲覧・謄写が認められるものでございます。
このような仕組みは、本市情報公開条例とは異なる裁判所における手続でございますので、対象となる個人情報・法人情報等の取扱いに、差異が生じる可能性がございます。
今回ご指摘の内容につきましては、係属中の事案であり、本市情報公開条例においても、不開示情報に該当するものと考えられますので、答弁は、差し控えさせていただきます。
なお、建物補償費につきましては、建物の現在価値補償相当分23億9,762万2,194円、除却工事費相当分5億4,628万4,806円でございます。
次に、この問題について、市民に対してどのように説明してきたのか、今後、どのように説明していこうとしているのかについてでございますが、住民監査の結果につきましては、市のホームページ及び広報にて公表しております。
住民訴訟の経過内容につきましては、係属中であることから、現時点では、市民の皆様に公表することは差し控えさせていただいております。
しかしながら、説明責任があることから、住民訴訟の結果等については、今後、市民の皆様にお知らせしていく方向で検討してまいりたいと考えております。
次に、事業組合に対してどのような助言を行ったのか、その後、事業組合でどのような対応がなされたのかについてでございますが、共同整備事業組合の事務局には、事業計画の明文化を始め、組合運営を適正に行うよう助言を行ったところ、事業計画書は作成されたのことで、次回の総会にて、決定されるものと聞き及んでおります。
次に、中町地区及び幸福町・垣内町地区の現在の進捗状況でございますが、中町地区につきましては、26年3月に「中町土地区画整理組合」が設立され、現在、公共施設整備工事に着手し、幸福町・垣内町地区につきましては、権利者に区域の拡大に向けた事業の説明や各種調査を行っているところであり、早期の事業区域確定を目指しております。
次に、幸福町・中町地区の全体のまちづくりについてでございますが、第5次総合計画で、「市民が憩い・集う施設などが集積し、日常生活や様々な市民の交流や活動の中心となる場として整備するゾーン」として位置付けられており、中町地区の市用地には、体育館等や防災機能を有する公園、また、UR用地には、良質な共同住宅の誘導を行い、幸福町・垣内町地区には、生涯学習複合施設や広場の整備を計画しております。
最後に、「門真市幸福町・垣内町・中町まちづくり協議会」が、幸福町・中町のまちづくりにどのように関与しているのか、2月に4年半ぶりに会議が開かれているが、その後の開催状況等についてでございますが、まちづくり協議会は、公民協働のまちづくりの理念に基づき、民間の立場として区域全体のまちづくり構想案の提案、共同整備事業組合の立ち上げ支援、まちの完成後の運営・維持管理方法等を検討する組織として認識しております。
また、まちづくり協議会の会議の開催状況につきましては、第5回協議会以降は、開催されておりませんので、よろしくご理解賜りますよう、お願い申し上げます。
【再質問】
開発会社が4年半前に旧ダイエーの土地と建物をどのような額で取得したのかについて、国土利用計画法に基づく「土地売買等届出書」に記載されている対価の額についての質問に対し、「係属中の事案であり、本市情報公開条例においても、不開示情報に該当するものと考えられますので、答弁は差し控えさせていただきます」との答弁でした。
しかし、私が示した質問書全文に対する22日夜の答弁案は、売買契約の対価の額について土地建物それぞれ明確に示されたものでした。
この答弁案を踏まえ、明らかにされた数字をもとに計算すると、開発会社が約9億円を手元に残し、13,000㎡の広大な土地をタダで手に入れたことになるとの考えを示し、それを確認する再質問の内容を通告すると、昨日突然、先の答弁のように「答弁は差し控える」との答弁案を示し、今日に至っています。
そもそも答弁を求めた内容は、被告である市側から提出された準備書面に記載の内容で、土地売買等届出書は国土利用計画法に基づいたもので、争う余地のない客観的事実です。
全く理解・納得できないもので、突然「答弁は差し控える」との答弁内容に変わった経緯について明確な説明を求めます。
そしてこの問題については、今後決算特別委員会の審査をはじめ徹底して問題点を明らかにしていきたいと思います。
次に、「門真市幸福町・垣内町・中町まちづくり協議会」についてです。
まちづくり協議会の役割を「公民協働のまちづくりの理念に基づき、民間の立場として区域全体のまちづくり構想の提案、共同事業整備組合の立ち上げ支援、まちの完成後の運営・維持管理方法等を検討する」としていますが、「区域全体のまちづくり構想」については、すでに提案されているのか、提案されているとすればどのような内容か。提案されていないとすれば今後どのように提案されようとしているのか、その提案は事業計画にどのような経過を経て反映されるのか答弁を求めます。
【再質問に対する答弁】
まず、答弁内容が変わった経緯についてでありますが、当初の答弁案につきましては、係属中の事案としては、明らかにしても影響のないものと考えておりましたが、被告訴訟代理人弁護士のアドバイスを参考に庁内で協議した結果、先ほどご答弁申し上げましたとおり、係属中の事案であり、不開示情報に該当するものと考えられることから、答弁を差し控えたものであります。
なお、議員ご指摘の「開発会社云々」とのご発言の内容につきましては、裁判の中で明らかにされるものであると考えられることから、それに基づいて答弁書の変更を行ったものではないことを申し添えておきます。
次に、区域全体のまちづくり構想の提案についてでありますが、本年7月に、まちづくり協議会から市に対して、「芸術」をテーマに都市の魅力を創造し、それに協応したインフラ整備を行い、訪れてみたい、住んでみたい街の創造をコンセプトとした、まちづくり構想の提案がされたところであります。
現在、まちづくり推進課において、内容の把握を行うとともに、第5次総合計画や幸福町・中町まちづくり基本計画など、各種計画との整合性の検証を行っているところでございます。
今後、庁内での協議を経て、市として一定の方向性が出てまいりましたら、議会への情報提供を行うとともに、事業計画への反映など、門真の顔づくりを進めるべく、取り組んでまいりますので、よろしくご理解賜りますよう、お願い申し上げます。