[2005.10.9] -[門真民報]
30日、本会議が開催され園部市長の所信表明に対して、各会派から代表質問が行われました。日本共産党を代表して、中西みよ子議員が市長の所信表明の8割引用問題や「経営感覚」「コスト主義」・自立、自助を強調する市長の考え方など16項目を質しました。
8割もの盗用は、議会を冒涜し市民への背信行為・陳謝だけでは、市民は納得しない!
中西議員は、代表質問の冒頭、市長が所信表明に8割もの太田府知事の演説を引用した問題を取り上げました。この問題は、当初わが党が指摘し、テレビ・新聞等で全国に報道された。これを見た市民は「恥ずかしい」「なぜ、こんな汚いことをするのか」と怒り、「市長はやめるべき」こんな厳しい声も聞かれる。本日・冒頭、市長は陳謝したが、陳謝だけでは市民は納得しない。このことは、市民・職員の信頼をなくし市政の停滞を招きかねない。この問題の責任をどうとるのか。信頼回復のためにどうしていくのか質しました。
市長の、「経営感覚の徹底」「コスト主義」「民間活力」などの考え方は、自治体の市場化を急速にすすめる小泉構造改革に追随している。 小泉内閣は、財界の要求のまま、市場原理がすべての価値に優越するものとみなす新自由主義的考え方のもとで、自治体を市場に開放するためのPFI・構造改革特区・指定管理者制度などの手法を次から次へとすすめ、ついには、社会保険庁・ハローワーク・刑務所などの公的機関も市場化しようとねらっている。しかし、世界では、こうした新自由主義は、高額所得者と低所得者と社会的格差を広げ、破綻を招いている。市長は、こうした破綻をどう見ているのか。市長の考え方は、地方自治体の役割である「住民の福祉の増進」という役割を放棄することになるのではないかと質しました。
市長は、所信表明で行財政改革推進計画の策定を急ぐとし、職員の削減や施設の民営化、民間委託などを進めていくとしています。中西議員は、市民本位の行革を進めるにあたって3つの点から質しました。(1)保育所や学校給食や公共施設の民間委託など自治体の市場化が行われれば、・税金で建設された公共施設が民間企業の営利の手段にされてしまう・積み上げられてきた自治体のノウハウがなくなる・市民は、顧客・消費者となり権利の主体でなくなるなど問題があり、実施すべきでない。(2)公的責任を堅持した財政再建にするためには、中小企業の支援や子育て支援をおこない税収入を増やす総合的な施策をまた、生活保護者への自立支援を、歳出については、一つ一つの施策を、コスト面でなく、市民にとって必要なのか洗い出し、すぐにできる借上げタクシーの廃止、特別職の給与、退職金の見直し、人権協会負担金廃止などはすぐ実行すべき。(3)行財政計画策定にあたっては、職員の議論を深め、現場から積み上げ、市民にはきちんと説明責任を果たすよう求めました。
市長は、「新たな産業分野も開拓しながら本市の構造改革を急ぐことが大事」と述べ、ベンチャー企業の誘致を強調している。しかし、今まで門真を支えてきた中小企業にこそ光をあてて元気にさせることが重要だと指摘。 中小企業は、長引く不況の影響や小泉内閣の不良債権処理のもと、倒産や廃業に追い込まれている。こんな時だからこそ、「中小商工業振興基本条例」を制定し、中小商工業へ市の支援策を強めるよう求めました。
自立・自助でなく安心して住める支援策を
市長は、「必要なサービスを自ら選択し、自立して暮らせる社会づくり」をめざすとしているが、必要なサービスを受けたくてもお金がなければ利用できない。市民が安心して暮らせるために市の支援策が必要だとして次の2点を求めました。(1)障害者の自立を妨げる「障害者自立支援法」について、国に対して撤回を求めるべき(2)来年度、介護保険料の見直しの時期でさらに値上げとなることが予測される。保険料の減免をくすのき広域連合に求めるべき。また、デイサービスなども利用料が高くなる。市として助成を行うべき。
保育所の増設・35人学級など安心して子育てできるまちづくりを
門真市の特殊出生率は、1・22と低く少子化対策が深刻となっている中、市として積極的対応が求められているとし、次の2点を質しました。(1)今年も、保育所に入所申込みをしながら入れなかった子供達は、369人もおりこれでは、女性は働くことができない。市長はこうした待機児童についてどう考えるのか。保育所増設についてどう考えるのか。(2)市長は、所信表明で平成19年度、小学校1・2年生で35人学級になる予定だというが、これは大阪府の制度である。市独自の35人学級には何ら触れず、少人数指導を行うとしているが、少人数学級の方が不登校やいじめなど生活面でも、学力面でも効果があることが文科省の調査で明かとなっている。ぜひ、門真市としても、不登校が多く、生活指導が困難な中学校から35人学級を実施すべき。
騒音や排ガスなど深刻な第2京阪道路の公害対策・北島地域の景観の保全求める
今、門真市を分断する大きな道路、第2京阪道路の工事が着々と進められている。市長は、何らこの問題について触れていないが、南部のまちが大きく変わろうとし、市民の健康にかかわる重大問題だとして次の2点を質しました。(1)第2京阪道路の周辺には、病院・老人ホーム・小学校・中学校などがあり、万全な公害対策が求められている。しかし、不充分なため沿道住民の3376人が公害調停を行っている。市長は、公害調停を訴えている住民の声をどう受け止めるのか。門真市民の命と健康を守る立場にある市長自らが国や道路公団に出向き再アセスや公害対策を強く求めるべき。(2)門真で唯一、自然が残る北島調整区域をけさがけに第2京阪道路が通過する。この地域は、河内レンコン栽培を中心とする田園地帯で、1年間に約20種類の野鳥が飛来するなど豊かな自然が残されている。せめて、一定の区域を水と緑のゾーンとして保全すべき。また、河内レンコンの栽培支援も行うべき。
1、市長の政治姿勢について
(1)新自由主義について
市場主義を標榜し、経済的自由競争を絶対視する新自由主義をすべて肯定するものでなく、分権時代における新しい門真市政を進めるにあたり、コスト意識に根ざしたバランスある経営感覚を市政に導入していく考え。
(2)所信表明の問題について
私は、太田府知事の演説された改革理念に深く感銘を受け、本市再生にとってその理念が最善のものと確信し、この言葉を引用した。
2、市民本位の行財政改善について
(1)民間委託など自治体の市場化について
これまで、市が提供してきた公共的サービスが、公共で実施すべきものであるのか、また、民営化や民間委託、指定管理者制度の活用により実施すべきか再度点検することにより市の役割を純化し、最適なサービスの提供を行っていく。
(2)市民のための行財政改善について
歳入・歳出、両面にわたる徹底した見直しと市政全般にわたる施策の再構築に取り組むとともに、今どうしてもやらなければならいないことを見極めていく。
(3)職員・市民参加の行財政計画づくりについて
基本方針や理念はトップダウンとして定めていく。各職場からのボトムアップは非常に大切。時間的な制約があり、今回、(市民への)説明会は予定していない。
3、中小企業支援策について
中小企業を積極的に支援できるよう商工部門の拡充を図るとともに、検討会をたちあげ、実態調査や・中小商工業振興条例の制定など産業再生について協議する。
4、自立・自助でなく安心して住める支援策について
(1)障害者自立支援法について
市長会等を通じ、障害者及び市の負担増とならないよう国に要望していく。
(2)介護保険制度の保険料減免・利用料助成について
低所得者に対する保険料減免は、介護保険制度の中で講じられるもの。利用料助成について、独自の助成は困難。
5、安心して子育てできるまちづくりについて
(1)保育所増設について
早期に保育園の待機児解消を図るためには、分園などによる定員増加の手法も検討の必要がある。
(2)35人学級について
現時点では、(35人学級)は予定していません。
6、安全でうるおいのある街づくりについて
(1)第2京阪道路について
再アセスは必要ない。環境保全対策や供用後の環境監視等について、万全を期するよう要望する。
(2)北島地域の景観の保全について
地権者を含む市民と行政、それぞれの想いに整合がとれるよう検討。
(再質問)
1. 所信表明の8割引用問題・どう責任をとるのか
市長は「大阪府知事の演説に感銘を受け引用した」というが、自分の言葉で述べるのが政治家ではないか。感銘を受けたからとほとんど、引用するのでは、市長としての資質が問われる。お詫びや今後に生かすだけでは、市民は納得しない。再度、伺うが、市の名誉を傷つけ、信用を失墜させた責任をどうとるのか。
2. 行財政改善計画について説明責任を果たすべき
財政改善計画の市民への説明会は、時間の制約がありできないということだが、これでは、市長の「市民に説明責任を果たし、市民と対話しながらともに社会づくりを進める」という方針を自ら放棄し、実行が大事といいながら実行しないのは問題だ。行財政改善計画は、市民の暮しやサービスに関わることであり、きちんと説明責任を果たすべき。