[2013.6.7] -[議会活動]
1. 「少人数行政」の問題点について
園部市政の8年間は、「官から民」「民間で出来ることは何でも民間」「全国一スリムな行政」をスローガンに、保育所の民営化、ごみ収集委託や包括委託、指定管理者制度の推進などを次々とすすめてきました。
保育所の民営化では、一度に多くの職員が辞める園が出るなど、現在においても園児と保護者に深刻な影響を及ぼしています。民間委託の推進による「偽装請負」状況を党議員団が指摘し、あわてて是正するという問題もありました。包括委託や指定管理者制度においても、チェックが十分にされていなかった問題も明らかとなりました。
このような「少人数行政」の推進は、市民サービスと公的責任の後退をまねいており、抜本的に見直す必要があるとの認識から以下の点について質問します。
①職員数の推移と現状について
第2次定員適正化計画では、2005年4月時点の職員数1098人を2015年に825人以下に「適正化」するとすすめていますが、その根拠について改めて問うとともに、その推移について非正規雇用の状況も合わせて答弁を求めます。
また、委託や民営化による職員削減によって、委託先で非正規雇用に置き換わっているとしたら、行政が委託によって、いま問題となっている非正規化を促進していることとなりますが、その現状と認識について答弁を求めます。
②公的責任、市民サービス低下の認識について
「少人数行政」の推進は、先程も述べたように多くの問題点があります。職員の多忙化によって日常の業務に追われ、創意による効率的な事務の推進や適切な市民対応、市内の状況把握など施策改善への取り組みなどが不十分となり、公的責任や市民サービスの低下につながる、又は起こっていると考えますが、認識について答弁を求めます。
③委託等に対するチェックと職員の専門性について
業務委託の推進で、職員数の削減や「安上がり」な行政を進めていますが、業務委託はすすめればすすめるほど、職員の業務をしっかりとチェックする専門性とスキルの向上が不可欠です。業務がしっかりとチェックできなければ、その質が低下するのは必至です。また、最初は安いと思われていた委託料が高くついていたとしても気がつかないということなどが容易に予想されます。
委託等に対するチェックと職員の専門性の向上等についての現状と今後の考えについて答弁を求めます。
④災害時の対応について
昨年8月14日に発生したゲリラ豪雨による市全域に亘る浸水被害では、職員のみなさんの昼夜分かたぬ対応がされ、市民のみなさんからも歓迎の声が多かったのではないでしょうか。しかしながら少人数行政や委託化の推進によって、必ずしも十分とはいない局面もありました。
災害時の対応は、浸水被害だけではなく、今後予想される大地震についても重要で、しっかりとした人員配置と直営業務の維持が求められます。
こうした観点から、現在の職員数や委託化の計画が適切なのかどうか、委託化ではごみ収集業務全て民間委託との方向ですが、見解を求めます。
⑤定員適正化計画の抜本的見直しについて
以上、現在の定員適正化計画は、公的責任と市民サービス低下を招き、今後も危惧されることから抜本的に見直すことが求められると考えますが、答弁を求めます。
【総務部長の答弁】
職員数の推移と現状についてであります。第2次定員適正化計画の目標につきましては、本市と行政形態の近い北河内各市の職員数及び適正化計画の状況を参考に策定したものでありますが、一方では、本市特有の課題等を考慮し、部門ごとに類似団体との比較検証も行ってきたところであります。
次に正規職員数と非正規職員数の推移でありますが、平成17年より正規職員数は1,098名、1054名、1,029名、966名、911名、890名、862名、832名と推移し、平成25年には804名となっております。一方、非正規職員数は、平成17年より、298名、309名、294名、307名、189名、190名、223名、203名と推移し、平成25年には190名となっております。
次に市の業務委託による「非正規化」についてでありますが、現在、委託先における正規、非正規の割合は把握しておりませんが、「非正規化」を促進しているという認識はございません。
次に公的責任、市民サービス低下の認識についてでありますが、少数精鋭の効果的・効率的な行政運営を進めることが直ちに公的責任や市民サービスの低下につながるとは考えておらず、年齢構成の平準化を意識し一定数の職員採用や適材適所の人員配置、業務の見直し、職員の意識改革等の取組みを進める中で、市民サービスの維持向上に努めてきたところであります。
次に、委託等に対するチェックと職員の専門性についてでありますが、個別事業の各担当課において受託事業者に対し、情報、技術の共有、研さんを行っていくよう、管理監督を的確に行うとともに、職員の専門性が低下しないよう、職員間の事務の引継ぎを徹底して、事業を実施していくことが、重要であると考えております。
今後におきましても、公的責任を果たしながら、市民サービスの向上を図るとともに、事務の効率化、経費の縮減や行政と民間との役割分担を見きわめつつ、最善の方策により事業運営を行ってまいりたいと考えております。
次に災害時の対応を踏まえ現在の職員数や委託化計画が適正なのかについてでありますが、先の東日本大震災における被災市町村の状況やその後の対応について検証を行う中で、職員数や業務委託につきましても、検討を行ってまいりたいと考えております。
また、ごみ収集業務については、現時点においては、民間委託が可能であるものとの考えております。
次に定員適正化計画の抜本的見直しについてでありますが、すでに目標職員数を達成している状況、また策定から8年が経過し、地方分権の推進に伴う権限移譲の状況等も踏まえる中、新たな計画を策定するべき時期にあると認識しているところであり、策定に向け、あらゆる角度からの検討を行っているところであります。
2. ゲリラ豪雨などに対する浸水対策について
①8.14ゲリラ豪雨後の浸水対策の検討と実施状況について
昨年8月14日に発生したゲリラ豪雨は、時間帯では1時間当たり100ミリもの豪雨で、浸水被害は市全域に及び、床上浸水は300棟を超え、床下浸水は約2,000棟という近年にない浸水被害となりました。
この浸水被害に対し、職員や地域のみなさんの昼夜分かたぬ対応がされました。
しかし、浸水被害で市民が苦しんでいるときに市長は8月1日からの長期の夏休み中、本来なら何をおいても門真に戻るべきですが、市民の苦しみをよそに帰阪したのは18日、登庁したのは20日でした。
災害時に市長が現場でリーダーシップを発揮しなかったことについて、多くの市民のみなさんからは憤りの声が寄せられ、市長としての「資質」が厳しく問われました。
このゲリラ豪雨による浸水被害によって、様々な課題が明らかとなり、6月14日から増補幹線による雨水の貯留が開始されますが、本市においても浸水対策について様々な検討、具体化が図られたと考えます。
今日までの検討状況と、実施状況について答弁を求めるとともに、今後の考えについて答弁を求めます。
②雨水貯留施設整備に関する促進施策の周知及び独自施策の実施について
浸水対策については、あらゆる方策を検討し、総合的にすすめていくことが重要だと考えます。
地下河川や増補幹線、調節池の整備も重要ですが、下水道や河川に流出する雨水をできるだけ抑制することが必要です。
2004年5月に施行された「特定都市河川浸水被害対策法」に基づき様々な施策が講じられており、雨水貯留浸透施設整備に関する促進税制があげられますが、その制度の概要と適用状況、制度の周知状況について答弁を求めます。
また、他の雨水貯留浸透施設整備に関する促進施策について答弁を求めます。
雨水貯留浸透施設整備に対しては、独自に助成制度を設けている自治体が少なくありません。
雨水貯留タンク、浄化槽転用雨水貯留施設、浸透ますや浸透トレンチなど浸透施設に対する助成です。
府下においても助成制度を設けている自治体がありますが、それぞれについて答弁を求めるとともに、本市において実施に対する考えについて答弁を求めます。
【総務部長の答弁】
「雨水貯留浸透施設整備に関する促進税制」について、制度の概要と適用状況であります。
固定資産税におきましては、一定の雨水貯留浸透施設について本来の課税標準額の3分の2とする特例措置がございますが、現在のところ、当該施設として償却資産の申告がないため、その適用はございません。
また、所得税等の所得課税におきましては、一定の雨水貯留施設等の償却費を5年間10%、割増償却できる制度がございますが、国税で青色申告をする場合に対象となり、市ではその適用状況につき把握ができておりません。
次に、制度の周知状況でありますが、平成25年度より開発協議の際、協議窓口において口頭で説明を行っているところでございますのでご理解賜りますようお願い申し上げます。
【都市建設部長の答弁】
まず、昨年8月14日のゲリラ豪雨後の浸水対策の検討と実施状況についてであります。
浸水対策の検討及び実施状況でありますが、浸水被害が市域全体であったため、ゲリラ豪雨後においてすみやかに、既存水路及び公共下水道施設の堆積物調査等を行い、清掃作業を実施するなど、迅速に対応いたしました。
また、こういった被害状況に対応するとともに、既設水路の一時貯留など浸水対策の検討も行い、ゲリラ豪雨の被害が大きかった脇田町地区の浸水被害の軽減を図るため、東門真団地東側既設水路を利用し、雨水を一時貯留するための公共下水道との接続工事を24年12月に行いました。
今後につきましても、門真第3水路をはじめ、雨水の貯留施設として利用可能な水路の有効活用を図ると共に、校庭貯留等の検討及び民間開発等の雨水貯留施設設置指導など、浸水対策に努めてまいります。
次に、雨水貯留施設整備に関する市独自施策の実施状況についてでありますが、大阪府内において、雨水貯留タンクは近隣市である大東市、寝屋川市を含む10市、浄化槽転用雨水貯留施設は2市で助成制度があり、浸透マス及び浸透トレンチ等はございません。
今後、雨水貯留施設設置に対する他市の助成制度について、調査・研究して参りたいと考えておりますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。
【再質問】
① 市の業務委託による「非正規化」について、その割合は把握していないとの答弁ですが、、今後把握し、検証することを考えているのか。検証することを考えていないとすればそれはなぜか。委託によって、正規職員が非正規に置き換わっているとすれば、そのことについてどのように考えるのか答弁を求めます。
② 「少人数行政」をすすめることが、直ちに公的責任、市民サービスの低下につながるとは考えていないとの答弁ですが、保育所の民営化によって一度に多くの職員が辞め、現在においても園児と保護者に深刻な影響を与えていること、民間委託による「偽装請負」の状況があったこと、弁天池公園の指定管理者制度において業務が十分に行われず、そのチェックも出来ていなかったこと、焼却施設の包括委託では、偽装請負など法令遵守についてチェックできていなかったこと、以上について公的責任や市民サービスの低下につながっていると考えていないのか、それぞれについて具体的に答弁を求めます。
③ 委託等に対するチェックと職員の専門性やスキルの向上について「職員の専門性が低下しないよう、職員間の事務の引継ぎを徹底して、事業を実施していくことが重要」との答弁ですが、「低下しないよう」という全く消極的なものです。専門性やスキルの向上について全くすすめる気は無いのか、あるとすればどのように進めていくのか、明確な答弁を求めます。
④ 「現時点において」全てごみ収集委託は可能との答弁ですが、全て委託して昨年8月のゲリラ豪雨時のように、ごみ収集の対応が出来ると考えているのか答弁を求めます。
【再質問に対する総務部長の答弁】
「非正規化」についてでありますが、業務委託契約の性質上、発注者が受注者側の従事職員の雇用形態を把握することは許されておらず、現時点では、非正規化の把握・検証は困難であります。
また、業務委託につきましては、行政事務の効率化を目的に行っているものでありまして、「非正規化」を進めるために行っているものではございません。
次に、公的責任、市民サービス低下の認識についてでありますが、保育所の民営化においては、民営化法人との綿密な調整を図り、弁天池公園の指定管理者に対しては、指定申請書、仕様書に基づく管理の徹底、また、焼却施設の包括委託では、受託事業者に対し、十分な注意喚起を行うなど、法令遵守、公的責任の履行、市民サービスの向上に向け、業務の執行体制の充実・確保を図っているところであり、民間委託や指定管理の実績を積むごとに市民サービスは向上していくことが可能であると考えております。
次に、委託等に対するチェックと職員の専門性やスキルの向上についてでありますが、今後とも職員間の事務の引き継ぎを徹底することに加え、必要とする専門的な研修の受講、自治体間の連携を一層強めるなどにより、専門性やスキルの向上に取り組んでまいります。
また、専門的な領域においては、第3者的に民間のノウハウを活用しチェックすることも可能であります。
次に、全て委託して昨年8月のゲリラ豪雨時にごみ収集の対応が可能であるかについてでありますが、収集委託の総合評価において、災害時の支援・協力について確認いたしており、基本的には、災害時においても、委託仕様書等において、規定するなどにより、対応は可能であると考えておりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。