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  • こんにちは。門真市会議員団です。

    2013年3月議会 市長の施政方針説明に対する代表質問

    [2013.3.7] -[議会活動]

    日本共産党門真市議会議員団 福田英彦

     

    1. 市長の政治姿勢について

      (1)自・公政権に対する認識について

      昨年12月の総選挙において民主党が惨敗し、自民・公明政権が復活しました。自・公合わせて衆議院の3分の2を超える325議席を占めますが、自民党自身が認めているように、様々な問題で民主党政権の裏切りへの国民の激しい怒りが集中した結果であり、自民党の政策や実績が評価された結果ではなく、自・公に信任状を与えたものではありません。
     しかし、自衛隊を国防軍にし、集団的自衛権を行使するための憲法改悪、30年代に「原発ゼロ」とした前政権の方針をゼロベースで見直し、「新安全基準」第二の安全神話で原発の再稼働と新たな原発建設、オバマ大統領との首脳会談で「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になったと」とTPP(環太平洋連携協定)への交渉参加に踏み出す考えを示すなど、早速国民の願いを裏切る方向での動きが始まっています。そして「緊急経済対策」と称して金融緩和と2%のインフレ目標、補正予算では旧来型の大型公共事業推進など、破たんが証明済みの大企業応援策の推進です。生活保護費の削減は、受給者のみならず様々なセーフティネットに多大な影響を与えます。そして来年4月の消費税増税は国民の暮らしや中小企業の営業を直撃します。
     施政方針では、雇用や暮らしへの影響をはじめとした「生活と密着した動きを見定め、市民の皆様の暮らしを守り、住民福祉の増進を図るという地方自治の責務を果たすべく、国に対して要望等にも取り組む」と述べていますが、このような自・公政権による経済対策、社会保障制度改悪、消費税増税の強行が本市においても深刻な悪影響を与えると考えますが、基本認識について答弁を求めます。なお、生活保護基準の引下げに伴う本市への影響については具体的に答弁を求めます。

     経済対策に対する認識につきましては、先日の本会議でも述べましたとおり、いわゆる「三本の矢」により、景気回復への期待の先取り感により、景気回復への兆しが出てきているところであり、継続的な景気の改善、また、雇用、所得の拡大につながるものと期待しております。
     社会保障制度改悪、消費税増税に対する認識につきましては、市民の皆様の暮らしを守り、住民福祉の増進を図るという、地方自治の責務が果たせる制度となるよう、市長会はもとより、あらゆる機会で必要に応じ、要望してまいります。 また、生活保護基準の引下げに伴う影響につきましては、厚生労働省の発表では、中国残留孤児への給付金などは引きさげられると聞き及んでおりますが、保育料基準をはじめとする他の施策につきましては、影響が出ないように配慮がなされるものと認識いたしております。なお、本市独自施策につきましても、影響はございません。

      (2)門真の形を変える大阪都構想について

     橋下「維新の会」の要望に沿って「大阪都構想」を実現するための法律「大都市地域における特別区の設置に関する法律」が昨年9月21日に施行されました。人口200万人以上の指定都市及び指定都市と隣接する市町村の総人口が200万人以上のものについて「特別区」の設置を可能とするものですが、大阪府においては、「二重行政の根絶」を口実に、「大阪都構想」の実現で、大阪市を解体し、財源と権限を「大阪都」に集中し、関西財界が求める巨大開発のために活用することを狙い、この法律の施行を受け、大阪府議会と大阪市議会においては「大阪都」構想の制度設計を行うための「大阪府・大阪市特別区設置協議会」の設置が議決され、今後具体的に進められようとしています。
     施政方針では、大阪都構想について「その動向を注視するとともに、本市への影響を分析し、本市のスタンスを確立していくことが必要」と述べていますが、大阪維新の会がすすめようとしている「大阪都構想」の基本認識について答弁を求めます。

     「大阪都構想」に対する基本認識につきましては、2重行政の解消を図るとともに、中核市、特例市なみの財源と権限を特別自治区に与え、地域密着型で行政サービスの展開を図ろうとするものであると認識いたしておりますが、制度設計、具体の内容はこれからの議論であり、注視してまいります。 

     「大阪都構想」については、大阪維新の会が一昨年11月に「大阪都構想推進大綱」を発表しその工程を示していますが、第一段階では、2015年度(平成27年度)に大阪市と堺市域に特別区を設置し、大阪都へ移行するというものですが、2016年度以降の第二段階では、隣接市町村も再編しさらに広げていくとしています。これは「グレーター大阪構想」と呼ばれていて、グレーター・ロンドンをイメージしているようですが、その対象に門真市も含まれていることが昨年8月大阪維新の会が著した「大阪維新・チーム橋下の戦略と作戦」にも示されています。
     この再編は30万人規模の自治体へ合併・再編して特別区とすることが前提で、守口市や大東市との合併など、門真の形が変わり、門真が無くなることを意味しています。しかも、固定資産税や法人市民税などの財源が大阪都に吸い上げられ6割程度が配分される枠組みであり、市の財源は確実に減少し、市独自に市民の暮らしを応援する施策を実施することは困難となり、市民サービスの大幅後退が危惧されます。地方自治の本旨を踏みにじるこのような「グレーター大阪構想」に対し、本市は参加しないという意思を明確に示すべきと考えますが答弁を求めます。

     グレーター大阪構想に対し、本市は参加しないという意思を明確に示すべきとのことにつきましては、大阪府と大阪市による法定協議会での議論、方向を見定め、財源調整機能の行方や住民サービス等、具体的な内容を明らかにし、利点や問題点を整理し、市民の皆様に情報提供することがまず重要であると考えており、現段階での参加・不参加の意思決定は市政を預かるものとして、無責任な対応であると認識いたしております。

     さらに、国民健康保険と介護保険の大阪府広域化、水道事業の企業団への統合の動きも強まっています。国民健康保険と介護保険制度の大阪府広域化については、市独自減免が無くなるなど、地域の実情を踏まえない制度へと後退することが危惧されます。府域一水道を視野に水道事業の企業団への統合の急速な動きについては、新年度の上馬伏配水場内の配水池の耐震化事業をはじめ安全・安心の水を供給するためのこれまでの本市の取り組みが企業団へ吸収され、大きく後退することが危惧されるもので、反対の立場で臨むべきと考えますが答弁を求めます。

     国民健康保険の大阪府広域化についてでありますが、大阪府は、市町村国保運営の広域化や財政安定化を推進するため、「大阪府国民健康保険広域化等支援方針」を策定し、国においては、「社会保障・税一体改革大綱」の中で、市町村国保の低所得者保険料軽減の拡充など、財政基盤の強化と財政運営の都道府県単位化の方針が示され、議論がすすめられております。本市のような多額の累積赤字を抱え、低所得者層の加入割合及び年齢構成が高い保険者にとって、国保広域化は保険財政の安定化が望め、被保険者にとっては、自己負担割合が同一にも関わらず、保険料が市町村ごとに異なっている不公平はなくなります。 また、長引く景気の低迷及び今後の更なる少子高齢化の進行を考えますと、市町村国保の財政運営はより厳しいものとなり、国保財政運営の都道府県単位化の実施は、国民健康保険事業の安定化につながるものと考えており、本市といたしましては、広域化に反対するものではありません。しかしながら、広域化にあたり保険料の増加になる市町村も考えられますことから、保険料負担の急激な増加に対する激変緩和措置等を講じられるよう、また、各市町村独自で行っている減免制度におきましても、国が責任を持った統一的な減免制度を創設するよう、国・府に要望しているところであります。

     介護保険の大阪府広域化についてでありますが、大阪府により、昨年設置された「介護保険の広域化に関する研究会」におきまして、広域化に関する課題等の検討を行なってきたものの、結論には至っておりません。このようなことから、本市におきましては、「市民サービス」の視点を第一にとらえ、今後の介護保険運営のあり方について、議論を進めてまいりたいと考えております。

     

     まず、水道事業の広域化については、財政状況の悪化、技術継承の問題などを解決するため、橋下大阪市長が知事時代に二重行政の解消のシンボルとして大阪府と大阪市の水道事業の統合を提唱する以前から、大阪府及び各市町村で検討してきており、水道事業の使命である、今後持続して安心・安全な水を安定して供給していくことを実現するため、現在も引き続き検討されているものであります。
     次に、仮に企業団に統合されたとした際に、これまでの本市の取り組みが企業団に吸収され、大きく後退することが危惧される、という点についてであります。まず、統合までに投資した効果については、統合後も市民が十分に享受できます。更に、統合の際に府内市町村の施設整備水準などの基準を設け、一定の基準に達することを義務づけることを前提として協議が進められており、府内市町村間での不公平は生じないものと考えております。一方、現在の府内各市町村の水道料金格差を考えるとき、自己水源を持たない本市は、自己水源を持つ市との給水原価が、1立方メートルあたり30円程度高く、このことが、本市の水道料金が高くならざるを得ない所以であります。府内の水道料金が統一される、これが府域一水道だと考えます。
     水道料金が下がると見込まれ、また、施設整備水準が後退しないといった、市民にとって大きなメリットが発生する時期を十分に見極め、柔軟に対応してまいりたいと考えております。

     

       (3) 「幸福度の向上」について

     施政方針では、市民の暮らしを豊かにし、まちづくりを推進するうえで重視すべき尺度として「幸福度の向上」との考えが示されました。「幸福度」については、所得などの経済的要素だけでなく、家族や社会との関わり合いなどの要素を含めたものとして政府の2010年6月に閣議決定された「新成長戦略」にも定義づけられ、有識者からなる「幸福度に関する研究会」が設けられ、一昨年12月には「幸福度指標試案」が発表されています。また、法政大学大学院政策創造研究科や日本総合研究所などがそれぞれの評価基準で都道府県別「幸福度ランキング」を発表し、福井県や長野県が一位となったことが話題となりました。また、OECD(経済協力開発機構)の2012年度の比較では、日本は36カ国のうち、経済規模の大きさは2位であるにもかかわらず幸福度指標は21位で、経済規模が幸福度につながらない結果となっています。こうしたなかで、幸福度や真の豊かさを指標化し、施策の充実などを図ろうとしている自治体が少なくありません。施政方針では、幸福度のキーワードとして「子ども」と「女性」そして「コンパクトシティー」を挙げました。本市において「幸福度の向上」にむけ具体的にどのような施策を推進しようとしているのか答弁を求めます。

     「幸福度の向上」についてでありますが、具体的にどのような施策を推進しようとしているかにつきましては、先日の本会議で申し上げましたが、キーワードである「子ども」「女性」につきましては、子育てや教育など、そのライフステージの場面に応じて、安全、安心で豊かさや幸せが実感できるよう、一体的な施策展開を図り、「コンパクトシティー」につきましては、本市の特徴であるコンパクトな「まち中」を最大限に活用し、住生活環境の充実、生涯学習の推進、公民協働による生きがいづくりなど、市民の皆様の要望に応えられる施策を推進してまいりたいと考えております。これら施策において、「幸福度の向上」となる尺度を調査・研究し、幸福度の向上が図れるよう、きめ細かな事業展開に努めてまいりたいと考えております。

      (4)市民本位の行財政運営について

      本市はこれまで、「全国一スリム」な組織、少人数行政を掲げ、2015年4月には1098人から825人の体制にするとし、公立保育所の民営化、ごみ収集の委託や清掃施設等の包括委託、指定管理者制度の導入を推進した結果、この4月の職員数は812人を見込むなど、二年前倒しで職員の大幅削減を行ってきました。施政方針では「250億円を超える行政効果額」と述べていますが、その5割を超える部分が職員の大幅削減と給与削減にあり、その弊害はあらゆるところに出ています。昨年の決算特別委員会での審査では、包括委託や指定管理者制度において、法令遵守やずさんな維持管理に対し、十分チェックができていなかったことが明らかとなりました。本来、委託を進めれば進めるほど、チェックする側は専門性を高めていくことや体制整備が求められますが、少人数行政がそれを阻んでいることは明らかです。これまで進めてきた少人数行政は以上の点について十分に検証し抜本的に見直すこと、あわせて条例改正を行い「職員の意欲喚起や資質の向上の視点」から人事評価を相対評価で行い勤勉手当や昇給など処遇に反映させようとしていますが、職員意欲を無くし市民サービスの後退につながるもので導入すべきでないと考えますが、答弁を求めます。

     定員適正化計画につきましては、権限委譲などの現状や将来の執行体制も踏まえた見直しを進めており、引き続き効率的な行政運営を目指し定員適正化を図ってまいります。また、議員ご指摘の人事評価の結果の処遇への反映の手法につきましては、人材育成、ひいては市民サービス向上につながるよう、これまでの制度運用を勘案し、現時点では相対化が適切であるとの判断のもと、実施をするものであります。今後、職員アンケートの結果や最終的な評価結果の検証等を行い、引き続き、人材育成につながる制度となるよう一層努めてまいります。

     今年度末に土地開発公社の解散手続きと清算が完了します。負の遺産を整理し市の財産となるわけですが、市民の税金で賄われた貴重な市民の財産です。また、市立養護老人ホーム跡地をはじめ、市の保有する土地についても同様で、活用にあたっては市民ニーズを把握し、慎重に議論し、住民合意で進めていくことが求められています。しかし、一昨年7月に示された「財政健全化計画・中期財政見通し」での市立養護老人ホーム跡地をはじめとした市保有地の売却計画は、市民ニーズを把握することなく突然示されたもので、当該地域の皆さんからは、売却でなく有効活用を求める声が上がっています。また、災害時に備えた市保有地の確保も重要です。こうした点からも策定過程が不透明な「中期財政見通し」で示した市保有地の売却計画は撤回し、土地開発公社において先行取得した土地も含めた市保有地を市民に開示し、市民ニーズを把握するなかで活用計画を策定することが必要と考えますが、答弁を求めます。

     「市保有地の活用計画の策定及び今後の計画と見通し」についてのうち、活用計画の策定でありますが、「財政健全化計画・中期財政見通し」は、第5次総合計画の目指す「人・まち“元気”体感都市 門真」の実現のため、市議会、市民の皆様にまちづくりの具体の方向性をお示しするため、庁内で必要に応じ関係課との調整により、従来の財政健全化計画案の見直しを行い、策定したものであります。また、当該計画における未利用地の売却見込みにつきましては、中長期的な視点で、コストと活用面で種々検討を行い、公的な利用予定の見込みが無いものについては、未利用地として放置せずに、まちの発展のために活用を図り、収入の確保につなげていくため、売却見込みに掲げたものであり、住民要望等に応じ、一定の修正を行うことは考えられますが、現時点で、基本的な計画変更を行う予定はございません。今後、土地開発公社において先行取得した土地も含めた市所有地につきましても、今後の活用見込みなど、様々な検討を行う中で、計画への追加も含め、対応してまいりと考えております。

     また、今後まちづくりへの投資に重点を置く方向が示されていることから、起債も含めた後年度負担の増加が危惧されます。新年度については、国の補正予算に伴う地域の元気臨時交付金の活用によって、抑えられていますが、今後の計画と見通しについて答弁を求めます。

     次に、今後の計画と見通しについてでありますが、「財政健全化計画・中期財政見通し」につきましては、24年11月に、23年度決算等を踏まえた進捗管理の把握を行ったところでありますが、おおむね当初の見通しのとおり、財政状況は推移しており、実質公債費比率では、早期健全化基準の25%に対し、7.0%以内、将来負担比率は、早期健全化基準の350%に対し、50.0%以内となり、健全な範囲内と見込んでおります。今回の国の補正予算の活用による効果も後年度に現われることから、引き続き、予算・決算状況等を踏まえながら、計画の進行管理を行ってまいります。

     

     2.   市民のくらしを守る施策について

     (1)国民健康保険事業の充実について

     自民・公明・民主の三党合意で強行しようとしている社会保障と税の一体改革は、「持続可能な制度」との口実で、社会保障制度のさらなる改悪と消費税の10%への増税で、市民の暮らしがさらに厳しいものとなる最悪の改革です。このような国の悪政から市民の暮らしを守る施策を推進することが地方自治体に求められています。とりわけ国民健康保険制度については、市独自の施策の充実で、現行の国保制度を補完することが重要で、保険料の減免制度や一部負担金減免制度の拡充が欠かせません。この間、保険料の減免制度の拡充は一定図られてきましたが、一昨年6月から始まった一部負担金減免制度については、国基準で対象が入院されている方に限られていて、利用者はごくわずかとなっています。「医療費だけ無料にならないのか」「医療費さえ何とかなれば、生活保護を受けなくてもいいのに」との相談がこれまでたくさん数多く寄せられています。「生活保護の適正化」の取り組みが進められていますが、このような方の願いに沿って、一部負担金減免制度の対象を通院にも拡充することで、生活保護を受給することがなくなれば、市財政にとっても効果があるのではないでしょうか。一部負担減免制度の拡充をこうした観点からも検討し、実施すべきと考えますが答弁を求めます。

     国基準で行う一部負担金減免制度は、減免額の2分の1を調整交付金により補填されるため、本市は国基準に則り実施しております。制度の拡充は、国基準を超えることとなり、市の新たな財政負担となるため、多額の累積赤字を抱えている国民健康保険事業の現状におきましては、拡充は困難であると考えております。ご指摘のとおり、一部負担金減免制度を拡充することにより、生活保護を受給せずとも、生計を維持することができる被保護者もおられることは認識しており、一部負担金減免制度を拡充することで、市の財政状況にどのような影響があるかにつきましては、調査研究して参りたいと考えております。

     保険料の収納対策における「差し押さえ」の問題点についてはこれまで繰り返し指摘してきました。とりわけ学資保険まで差し押さえる自治体は府下でもほとんど見られないことを昨年の決算特別委員会で厳しく指摘し、差し押さえないよう強く求めたところですが、改めて学資保険の差し押さえの現状と差し押さえをやめることに対する考えについて答弁を求めます。

     次に、学資保険の差し押さえの現状といたしましては、平成24年度の差し押さえが、1月末現在13件でございます。本市において、電話催告、訪問指導、文書催告、夜間及び休日納付相談等、でき得る限り納付折衝の機会を設けているにもかかわらず、再三の催告に応じない、納付意志の見られない滞納者や、相談に来庁し納付誓約するも誓約不履行の上、連絡や来庁もない滞納者に対し、被保険者間における負担の公平性の確保及び国民健康保険事業の健全運営に寄与するべく、やむを得ず財産の差し押さえを行っているところであります。ただし、学資保険の差し押さえを行うにあたっては、他の財産より優先して差し押さえするべきものではないと考えており、引き続き法令等に基づき、慎重かつ適正に行ってまいります。

      (2)安心して暮らせる高齢者・障害者施策の充実について

     高齢者・障害者のみなさんが、安心して暮らせる施策の充実が求められています。高齢者施策の推進については、介護保険事業の運営と切り離すことはできませんが、くすのき広域連合で実施していることから、本市の実情に応じた制度運用となっているのか、高齢者施策が3市の低いレベルで調整されているのではないかとの危惧があります。あわせて介護報酬の地域区分の問題から、今後もくすのき広域連合で介護保険制度を運営していくのかどうか、との問題提起がされています。大阪府の広域化あるいは大阪府が保険者となる方向も議論されていますが、本市の高齢者施策推進のために負担金のあり方やくすのき広域連合そのもののあり方についてしっかりと検証すべきと考えますが、答弁を求めます。

     くすのき広域連合の負担金のあり方やくすのき広域連合そのもののあり方の検証についてであります。くすのき広域連合の構成市負担金につきましては、広域連合規約に則り、これまで均等割及び高齢者人口割で負担いたしてまいりましたが、今後の介護保険運営についての検討を重ねる中、負担金割合につきましては、現行の高齢者人口割によるものでなく、給付実績に即した負担金割合となるよう、昨年末にくすのき広域連合に対し、規約の見直しを要望したところであります。また、地域区分の見直し問題以降、くすのき広域連合の運営方法等につきまして、構成三市による協議を行なっているところであり、広域連合そのもののあり方につきましても、本市における「市民サービス」を第一にとらえ、より有効的かつ効果的な介護保険事業の運営が可能となるよう、引き続き、検証してまいりたいと考えております。

     ふれあい巡回バスが、3月31日で終了することが市広報でも発表されました。一昨年12月の再編以降、乗降者が少ないことの理由で終了との結論に至ったわけですが、わずか一年足らずで結論を出すというのはあまりにも拙速といわざるを得ません。民間事業者と競合しないようにとの考えからコミュニティバスの運行と合わせ再編が行われましたが、民間事業者との相乗効果の観点から巡回バスの運行経路を再編し充実させることによって、高齢者・障害者・妊産婦の外出支援を促進するべきで、再編・存続し終了すべきでないと考えますが答弁を求めます。

     ふれあい巡回バスの運行につきましては、コミュニティバスの運行開始に合わせ、24年1月より、既存の公共交通等との競合を避け、交通不便地域の解消及び公共交通等に接続させ、民間事業者との相乗効果の観点から補完的な運行という位置づけと、激変緩和措置として運行ルートを再編いたしました。再編に際しましては、公共交通と接続する乗降場所を3箇所設定し、京阪電車等への乗り継ぎが可能となるよう運行し、公共交通の利便性向上を期待したものでございますが、ご利用につきましては、24年度10月末現在で778人、1便あたり0.7人と極めて少なく、利用状況と費用対効果等を踏まえ、25年3月末をもって運行を終了いたします。現在市内を運行する公共交通の路線バスは6コースあり、いずれも主要駅までの運行ルートであり、皆さまが外出の手段として利用することが可能であると考えております。今後は、コミュニティバスなど公共交通網の整備や、身体的な問題で移動手段が確保しにくい高齢者、障がい者の方々については福祉有償運送制度などの活用により、外出支援が図られるものと考えております。

     障害者(児)の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律、「障害者総合支援法」のもとで新年度から障害者施策が実施されます。この法律は、障害者自立支援法の廃止とは名ばかりで、障害を自己責任とし、家族収入を含めて応益負担を課す仕組みはそのままで、本人の必要性を考慮せず、利用抑制の手段となっている障害区分認定制度についても廃止は先送りされ、おおよそ障害者権利条約批准にたえる内容とは程遠いものです。新たな法律の問題点についてどのように認識し、市として施策を推進しようとしているのか答弁を求めます。「障害者総合支援法」では、障がい者の定義に難病等が追加され、身体障がい者手帳の有無にかかわらず、障がい福祉サービス等の利用が可能になるなどの法改正がなされるところであります。

      新法では、常時介護を要する障がい者等に対する支援、障がい者等の移動の支援、障がい者の就労の支援、その他の障害福祉サービスの在り方など、障がい者制度改革推進会議総合福祉部会の骨格提言の内容のうち、必要なものにつきましては、法施行3年後を目途に見直しの検討を行うこととされております。本市におきましては、今回の法改正が、様々な障がいをお持ちの方の、生活の質の向上につながる制度となるよう、法施行後の障がい者及びその家族等の生活状況や、障がい者の実情に応じた課題があれば、国や府に対して要望してまいります。

      (3)労働環境の向上について

     労働環境の向上については、市内企業の活性化による雇用の創出や就労すための相談・支援の充実は重要。と同時に体力のある企業に対し、雇用の促進や賃金の引き上げなど市として要望することも必要だと考えます。また、千葉県野田市で実施されているハローワークや無料職業紹介所の斡旋により、高年齢者、障害者、ひとり親を雇用する事業主に対して、奨励金を交付する「雇用促進奨励金」制度や「若年者等トライアル雇用奨励金」制度の創設で雇用促進を図ることも重要と考えますが、このような施策等の実施に対する考えについて答弁を求めます。あわせて公共事業発注における労働報酬の下限を定めることなどを盛り込んだ「公契約条例」を制定すべきと考えますが答弁を求めます。

     企業に対する雇用の促進につきましては、多くの方の雇用を支援していくために、企業の雇用の確保と安定を目的に活動している門真雇用開発協会を通じて事業所・経営者に働きかけてまいります。しかしながら、賃金の引き上げにつきましては、あくまで経営者の判断に委ねられるものと考えております。また、千葉県野田市で実施されている「雇用促進奨励金」「若年者等トライアル雇用奨励金」制度についてでありますが、本市といたしましては、ハローワークが実施している就職困難者を雇用した場合の「特定就職困難者雇用開発助成金」や若年者をトライアル雇用した場合の「トライアル雇用奨励金」、また高校や大学などを卒業して3年以内の学卒者をトライアル雇用した場合の「3年以内既卒者トライアル雇用奨励金」制度を活用していただくよう、周知を図っていくこととし、本市独自の奨励金の創設につきましては、財政状況や他市の動向を踏まえ調査研究してまいります。

     公契約条例の制定についてでありますが、労働基準法や最低賃金法等において、最低労働基準の確保が図られていることから、労働報酬の下限を定めることなどは、まず、国が法的整備を行うべきものであると考えており、国等の動向を注視してまいりたいと考えております。

     

     3.   中小商工業および農業の振興施策について

     (1) 中小商工業の振興施策の充実について

     本市の産業振興は、2010年策定の「産業振興ビジョン」をもとに、ものづくり企業を総合的に支援する「門真市中小企業サポートセンター」が設立されるなど、様々な施策が推進されています。今後においてさらに産業振興をすすめるうえでも、ものづくり企業や商業の多くを占める中小商工業の振興について基本理念や市の責務を明確にした「中小商工業振興基本条例」の制定に向け検討すべきと考えますが、答弁を求めます。

     本市における新たな中小企業の振興施策としましては、24年7月には「ものづくり企業ネットワーク」を設立させるとともに、24年10月には「中小企業サポートセンター」を設置するなど、積極的に産業振興に取り組んでいるところであります。25年度におきましては、さらにこれらの事業を充実してまいりたいと考えており、「中小商工業振興基本条例」の制定につきましては、他市の状況も踏まえ、引き続き調査研究してまいります。

     (2)門真れんこんはじめとした農業振興施策について

     本市は、高度経済成長の中で無秩序な土地利用、府下で最も生産緑地申請が少ないことなどによって、都市空間における農地の少ないまちになってしまいました。農業振興による農地の保全は、昨年のゲリラ豪雨や阪神・淡路大震災、東日本大震災の教訓など、災害に強いまちづくりの観点からも重要です。市長は施政方針説明で「成長至上主義」の問題点に触れられましたが、国土交通省も経済優先の開発一辺倒から農地を街中に誘導する考え方に転換してきています。こうしたなかで、全国各地で制定されている農業振興の基本となる「農業振興条例」を提案するものです。その立場から、①三大都市圏の特定市街化区域農地については、宅地並み課税となっている生産緑地指定以外の農地について、営農意欲のある農家を対象に、「ものづくり企業立地促進奨励金」のような、固定資産税、都市計画税の2分の1を交付するなどの軽減策、相続税、農作業を行う作業場や自宅に関しても税負担の軽減につながる施策の実施②門真の原風景を残す立場から、市が農協や生産者との仲立ち役を務め農地の保全を図ること③伝統野菜である門真レンコンなど栽培技術継承のための人材育成を進めるべきと考えますが、答弁を求めます。なお、新年度予算の農業費の総額は3,176万円で、一般会計予算のわずか0.06%に過ぎません。施政方針の農業の振興は、「その場逃れ」と言わざるを得ないことを指摘しておきます。

     次に、門真レンコンを初めとした農業振興施策についてであります。農業分野においても、意欲ある農業者が市内で農業を継続できる支援や農地の保全も必要であると考えておりますが、奨励金制度については、大阪府や農協等関係機関と連携しつつ、有効性について調査研究してまいりたいと考えております。 なお、農地の保全につきましては、農業の担い手の育成が課題と認識しており、農業者の営農継続の意向把握に努めてまいりたいと考えております。次に、門真レンコンなど、栽培技術の継承のための人材育成についてでありますが、本市の特産物である門真レンコンにつきましては、北河内農業協同組合門真地区営農研究会が行うレンコン試験田運営事業に補助金を交付し、レンコンの栽培技術の継承や人材の育成を行っていただいているところであります。なお、議員のご提案であります農業振興条例の制定につきましては、他市の状況を含めて、その必要性について調査研究してまいりたいと考えております。

     

     4.   まちづくりについて

      (1)地震・ゲリラ豪雨など災害に強いまちづくりについて

     昨年8月14日のゲリラ豪雨は一時間当りの降雨量が90ミリを超え、浸水被害は市全域に及び、既に公共下水道が整備されているところについても床上浸水の被害が発生し、改めて対策の重要性が浮彫りとなりました。公共下水道整備を着実に推進すること、増補幹線や地下河川の整備促進を国府に強く求めることとあわせ、街全体の保水機能を高めることが欠かせません。今回のゲリラ豪雨による浸水被害を教訓にどのように推進しようと考えているのか答弁を求めます。

     集中豪雨に対応できる災害に強いまちづくりの実現は誰もが願うものであり、本市では浸水対策の一環として、公共下水道整備を計画的に進めてまいりました。しかしながら、24年8月には計画想定以上のゲリラ豪雨が本市を襲い、甚大な被害をもたらしたところであり、今後の対策が求められております。治水対策の強化といたしましては、これまで大阪府に強く要望してまいりました、大東門真増補幹線の貯留施設としての暫定供用が、25年の梅雨時期までに可能となり、地下河川につきましても、27年の供用開始予定と聞いております。今後は、先ほど平岡議員にご答弁申し上げましたとおり、まち全体の保水機能を高める施策の展開に、努めてまいります。

     静岡県の駿河湾から九州の太平洋沖の深海にのびる海溝「南海トラフ」を震源とするマグニチュード(M)9.1の巨大地震が起きた場合、最悪で32万3千人が犠牲になると昨年8月に内閣府が新たな地震の被害想定を発表しました。施政方針では、「大規模災害に備え、防災・減災に対する方策や災害が発生した場合の対応策についても万全の備えを行う必要があると考えている」としながら、「門真市地域防災計画」の見直しは「大阪府地域防災計画」の修正待ちとしていますが、大阪府待ちではなく本市における被害想定を明らかにし、住民参加で地域防災計画の見直しに着手すべきと考えますが、答弁を求めます。また本市では西三荘遺跡の伏見地震跡と考えられる噴砂にみられるように、激しい液状化による被害が予想されその対策も求められると考えますが、答弁を求めます。

     地域防災計画の見直しにつきましては、災害発生時の連携を考慮する中、国・府計画との整合性が重要であり、府の修正状況の把握に努めております。今後、府の修正後における、計画の見直しにあたっては市民意見の反映についても検討してまいります。次に、液状化対策についてであります。液状化現象につきましては、平成19年3月に示された大阪府自然災害総合防災対策検討報告書によりますと、本市における液状化危険度のPL値は5と低い値ではあるものの、今後、国等の動向を注視しつつ情報の収集に努めてまいります。 

      (2)中町地区、幸福町・垣内町地区のまちづくりについて

     中町地区、幸福町・垣内町地区のまちづくりについては、新年度も老朽建築物等買収補償費が計上されていますが、国の緊急経済対策による「地域の元気臨時交付金」を活用した今年度補正と合わせその総額は27億円で、内14億4659万6千円が旧ダイエー・トポスの補償費となっています。旧ダイエー・トポスは、今年度約15億円の補償を受ける予定で、総額は約30億円となります。PFI事業で昨年4月に開校した門真はすはな中学校の総事業費が27億円余だったことと比較すると莫大な補償費と言わざるを得ません。その補償を受けるのは幸福町・垣内町・中町まちづくり協議会に参加している「開発会社」で、建物は2年半前にダイエーから売買によって取得したものです。昨年の決算特別委員会においてもまちづくり協議会と「開発会社」との関係の問題点を指摘し、「整理と見直しが必要」との認識が示されましたが、どのように整理・見直しがされたのか、総額30億円もの補償が果たして適切だと考えているのか答弁を求めます。住宅市街地総合整備事業の推進においては、借家人の追い出しにつながることが危惧されます。これまでどおり地域に住み続けられるような施策が必要ですが、コミュニティー住宅、都市再生住宅の建設も含め従前居住者に対する施策について答弁を求めます。

     まず、市とまちづくり協議会事務局との関係性についてでありますが、24年10月の決算特別委員会におきましてご答弁申し上げましたとおり、協議会運営に関しましては一定の見直しと整理の必要性は認識しており、現在、調整中であります。
     次に総額30億円もの補償が果たして適切だと考えているのかについてでありますが、中町のまちづくりを推進していく上で、新体育館の建設をはじめとする公共公益施設の整備など、門真市都市計画マスタープランに示しております「魅力あふれる拠点に人々が集うまち」づくりとして、市役所周辺の再整備を行っております。そのためには既存建築物の除却が必要であり、本物件につきましても、この視点から必要な除却に対する補償を行うものであり、補償額につきましても近畿地区用地対策連絡協議会の運用基準に基づき算定しており、適切な補償であると考えております。
     次に、コミュニティー住宅、都市再生住宅の建設も含め従前居住者に対する施策についてでありますが、24年第2回市議会でご答弁申し上げましたとおり、市は希望者に可能な限り公営住宅の斡旋に努め、共同整備事業組合は同種同規模を前提に賃貸住宅の斡旋に努めていることから、現時点では、都市再生住宅の建設につきましては考えておりません。
     また、本事業につきましては、従前居住者の生活再建を行い、住宅密集地域を解消し、災害に強いまちづくりを進める事業であり、決して住民を追い出す事業ではございません。

      (3)地域合意ですすめる北島地区のまちづくりについて

     北島地区のまちづくりについては、昨年事業化検討パートナーの関係が解消されましたが、地権者の合意形成を前提に改めて市の姿勢を明確にすることが求められます。あわせて、「商業施設」誘致については、撤退でまち壊しとならないような枠組みが必要です。現時点における市の基本的な姿勢、考えについて答弁を求めます。

     北島地区のまちづくりにつきましては、良好な地域環境が長期にわたり継続される商業施設等が重要と考えており、その方策や検討も含め、今後とも、北島土地区画整理準備組合の支援を、引き続き行っていく姿勢であります。

      (4)府営住宅の建替えについて

      府営住宅の建て替えについては、第一期工事が始まろうとしています。北島地区のまちづくりと併せ重要ですが、その全体像が不透明となっています。府と本市による「まちづくり会議」の場で協議を重ねるとしていますが、その前提として、建て替えの全体像を明らかにすることが重要だと考えます。計画戸数や建て替えによって生み出された用地の活用の在り方など、本市の考えを積極的に示す中で進めていくことが求められますが、今後どのような姿勢で臨もうとしているのか答弁を求めます。

     府営住宅の建て替えについて、今後どのような姿勢で臨むかについてでありますが、先ほど、公明党の平岡議員のご質問で御答弁申し上げましたとおり、本市と大阪府による「府営住宅資産を活用したまちづくり会議」及び様々な場面におきまして、安全、安心の確保並びにコミュニティの活性化や低炭素化のまちづくりなど、市民の皆様の要望にこたえられるよう、本市の要望を伝え、実現できるよう取組んでまいりたいと考えております。

      (5)まちづくり基本条例について

     市の特性を生かした計画的なまちづくりを基本理念とする「(仮称)門真市まちづくり基本条例」の制定に向けた取り組みが進められようとしていますが、2001年第2回定例会で問題提起したことを思い出します。かつて開発を行政が後追いしてきた教訓を生かし、まちづくりの基本的な考えを明確にし、市民参加で計画的な街づくりをすすめていくことは大変重要です。まちづくり基本条例の制定の必要性についての基本認識と先進市視察後の方向性について答弁を求めます。

     先ほど、平岡議員へご答弁申し上げましたとおり、都市計画マスタープランの将来都市像の実現にあたり、まちづくり基本条例の必要性を検討しているところであります。25年度には先進市の視察などを行い、検討を一層進めてまいりたいと考えております。

     5.   だれもが安心できる子育てと教育について

      (1)いじめ、体罰問題の現状と対応について

     学校現場におけるいじめ、体罰問題は、子どもたちに深刻な影響を与えており、根絶していくための取り組みが緊急に求められています。体罰問題については、懲戒処分となった事案も発生していますが、個人の問題とすることなく、その要因についてもしっかりと解明し、解決することが求められます。施政方針では、教職員が子どもと向き合う時間を増やすための「学校組織モデルプラン」を示し、効率的な学校運営を進めていくことや「子ども悩みサポート事業」を立ち上げ問題行動の解決にあたる、「家庭教育支援事業」の実施で孤立しがちな家庭等の支援を進めるとしていますが、いじめ、体罰問題に対する本市の現状と対応について答弁を求めるとともに、その背景や要因についてどのように認識し、今回の方向性が示されたのか答弁を求めます。

     24年度のいじめの認知件数につきましては、12月現在で小学校124件、中学校33件でございます。24年度、教育委員会といたしましては、市としての統一的ないじめアンケートを実施し、より確実な実態把握に努めてまいりました。各学校で認知したいじめ案件につきましては、加害被害双方から詳しく話を聞くとともに、ケース会議等を活用し多面的な解決方策を実施する中で、ほぼ解決に至っております。また、体罰につきましては、24年度中に体罰事案が2件生起しております。体罰は絶対に許されない行為であり、管理職及び生徒指導担当者等を対象とする研修を実施するとともに、中学生に対しては、体罰についてのアンケートを実施し、小学生に対しては、体罰があった場合には管理職等に申し出るように指導しております。教育委員会といたしましては「いじめ」、「体罰」問題は、学級指導や生徒指導と深くかかわるものであると認識しており、これまでの取組に加えて、子ども悩み相談サポート事業等の学力向上対策委員会の具体的提言にもとづく施策を活用し、各学校で着実に学級づくりや生徒指導の改善をすすめていく中で、その解消を図ってまいります。

      (2)小中学校での少人数学級など「確かな学力」の向上施策について

     少人数学級編成の推進は、民主党政権時に5か年で35人学級を進める考えが示され、その実施が期待されていましたが、自・公政権に交代するや否や予算編成において棚上げされました。こうしたなかで、本市において35人学級に向けた制度設計に取り組むことが表明されました。昨年の学力向上対策委員会の提言においても「人的配置」が重視され、党議員団もいわゆるボーダー学級への市独自の教員配置など、少人数学級の実施を求めてきましたが、その第一歩として評価されるものです。そこで、この35人学級に向けた制度設計は小中学校すべての学年において35人学級編成をすすめようとしているものなのか、制度設計はどのような体制で進めようとしているのか答弁を求めます。

     きめ細かな指導を実現する35人学級事業についてであります。門真市学力向上対策委員会の具体的提言を受け、現在の小学校1、2年生で実施している35人学級を他の学年にも拡充し、児童・生徒一人ひとりにきめ細かな指導を行うことで、より確かな学力の定着を目指すものであります。他の自治体等で実施されている類似事業も参考に、26年度からの事業実施を目途に、庁内において実施学年や採用講師の雇用形態等の制度設計を行ってまいります。

     (3)小学校統合(廃校)など学校適正配置実施方針の抜本的見直しについて

     学校適正配置については、2009年1月に策定された実施方針の四宮小学校の廃校計画が、昨年5月の教育委員会定例会で「白紙」となりました。市民に十分相談することなく決定した計画に対し、市民から出された要望を「民意」と受け止め「白紙」とせざるを得なかったことは、今後の教訓とすべきです。同時に学校統合計画の大本となったのは、適正配置審議会で突然持ち出された「1中学校区2小学校」という考え方であり、この考えを改めなければ「次は他の学校を廃止に」となります。委員会の質疑の中でも「1中学校区2小学校が望ましい」としか答弁できず、適正配置の基本的な考え方とするのは問題です。現時点においても「1中学校区2小学校」という考えに固執しているのか、35人学級に向け制度設計を進めるのならば教室が不足する問題も含め、現行の学校適正配置実施方針は抜本的に見直すべきと考えますが答弁を求めます。

     学校適正配置における1中学校校区2小学校の考え方につきましては、校区小学校間で学習指導内容や方法、生活指導等について連携をより緊密にできるため、中学校への円滑な接続が可能となる等の利点があり、子どもたちの学力向上や生活習慣の確立に資することができると考えております。門真市学校適正配置事業実施方針につきましては、現時点での抜本的な見直しは考えておらず、今後の児童数の推移、通学路の状況、地元の方々の意見等を十分お聞きする中で、議員ご指摘の35人学級実施に伴う教室確保も視野に入れて進めてまいります。

      (4)大阪府教育2条例に対する基本姿勢について

     3月末で任期切れの中西正人大阪府教育長の後任に、府立和泉高校の民間人校長で弁護士出身の中原徹氏が、松井知事の打診を受け受諾する意向を示しました。中原氏は橋下大阪市長とは大学在学からの友人で、2010年4月に民間人校長として府立和泉高校校長に赴任しましたが、卒業式では、生徒の巣立つ姿よりも教職員が君が代を斉唱しているかどうか関心を持ち、口元を確認するよう教頭らに指示し、議論を呼んだ人物です。大阪府では教育行政基本条例と府立学校条例、いわゆる教育2条例が昨年4月施行されました。教育行政に責任と権限のある教育委員会に介入し、知事主導で作成する教育振興基本計画に実現すべき教育目標を書き込み、議会の議決を経てその実現を教育委員会・学校・教職員に強制する仕組みが定めらました。その仕組みを忠実に推進する教育委員会の事務方のトップとなるものです。このような仕組みで学校や児童・生徒、保護者を競争に駆り立てる方向は、本市の教育行政に深刻な悪影響を与えることは必至だと考えますが、教育2条例に対する基本姿勢について答弁を求めます。

     大阪府教育行政基本条例につきましては、第八条に「義務教育については、市町村が主体となって行うものであることを踏まえ、市町村教育委員会の自主性を尊重するものとする」と明記されていることから、今後、大阪府立学校条例に係る事項を含め、府が定める市町村に共通する教育方針や指導・助言等につきましても、本市の児童・生徒、学校の状況を踏まえ、適切に対応してまいります。

      (5)保育所増設での待機児童解消はじめとした子育て支援策について

     働くお母さんが安心して子どもを産み育てることのできる、また全てのお母さんの子育て支援の推進で「子育てするなら門真」と言われるような施策の推進が求められます。こうしたなかで、子ども子育て三法が昨年8月可決、交付されました。消費税が2015年10月から10%に引き上げられる場合、2015年4月から新しい制度を実施するとされています。この実施によって、児童福祉法第24条の市町村の保育実施責任が復活し、保育所に入所する子どもたちに限っては、入所について市町村が保育実施責任を持つことになりますが、認定こども園や幼稚園、地域型給付の保育施設などでは、直接入所・直接契約・保護者への補助方式が貫かれ、保育がサービスに変質することが危惧されます。また、入所の前提には市町村による要保育時間の認定となり、保育所等で受けることのできる保育は、保護者が認定された保育時間を上限としたものに限定され、子どもたちの一日の生活を保障する場から、必要な時間だけ預かる場へと保育所の役割が変質するとともに継続的な保育保障ができない可能性もあり、保育施策の大幅後退が危惧されます。このような子ども子育て三法の認識について答弁を求めます。

     子ども・子育て関連3法に基づき、27年度施行が予定されております子ども・子育て支援新制度におきましては、保育所への入所に関しては市町村が調整を行うこととなっており、また認定こども園や幼稚園についても、応諾義務などの一定の制約が課せられるとともに、各施設の利用にあたっては、必要に応じて市町村が利用の調整や施設のあっせんなど一定の関与を行うこととなっております。しかしながら、その具体的な手法や保育の必要性の認定方法、施設等の運営基準などの制度設計につきましては、今後、国の子ども・子育て会議において議論されることとなっております。このことから、今後におきましても、国の議論の動向を注視し、保育の質の低下や市民に対する不安感を与えることなく、女性が安心して子どもを産み、育てることができる環境が整備されるよう、あらゆる機会を捉えて国・府に対し要望してまいります。

     「子どもを保育所に預けて働きたい」「子どもを出産しても働き続けたい」との願いは切実で、本市においてその願いに応える認可保育所の受け入れとはなっていません。この間、年度当初には待機児はいないとの説明が続いてきましたが、昨年の決算特別委員会においてカウント方法の問題点を指摘し改善を求めました。その改善方向と新年度に向けた待機児の状況について答弁を求めます。待機児問題の解決は、定員増では子どもの安全面など限界があり、認可園の増設が不可欠だと考えます。子どもが減少傾向の下で増設に消極的な姿勢ですが、「門真市なら保育所に預けて働ける」「出産しても働き続けられる」という保育環境を整備することによって、子どもの減少傾向から増加へと転換することが出来ると考えますが、認可園の増設について改めて答弁を求めます。

     待機児童の把握方法と新年度の状況についてであります。4月1日時点の待機児童に対する本市の考え方といたしましては、期日までに所定の手続きを終えられた方を対象に把握しておりますが、現在手続き等を進めております25年4月1日入所の申込期日につきましては、例年より1か月遅く設定することにより、改善を図ったところであります。今後におきましても、府内各市の動向等を踏まえつつ、待機児童を把握する基準日の設定方法につきまして、検討を加えてまいりたいと考えております。なお、25年4月1日の入所児童につきましても、待機児童は発生しない見込みとなっております。次に、認可保育所の増設についてであります。本市の就学前児童数は、将来的な人口推計において減少が見込まれており、また、市内の認可外保育施設や幼稚園も定員に達していないといった状況にあります。このことから、現在のところ、認可保育所を増設しなければならない状況には至っていないとの認識に立っておりますが、今後におきましては、ニーズ調査や子ども・子育て会議の議論を踏まえて策定される「(仮称)門真市子ども・子育て支援事業計画」において、需要量の見込みやその確保の方策を検討する中で、認可保育所の配置につきましても検討していくことになるものと考えております。

     入院のみですが、子ども医療費助成制度の対象を小学校6年生まで拡充する提案がされています。入院のみとはいえ制度が拡充されることについては一歩前進です。しかし、府下において助成対象が入通院で中学校卒業までが2市3町、小学校卒業までがお隣の寝屋川市など3市1町1村で計10市町村となっており、「子育てするなら門真」と言われるには子ども医療費助成制度を入通院で中学校卒業まで拡充することが必要と考えますが答弁を求めます。

     次に、こども医療費助成制度についてであります。本制度は、従来より、本市における子育て世帯に対する経済的負担の軽減等を図る観点から、子育て支援策として実施しております。対象年齢の拡充につきましては、25年10月より、入院にかかる医療費の助成につきまして、小学校6年生までに拡充を図るとともに、制度名称につきましても「こども医療費助成制度」に変更をいたすものであります。今後の更なる対象年齢の拡大につきましては、国・府及び府内各市町村の動向や本市の財政状況等を勘案する中で、引き続き検討をしてまいりたいと考えておりますので、よろしく御理解賜りますようお願いを申し上げまして、私からの御答弁とさせていただきます。

     現在4園ある公立幼稚園のうち、北巣本幼稚園と浜町幼稚園を2014年度廃止に向け新年度の募集停止を実施しました。教育環境の整備の問題であるにもかかわらず、議会で諮ることなく、お母さんの「廃止しないでほしい」との切実な請願も否決し、教育委員会定例会での規則改正による実施です。通園バスの運行もされず、園が遠くなり、小学校に通う子どもとの関係で、私立の幼稚園に預けざるを得ない状況となっています。新年度の応募状況はどのようになっているのか、2園の廃園計画は見直すべきと考えますが、答弁を求めます。

     公立幼稚園における25年度4歳児の応募人数は2月末日現在で、大和田幼稚園31人、南幼稚園13人となっております。2園の募集停止を行ったにもかかわらず、4歳児の応募が定員に満たない現状につきましては、教育委員会といたしましても課題であると認識しており、その改善に向けて、時間外教育や子育て支援の充実等、教育内容の拡充を図るとともに、通園バス運行についても検討し、公立幼稚園再構築の着実な実施に向けて取り組んでまいります。また、再構築の内容等につきましては、25年度に改めて保護者説明会を開催し、市民に理解をいただくよう努めてまいります。 

      (6)特別支援教育の充実について

     特別支援教育の充実については、新年度支援員の増員で、すべての小学校に配置されることは、大きな前進と考えます。特別支援教育を推進するに当たり、LD・ADHD等のアセスメント及び個別の指導計画の立案と実施ができる人材として特別支援教育士や特別支援教育士スーパーバイザーの育成など、教育委員会として積極的に進めていくことが求められると考えますが答弁を求めます。

     現在、市内各小中学校に支援教育コーディネーターを位置付けており、コーディネーターを対象とした研修を実施することで、支援教育推進の中心的役割を担う支援教育コーディネーターとしての資質を有する教員の養成と支援教育体制の充実・連携を図っております。議員ご指摘の特別支援教育士等の人材の育成についてでございますが、教育委員会といたしましては、支援教育コーディネーター研修の充実や、府の支援教育に係る研修等を積極的に活用し、人材育成を図ってまいりますので、よろしく御理解賜りますようお願いを申し上げまして、私からの御答弁とさせていただきます。