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  • こんにちは。門真市会議員団です。

    2012年12月議会 福田英彦議員の一般質問・答弁

    [2012.12.20] -[議会活動]

    小中学校における「いじめ」問題について

     「いじめ自殺」が各地でおき、多くの人々が心を痛めています。深刻化する「いじめ」をとめることは、日本社会の切実な問題です。
     こうしたなかで、文部科学省は、8月1日発出の「いじめ問題に関する児童生徒の実態把握並びに教育委員会及び学校の取組状況に係る緊急調査」の結果を11月22日に公表しました。
     まず、この調査結果の概要について答弁を求めます。
     次に、本市の現状と認識について伺います。
     本市においても、「いじめ」問題については学校現場での対応をはじめ、スクールアドバイザーを中心にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門家の支援も活用しながら対応していますが、今回の緊急調査における本市の現状と認識について答弁を求めます。
     次に、今後の対応について伺います。
     先の文科省の緊急調査の結果を受け、取組みの徹底についても11月27日付で通知されています。 その概要と、通知に基づく市の今後の対応方向について答弁を求めます。
     日本共産党は、「いじめ」問題について「『いじめ』から子どもの命を守る-『いじめ』対応の基本原則の確立」と「子どもたちに過度のストレスを与えている教育と社会を変える」の二つの柱からなる「『いじめ』のない学校と社会を」と題する「提案」を11月28日発表しました。
     この問題については、引き続き注視していきたいと思います。

    【学校教育部長の答弁】

     小・中学校における「いじめ問題」についてでございます。
     文部科学省の緊急調査の結果につきましては、24年4月から9月上旬の間に、公立の小中学校で認知されたいじめ件数は、全国で127,638件、大阪府は1,982件となっております。また、児童生徒の生命または身体の安全がおびやかされるような重大な事態に至るおそれがある事案は全国で232件、大阪府で8件ございました。大津のいじめ事件をうけて、全国のいじめ件数は昨年度の2倍以上に増加しておりますが、都道府県や学校によって、いじめ認知数には大きな差があるという実情がございます。
     次に本市の現状と認識についてでございます。
     本調査による門真市立学校のいじめ認知件数は小学校116件、中学校14件でございます。また、認知されたいじめの内容につきましては、「冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる」という項目が6割以上であり、重大な事態に至るおそれがある事案はありませんでした。いじめの調査は、その件数を把握することが目的ではなく、できるだけ早期にいじめの実態を把握し、その解決を図ることが本来の目的であり、各学校におきましては、本調査を通して認知したいじめ案件について、児童生徒同士の関係や個々の状況を把握し、家庭や関係機関と連絡を深めるなかで、ほぼ解消に至っております。
     文部科学省からは、11月27日に「緊急調査を踏まえた取組の徹底について」の通知があり、その内容は、
     1.児童生徒の実態把握に係る緊急調査を踏まえた取組の徹底
     2.教育委員会及び学校の取組状況に係る緊急調査を踏まえた取組の徹底
     3.学校評価及び教員評価における留意点 の3点でございます。
     本通知を受けて、教育委員会といたしましては、今後、アンケート項目や形式につきましても、より児童生徒の実態を反映するものに改善を図る必要があると認識しており、その上で、各学校で定期的にアンケート調査を実施するよう指導してまいります。
     また、アンケートに加えて、教職員が児童生徒を日々観察することも重要であり、学級集団等の中で児童生徒の関係を把握し、孤立したりいじめられている可能性がうかがえるケースを早期に認知できるような手法についても研究してまいります。
      また「いじめは絶対に許されない」という認識のもと、いじめの未然防止及び早期発見・早期対応のため、学校体制として全教職員で対応することを指導していくとともに、研修等を実施し学校支援に努めてまいります。

     

    小中学校の保護者への「授業アンケート」について

      今月初旬、小学校に通う児童の保護者の方から、「学校から『授業アンケート』の依頼が来たが、出したくないので、先生に手紙を出した」と控室に来られました。
      アンケート実施のお願いを見ますと、「子どもたちにとって『楽しく、魅力的な授業』『わかる授業』を行うことが大切であり、多様な観点から授業を検証」するとし、「大阪府下の全公立小中学校で、子どもたちや保護者のご意見をお聞かせいただくことを通じて、教員が自らの意欲・資質能力をより一層高めることを目的」と、保護者に協力を求めています。
     アンケートの設問は5つで、①お子さまは、授業を受けて、その教科の内容をもっと学習しようと思っていますか。②お子さまは、授業を受けてその教科の内容がわかる(できる)ようになっていますか。③お子さまは、授業中、先生から指示やアドバイスをしてもらえていますか。④お子さま、授業中、質問や発表などがしやすい雰囲気だと感じていますか。⑤お子さまは、授業で頑張ったことを言葉や文章で認めてもらえていますか。というもので、回答は、A.そう思うB.だいたいそう思うC.あまり思わないD.思わない、の4つに限定され、「分からない」「答えない」という選択肢はありません。 そして、アンケートと言いながら、先生の名前と回答した児童と保護者名を記入するようになっているというものです。
      控室に来られた保護者の方は、子どもや保護者がこんな形で先生を評価するようなやり方で、授業改善がされるとは思えず、それよりも全国学力調査の結果でも明らかなように、少人数学級などの教育環境をよくすることが大切ではないかとのご意見でした。
     このアンケートは、4月に施行された「職員基本条例」及び「大阪府立学校条例」に基づき改定予定の「教職員の評価・育成システム」(案)によるもので、条例に勤務成績の評定における授業に関する評価を生徒又は保護者による評価を踏まえることが規定されたことに伴い実施されるもので、「授業改善」を口実に、処遇反映も含めた「人事評価」に重点が置かれています。
     そこでまず、このアンケート実施に至る経過と概要について答弁を求めます。
     このアンケート実施については、様々な問題点が指摘されています。
     まず第一点は、目的を正確に書いていないことです。
     先ほども述べたように、「子どもたちにとって『楽しく、魅力的な授業』『わかる授業』を行うことが大切であり、多様な観点から授業を検証」するとし、「大阪府下の全公立小中学校で、子どもたちや保護者のご意見をお聞かせいただくことを通じて、教員が自らの意欲・資質能力をより一層高めることを目的」などとしていて、点数化やグラフ化で教員評価の一要素として活用することが全く記述されていません。
     二点目には、実施機関が市教委であることが記述されていません。
     三点目に子どもの名前や保護者名を記述する必要性が全くないということです。 以上の三点の問題点についてどのように認識しているのか答弁を求めます。
     特に第一点目については、個人情報の収集の制限を規定した、門真市個人情報保護条例第7条の「実施機関は、個人情報を収集するときは、あらかじめ個人情報取り扱い事務の目的を明らかにし、当該目的の達成のために必要な範囲で、適法かつ公正な手段により収集しなければならない」との規定に違反すると考えますが、明確な答弁を求めます。
      教職員が子どもや保護者の意見や要望を聞き、教育活動や授業の改善に取り組むことは当然ですし、そのさい双方向で話し合い、改善に向けて取り組むことは日常的に行われているのではないでしょうか。
     授業アンケートは、形式的な4段階の「評定」が子どもや保護者に押し付けられ、教員のランク付けだけが行われ、子ども・保護者と教職員に「対立関係」を持ち込むもので、学校教育そのものを破壊する危険性すらあります。
     また、教育活動を授業だけに矮小化し、児童活動や運動会など子どもの自主的活動や子どもが主人公の学校行事、学級作りが軽視されかねません。
     さらに、教育向上対策委員会において学校の多忙化が議論されていましたが、校長・教頭をはじめ全ての教職員に新たな、無駄な負担を押し付けるものです。
      以上の懸念される点に対するそれぞれの認識についても答弁を求めます。
      このような問題点を持つアンケートについては、市教委として改善を府教委に求め、少なくとも今回のアンケートについては評価要素とすべきでないと考えますが、今後の考えについて答弁を求めます。

    【学校教育部長の答弁】

      小・中学校の保護者への「授業アンケート」についてでございます。
     実施に至る経過と概要につきましては、24年4月1日、「大阪府立学校条例」が施行され、教員評価に際して、生徒又は保護者による評価を踏まえた授業評価を実施することが規定されたものです。
     この条例をうけて、府教育委員会では、従来から行われていた府立学校教職員と市町村立学校府費負担教職員の評価・育成システムの一部を変更し、子どもや保護者を対象とした授業アンケートを実施することとしました。
     なお、この改定は、24年度の試行実施を経て、25年度から本格実施される予定でございます。
     アンケートの対象は、小学校では、児童の発達段階を考慮し、児童に直接質問するのではなく、保護者を対象に、児童の普段の様子、授業参観時の教室の様子等を参考にして授業に対する意見を求めることとし、中学校では生徒が直接、アンケートに答える形式となっております。
     次に、議員ご質問のうち、アンケートの目的を明記していないことと実施機関が市教委であることを明記していないことにつきましては、今年度の授業アンケートは、人事評価に結び付くものではなく、その活用についても専ら教職員自らの授業改善と管理職の指導助言に限定されることからそのように判断したものです。
     また、個人情報保護条例第7条に違反するとのご指摘につきましては、保護者向け依頼文に教員の意欲・資質能力の向上のために活用するとその目的を記しており、違反にあたるものとは認識しておりません。
     子どもと保護者の名前を記述することにつきましては、保護者の名前を記名することにより、実際に行われている授業の状況を、より正しく反映した授業評価が可能になるものと考えております。
     次に授業アンケートが子ども・保護者と教職員に「対立関係を持ち込む」との危惧についてであります。
     現在、学校の教育内容や教職員の指導のあり方をめぐって保護者の苦情が増加傾向にあります。その背景には様々な家庭状況や社会的な孤立等の問題があることは多くの識者の指摘するところであり、学校や教職員はそのような保護者の声に耳を傾け、子どもの教育を通して信頼関係を築いていくことが求められています。教職員は、本授業アンケートを保護者の様々の声の一つとして受け止め、自らの授業改善に活用することが重要であると考えております。
     また、授業アンケートによる保護者評価が他の教育活動の軽視につながるとのご指摘につきましても、これまで、評価・育成システムにおいて、学校行事、学級作り等の教育活動についても教職員評価の判断材料としてきた経緯からそのようには考えておりません。
     次に授業アンケートに伴う新たな負担につきましては、教育委員会といたしましてもできるだけ学校の負担を軽減するよう検討しているところでございます。
     次に今後の考え方についてであります。
     教育委員会と致しましては、今後、各学校において授業アンケートが有効に活用できるよう、管理職研修等を通して周知を図ってまいります。また、先程、ご答弁申し上げたように、本制度が24年度試行実施であることから、各学校で把握した課題等を集約し改善を図るとともに、大阪府に対しても制度の改善を要望していく所存でございますので、よろしく御理解受け賜わりますようお願い申し上げます。

     

     【再質問】

      答弁では今回実施の授業アンケートについて、全く問題は無いかのような内容でした。
     しかし、このアンケートについては、多くの問題点があり、府下においては反対を表明する教育長、大阪府の小学校校長会でも「信憑性がない」ということで反対の意見が出され、今年度は試行であり実施しない学校もでてくるなどの状況がありますが、こうした状況を認識しているのか、そもそもこのアンケートは府教委から実施しないことが許されない強制力を持つものとして実施しているのか、まず答弁を求めます。
      次に目的を銘記せず、アンケートを実施している点についてですが、「教員の意欲・資質能力の向上のために活用するとその目的を記しており、違反にあたるとは考えていない」との答弁ですが、そもそも府立学校条例施行に伴い、教員評価に際して生徒又は保護者による評価を踏まえた授業評価の実施が規定され、今回は試行であることにはまったく触れていないことについては、問題だとは考えていないのか答弁を求めます。
     次に、大阪府が示した授業アンケートの見本では「本校の各授業(学習内容・授業の様子等)についてご意見をご記入ください」との自由記載欄がありますが、本市のアンケートでは削除されています。
     これは全校で削除されているのか、削除されているのであればそれは市教委の指示によるものなのか、市教委の指示であるならば、それはどのような意図で指示したのか、先ほどの答弁では「今年度の授業アンケートは、人事評価に結び付くものではなく、その活用についても専ら教職員自らの授業改善と管理職の指導助言に限定される」としていますが、それならば、自由記載欄に書いてもらうことでよりその目的が果たせるわけで、矛盾しているのではないかと考えますが、答弁を求めます。
     最後に、市教委としてこの授業アンケートの試行を通じて改善が必要と考えている点があるのかどうか、あるとすればどのような問題か、その改善を府教委に求めていこうと考えているのか答弁を求めます。

     【再質問に対する答弁】

     まず、府下の状況についてであります。 実施にあたっての改善要望や質問が寄せられたものの、現時点でほとんどの市において実施ないしは実施予定であると聞いております。
      次に、本アンケートにつきましては、大阪府教育委員会平成24年9月5日付「教職員の評価・育成システムに係る授業アンケート等の実施について」により通知があったもので、それをうけて市教委として実施するものです。 試行であることに触れていないことにつきましては、先程ご答弁申し上げたように問題はないものと考えております。
      次に、自由記述欄のご質問につきましては、本年度の授業アンケートの様式は、保護者、生徒の回答しやすさを考慮して市教育委員会が作成し、各学校に示したものでございますが、アンケートの趣旨に沿うものであれば、各学校の状況に応じて、自由記述欄の追加も含めた変更を認めており、矛盾はないものと認識しております。
      市教委として改善が必要と考えている点があるかどうかにつきましては、現在、各学校においてアンケート集約を行っており、今後、課題等が明らかになった時点で改善を要望してまいりまので、よろしく御理解賜わりますようお願い申し上げます。