[2012.9.26] -[議会活動]
「児童発達支援センター」について
門真市は2010年度、検討・実施ということで、行財政改革推進項目の対象に「さつき園・くすのき園」について、指定管理者制度を含む運営方法の見直をすることを決定。そして昨年2011年3月市長の市政方針で、「施設老朽化に伴い、設備及び療育等運営内容を向上できるよう市民プラザ内への移転による整備を行う」と述べ、移転に伴う関連費用が予算計上され、2013年度開設を目指すと答弁しています。さらに昨年2011年7月「財政健全化計画・中期見通し」を公表し、「さつき園・くすのき園」を市民プラザに移転し売却することが盛り込まれました。老朽化を理由に2011年8月と今年2月の3回、保護者説明会が実施されました。
「財政健全化計画・中期見通し」は、2012年度から2016年度までの5年間の計画が示されたもので、その具体の一つとして、「さつき園・くすのき園」、市立養護老人ホーム、青少年活動センター等を廃止し、総額11億円で売払おうというものです。利用されている施設でもあるのに、施設廃止については利用者の意向把握もなく、庁内組織だけで進められたものです。市長はこれまでの行革画計画を上回る効果が出たとし、今度は「まちづくり」に力を入れるとし、「まちづくり」のために旧トポスに建物補償として44億円支払う一方で「さつき園・くすのき園」を含む土地を売払おうとするものです。このような経過を考えると、移転先にありきで、保護者が「市民プラザ」への移転を納得せざるを得ない状況をつくってから、保護者説明会が実施されたと言わざるを得ません。
そして今年4月、改正児童福祉法の施行により市町村が設置主体で「児童発達支援センター」を配置し、地域と施設の一元化、さらに対象者を身体・知的・精神の3障がいを一元化し支援することになりました。法改正により門真市は「市民プラザ」への移転計画を1年延ばして、2年後の2014年4月「さつき園・くすのき園」が「門真市立児童発達支援センター」になることを決定しました。
仮称「門真市立児童発達センター整備基本構想」(案)は2011年11月、庁内組織として設置された「門真市障がい児施設検討委員会」で叩き台をつくり、2012年6月28日と7月2日の日程で「門真市児童発達支援センター整備検討委員会」を開き決定したものです。そして8月にパブリックコメント、保護者説明会、現場との調整をし、10月末まとめたいというものです。
市の説明では本年2012年度に市民プラザ1期棟に耐震工事の計画、2013年度改修工事、2014年4月オープンとの予定となっており、2014年4月オープンを照準に進められでいます。
「市民プラザ」の立地は「障がい児支援センター」に相応しくないことについて
子どもたちの施設の環境は、自然がある充分な空間が必要です。バリアフリーでフラットな場所、憩える広場や緑があるところが療育に相応しいものです。市民プラザは広い運動場もあり、植栽や木々があることも確かですが、しかし建物の中での療育になりますので、子どもたちがその環境に触れられるとは言いがたいものです。また多くの方の出入がある複合施設では子どもたちの療育の妨げが危惧されます。今までの子どもたちの居場所は1階部分だけであったが、「市民プラザ」では1,2,3階部分の活用ということで、安全面、移動面で困難性が予測されます。日常的なエレベータの使用についても混乱が予測されます。これまでにそもそも「市民プラザ」への移転でいいのかの議論が保護者や障がい者関係の方たちとの間であったか疑問です。国は「児童発達支援センター」の開設について、3年後の2015年4月までの経過措置を設けており、移転先については「市民プラザ」に限定せず、現さつき園・くすのき園の活用や建替え、市立養護老人ホーム跡地活用、現青少年活動センターの活用等々について、3年間の猶予期間を活用して時間をかけて充分検討することについて、答弁を求めます。今後、立地や運営について、障がい児の実情が一番わかる保護者・現場の職員、関係機関等の意見をより多く聞くべきですが答弁を求めます。
診療所の必要性について
現在「くすのき園」に在籍している肢体不自由児の方は日常的に補そう具、機能訓練計画等について、併設の診療所の医師と密接に連絡を取り合っています。法改正に伴って、基本構想では現在の「さつき園・くすのき園」の運営を引き継ぐこととし、福祉型児童発達支援として福祉型の施設で登録するとなっていますが、今までのサービスの質の維持・継続についてどうなるのか、答弁を求めます。
発達障がい児の十分な受け入れ体制について
基本構想によると「門真市立児童発達支援センター」の機能の一つである「発達障がい児療育事業」が概ね3歳から10歳を対象としていることについて、検討委員会委員長から「中学校になって発達障がいが発見されることがあるが、小さい時から気になる行動があって、結果として思春期に問題を起こして発達障がいが発見される」との指摘があります。検討委員会委員長の指摘のように早期に発達障がいが発見されないことも少なくありません。利用対象者の個別指導に対して18歳までの子どもたちに対応で来得る「児童発達支援センター」が求められ、対象年齢を18歳までに拡大することについて答弁を求めます。
厚生労働省の資料によれば軽度発達障がい児の出現頻度は8.2〜9.3%となっており、1学級に少なくとも3~4人程、軽度発達障がい児がいるものと考えられ、療育手帳等を取得せず通常の保育や教育を受けているのが現状です。国の「保育所等訪問支援事業」などには受給者証が必要ですが、手帳が無くても受給者証が発行できるのか答弁を求めます。また受給者証が無くても受けられるようにする独自施策の方向性について見解を伺います。対象年齢以外の相談体制のあり方と受給証の無い方の対応について見解を求めます。また「児童発達支援センター」として開設されることになりますが、現「さつき園・くすのき園」のサービスが維持できるのか答えてください。
【 健康福祉部長の答弁】
さつき園くすのき園の移転先を門真市民プラザとすることについてであります。
さつき園くすのき園につきましては、「日々の療育の継続を妨げない」ことを第一義とし、市のほぼ中心に位置する立地条件と、耐震化により活用可能で十分なスペースが確保できる市民プラザ第1期棟への移転を予定しております。
第1期棟は、施設として独立しておりプライバシーにも配慮できること、また、施設内はバリアフリーとし、福祉対応型エレベーターを設置するとともに、施設南側に現状より充実した園庭を設置するなど、移動面・安全面・支援面においても配慮した設計を考えております。
また、猶予期間についてでありますが、昭和50年に開設された園舎の老朽化や耐震課題を勘案する中で、平成27年までの猶予はあるものの、平成26年4月に(仮称)門真市立児童発達支援センターとして開設するものであります。
次に、施設の移転及び今後の障がい児施策の検討につきましては、通園児の保護者を対象とした説明会を、平成23年8月と本年2月に2回及び8月の合計4回開催しました。また、本年6月及び7月に、外部の学識経験者を含む(仮称)門真市立児童発達支援センター整備検討委員会を2回開催し、パブリックコメントを実施する等、ご意見を拝聴する機会を設けてまいりました。現時点で保護者の皆様をはじめ、多方面の方々に様々なご意見をいただきましたが、市民プラザへの移転に対するご意見はございませんでした。
次に、診療所の必要性についてであります。
現在のくすのき園では、嘱託医と訓練士が連携し、肢体不自由児への日常的な機能訓練等を実施しています。市民プラザへ移転後も医務室を設置し、嘱託医によるサポート体制の確保を図り、現状のサービスを維持した3障がい対応の福祉型児童発達支援センターとして整備してまいります。
次に、発達障がい児の十分な受け入れ体制についてであります。
(仮称)門真市立児童発達支援センターの整備にあたりましては、心身の発達のめざましい乳幼児期に適切な療育を行うため、障がいの早期発見・早期療育に重点を置くことを基本コンセプトとしております。そのため、現在の通所支援は、未就学児までの対応となっておりますが、当該センターにおきましては、「発達障がい児療育事業」として、おおむね10才まで拡大するものであります。
また、それ以降の年齢層で、思春期に入ってから発達障がいが発見された場合、精神医療や二次障害への対応など医療機関等での支援を検討する場合も想定されますので、思春期以降の支援については、センター機能として新たに設ける、小・中学校、支援学校も対象とした「保育所等訪問支援事業」や「障がい児相談支援事業」を活用し、関係機関との連携強化を図ってまいります。
次に、障がい者手帳や受給者証の有無による支援体制のあり方についてであります。
児童福祉法における「保育所等訪問支援」は、受給者証の取得が必要となりますが、診断書等により障がいがあることが判断できる方については、療育手帳や精神保健福祉手帳がなくても受給者証の交付が可能であり、支援を受けることができます。
また、受給者証の取得に至らないものの療育支援が必要な場合にも適切な対応ができるよう、本市独自の施策である「保育所等訪問支援事業」により、身近な支援者が「気になる」段階から訪問等による専門的な支援を実施してまいります。
次に、対象年齢につきましては、基本構想(案)に掲げる「保育所等訪問支援事業」及び「障がい児相談支援事業」は、いずれも受給者証の有無に関わらず、0才から18才までの障がい児を対象としており、関係機関と連携しながら取り組んでまいります。
現さつき園くすのき園のサービスが維持できるのかにつきましては、児童発達支援センターとして一層のサービスの質の向上に努めてまいります。
国民健康保険制度・病院の窓口で支払う医療費一部負担金免除制度について
国民健康保険法第44条では、特別の理由のある被保険者で病院の窓口で支払う医療費・一部負担金が困難である人に対して、一部負担金の免除や徴収猶予ができると規定されています。これまで、党議員団は「せめて医療費だけでも何とかして欲しい」との市民の切実な声を受け、一部負担金免除制度の創設を議会で粘り強く求めてきました。ようやく昨年6月、門真市は国基準に基づく一部負担金免除制度の創設を実施しました。しかし、昨年度はわずか1件のみの利用でした。市民への周知の徹底は当然ですが、対象が入院のみ適用で、収入基準が生活保護基準以下でしかもちょきん預貯金も3ヶ月分以下の場合。期間も6ヶ月に限る等のハードルの高い厳しい減免基準になっていることが主な要因であることは明らかです。門真市の医療費一部負担金の減免制度は実質上使えないものとなっています。
高すぎる保険料と病院窓口での医療費負担が大きすぎる状況の下、なかなか病院へ行けない現実があります。国は「国基準は最低限これぐらいという表現なので、上積み部分を市町村がやられることについては、望ましい部分がある」と答弁しており、減免基準は自治体の判断となっています。ちなみに利用率の多いところでは、収入基準も生活保護基準の110%から130%と規定したり、通院にも適用する国制度の上積みとなっています。高槻市では市独自の上積み部分があるので95件の利用となっています。門真市民は所得200万円以下が80%を超える厳しい生活状況です。この制度の市民への周知の徹底と、対象を通院まで拡充すること、収入基準の拡大を早急に実施することについて答弁を求めます。また府内の実施状況についても伺います。
この制度の大きな問題点はその世帯全員の実収入月額が「生活保護基準以下」となっているところです。実収入月額について「生活保護基準額」を医療費の負担を抱えていると考えられるモデルで示すと、門真市の場合、60から69歳の一人暮らしでは基準額は7万9530円、60から69歳の夫婦世帯では基準額は12万270円、70歳以上ではこれより低い基準額となります。門真市の利用が昨年度はわずか1件だったことが裏づけとなりますが、これでは受給該当する方はあまりいないと考えます。詰まるところ病気治療のために生活保護を申請するしかありません。しかし生活保護ではなく医療費だけでも何とかならないかとの切実な声が少なくありません。市民の方から、治療費に困って国保の窓口で相談したら「こんなに生活が困窮しているのだから生活保護を申請したら」と言われて保護課に相談に行ったという話を聞いたことがあります。また、年金が「保護基準」と、ほとんど変わらない方でC型肝炎をもっており入院などで医療費がかかる時があるということで、生活保護を受給されています。この方は「生活保護ではなく医療費が免除してもらえる制度を希望したい」と訴えておられます。医療費一部負担金免除制度を拡充することで生活保護への影響にも繋がると考えますが、見解を伺います。
【市民部長の答弁】
被保険者が医療機関の窓口で支払う一部負担金減免等の制度周知についてでありますが、平成23年6月の制度実施以降、広報、ホームページを用いて市民周知を図っております。
次に、一部負担金減免等の制度拡充についてであります。
本市においては、国基準に則り平成23年6月より実施しております。国基準の場合は、減免額の2分の1を調整交付金により補填されることとなっておりますが、制度の拡充は、国基準を超えることになり、市の新たな財政負担となります。多額の累積赤字を抱えている国民健康保険事業におきましては、現状での拡充は困難であると考えております。
次に府内の実施状況でありますが、平成23年度末現在、府内43市町村中約8割の市町村で、実施しています。そのうち北河内各市の減免実績は、枚方市24件、四條畷市14件、寝屋川市6件、交野市3件、大東市2件、守口市0件であります。
最後に、本制度の拡充による生活保護への影響についてでありますが、生活保護は他法他施策を優先としているので、本制度を拡充する事によって生活保護を受給せずとも、生計を維持することができる被保護者もおられることは認識しております。今後におきましても、本制度の周知を図って参りますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。