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  • こんにちは。門真市会議員団です。

    2012年9月議会 福田英彦議員の一般質問・答弁

    [2012.9.25] -[議会活動]

    1 新たな人事評価制度の導入について

     

     (1)職員の意欲をなくし、市民サービス低下につながる相対評価・処遇反映の問題点の認識について

    門真市は、これまで行っていた人事評価制度の更なる拡充を図るとして、被評価者に部長級を追加し、課長補佐級以上の評価結果を勤勉手当及び昇給に反映する考えを6月に公表し、議会にも説明を行いました。

    この人事評価制度の目的について「人事評価の手引き」では、「職員の人材育成と能力の向上」にあるとし、処遇への反映については「努力が報われる制度」との説明を議会に行っています。

    その具体的な内容は、能力評価、取り組み姿勢、業績評価の評価項目ごとに5段階評価し点数化したうえで、Aランク20%程度、Bランク70%程度、Cランク10%程度に相対的にランク付けし、勤勉手当ではBランクを標準に加減し、昇給では通常4号昇給するものをCランクでは2号にするというものです。

    部長級と次長級はそれぞれ全体で相対化しますが、課長級以下は部局ごとに相対化することとしています。

    そこで、以下の問題について答弁を求めます。

    今回の人事評価制度の導入(拡充)については課長補佐級以上が対象ですが、制度を円滑に運用するという観点から、当然、対象職員にその具体的な内容を説明し、意見聴取を行う中で制度設計を行ったことと思いますが、①具体的にいつどのように対象者に説明をしたのか、②そこではどのような意見が出されたのか、③出された意見をどのように制度に反映したのか、④説明会も意見聴取も行わなかったのであれば、その理由について答弁を求めます。

    次に相対評価のメリットについてです。

    今回の人事評価制度の特徴は、絶対評価から相対評価としたことですが、特に「職員の人材育成と能力向上」の観点から大きなメリットがあるとの認識から変更したのだろうと考えますが、相対評価が絶対評価に比べ「職員の人材育成と能力向上」の観点からどのような優れた点があるのか具体的に答弁を求めます。

    人事評価を相対評価で行うことの問題点は、官民問わず出されています。

    今回の場合では、課長級以下では、部局ごとに相対化することから、その部局が「企画部門」や「事業部門」と「定型的な業務を担当する部門」、あるいは「本庁」と「出先機関」のように、業務の性質が異なる部局間で、仮に業務目標の困難度・重要度に差異がある場合、目標の達成度が同程度の職員同士であっても、在籍する部局により、評価結果に乖離が生じ不公平感のある処遇への反映となるという問題です。

    分かりやすく言うと、A部では70点がC評価となり昇給が2号、B部では同じ70点でもB評価で昇給が4号という場合です。

    そこで今回の評価制度では、このようなことが①起こりえると考えるか、②起こった場合はどうするのか、③このことは、「努力が報われる」制度どころか「努力しても報われない」制度ではないのか、答弁を求めます。

    相対評価の処遇への影響、特にCにランクされることによる昇給への影響は、勤勉手当のようにその時限りではなく、その後AやBランクを続けたとしても、2号の昇給の遅れについては適用があるかどうかわからないSにランクされなければ取り戻すことはできません。現在30代前半の課長補佐が誕生しています。この課長補佐がもし、Cにランクされれば、その昇給の遅れは25年以上続くこととなり、一時金を含めた生涯賃金への影響は大です。このことについてどのように考えているのか答弁を求めます。

    また、相対評価はどんなに頑張っても、10%はCランクとなることから、どうしても「自分ではなく、誰かがCランク」にと考えてしまうことになります。現在課内での連携や応援など柔軟な対応を目的としてグループ制が導入されていますが、どうして連携や応援など柔軟な対応が出来るのでしょうか、この点についても明確な答弁を求めます。

    人事評価に当たっては、評価者には膨大な業務が課せられます。6月には自己評価及び目標設定の依頼、当初面談を実施し、目標設定についてのアドバイスなどを行う。10月から11月上旬には中間面談を実施し、目標達成の進捗状況等の指導助言を行う。1月には最終評価を決定し、その間には随時観察・指導記録を記入する等です。

    日常業務と並行しこのような業務が課せられ、「公平・公正な評価」「誰にも納得してもらう評価」を行おうとすればするほど時間がとられることは容易に予測されますが、この点については効率的に日業務を行うに当たって明らかに弊害となるのではないか考えますが、答弁を求めます。

    絶対評価から、相対評価への移行については、一般的には勤勉手当では原資を増やすことなく、昇給についても総人件費の抑制を目的に行われています。本市においてもこのような目的が含まれているのか答弁を求めます。

    党議員団は、人事評価を処遇に反映させることについては大きな問題があると考えています。しかし、少なくとも今回の評価制度の導入は、相対評価がもたらす不公平感、処遇に直結することから、市民への対応よりも上司の顔色を伺うという傾向が強くなり、職員同士の協力関係も損なわれ、少人数行政の上に、このような業務を課せられることによって、これまで以上に業務が進みにくくなるなど、職員のやる気を無くさせ、市民サービスの低下につながるものと言わざるを得ません。その認識について答弁を求めます。

    また、このような制度をどこをモデルにして導入使用しようとしているのか、成功事例も合わせて答弁を求めます。

     

     (2)民間でも見直し、導入自治体でも失敗している制度導入を取りやめることについて

    今回導入しようとしている人事評価制度は、「能力・成果主義」として、1990年代前半から経済のグローバル化を背景に、利益至上主義、市場経済万能主義を人事制度や給与制度の面から追求するために導入したものでものです。

    しかし、先駆的に導入しながら業績低迷や正当に評価されていないといった不満が社内で強くなったため、2000年代初頭にはこれまでの評価の主な対象を個人から各組織に移すなど、従来の日本企業の特徴であるチームワーク重視へと見直しを余儀なくされた富士通はあまりにも有名ですし、リコール隠しや生保や損保会社の保険料未払い事件、食品偽装など企業のモラルハザードは「能力・成果主義」に基づく人事管理がその要因や背景となっていることが指摘されています。

    既に導入されている自治体においても、下位区分にランクされた職員が退職するという絶対にあってはならないことも起こっています。

    このような実態をどのように考えているのか。

    目的としている「職員の人材育成と能力の向上」には絶対につながらず、導入は取り止めるべきと考えますが、答弁を求めます。

     

    総務部長の答弁

    はじめに、制度導入・変更に際しての職員周知と意見聴取についてであります。

    本市の人事評価制度の導入にあたりましては職員への説明会、新任対象者への研修等を開催し、職員からの意見を参考に随時見直しを行ってきております。

    今回の見直しにあたりましては、6月18日から29日の間に全評価対象者への説明会を開催いたしており、意見の概要といたしましては、部局毎に相対化を実施することに対する意義についての確認や少数部局における考え方等があり、これらの意見を踏まえ、見直しを行ったところであります。

    次に、相対評価に変更したことで職員の人材育成と能力向上の観点から優れた点についてであります。

    これまで、絶対評価により試行の結果、さらには一般論として絶対評価は評価における寛大化、中心化傾向が現れがちであり、評価結果が明確に出ず、あいまいになる傾向があります。

    それに対して、相対評価は結果が明確化かつ客観的にわかりやすくなることから、被評価者の納得性も向上するものと考えております。

    また、部局長の役割や責任を明確にすること、評価の環境をできるだけ平準化することなどの理由から、部局ごとの相対化を行うものであります。

    絶対評価と相対評価はそれぞれメリット・デメリットがあり、導入環境等によりどのような制度が適しているかを判断する必要がありますが、評価者のレベルのアップは人事評価の成否の最大の課題であり、少なくとも人事評価が成熟するまでの間は、相対評価が適切であると判断いたしたものであります。

    次に、部局間での相対化の結果、職員間にランクの差異が生じることについてであります。

    今回の相対化により議員ご指摘の可能性はありますものの、評価結果の分析や検討を行う中で、慎重に処遇反映してまいりたいと考えております。

    部局間での相対化により「努力が報われる制度」かどうかにつきましては、先ほどご答弁申し上げましたとおり、評価方法のメリット・デメリットを勘案する中で「努力が報われる制度」に向けて、よりベターであると判断いたし、取り入れたものでございます。

     次に、昇給への反映による職員の生涯賃金への影響についてであります。

    昇給差を設けることから、賃金への影響があることは認識しております。

    一度下位にランクされた職員についても、比率こそ固定化されていないもののS評価に位置付けられることや、昇格により一定の回復の機会はあるものと考えております。

    次に、相対評価による職場内連携についてでありますが、議員ご指摘のような点につきましては、「協調性」等の評価項目の導入や人事評価制度の趣旨を職員研修等を通じて理解を深めることで、職場内連携の活発化を促して参りたいと考えております。

    また、日常業務への影響につきましては、人事評価制度の運用においては、公平公正かつ納得性の確保の観点から、一定の負担は発生するものと思われますが、評価の過程を通じて評価者・被評価者間の理解が深まり業務の効率アップにつながるものと考えております。

    次に、相対評価への移行にあたっての人件費の考え方についてであります。

    人件費につきましては、おのずから上限があり、そのなかで効果的に人材育成を進める方策として今回の制度を検討してきたものであります。

    今回の昇給反映につきましてもこれらの点を考慮し、特に功績のあった職員への昇給メリットとともに導入を図ったものであり、人件費抑制が目的ではございません。

    次に、相対評価と処遇反映による市民サービスの低下についてでありますが、先ほどご答弁申し上げましたとおり、制度導入により職員の資質並びに業務効率の向上を通じ、市民サービス向上につながるものと考えております。

    本市の人事評価制度のモデルにつきましては、国、府をはじめ、先進市町村が導入する制度を参考に、本市の状況を勘案し、独自の方式を採用したもので、具体には、部局毎に相対化を行うことで、評価者間で異なる基準の平準化がなされるなど、公平性確保につながるとの大阪府の事例がありますことから、これを参考とさせていただいております。

    最後に、民間でも見直し、導入自治体でも失敗しているとの事例に対する認識についてであります。

    議員ご指摘のように、他の自治体等においては制度の見直しや廃止、相対評価への移行等さまざまな事例が報告されております。

    本市における人事評価制度は、職員の人材育成を主眼に平成20年の開始から5年目を迎えております。その間の評価を踏まえ、今回、管理職の処遇反映を始めとした制度改正を行うわけであります。本制度が、人材育成ひいては市民サービス向上につながる制度となるよう努めて参りたいと考えております。

     

    答弁に対する福田議員の再質問

    まず、制度設計に当って職員への説明・意見聴取・反映を行ったのかの質問に対し、6月18日から29日の間に行ったとの答弁だったが、6月19日には既に制度導入に当っての具体的な通知が出されている。

    導入あり気で、管理職だから意見は聞く必要がないとの姿勢で押し付けたことは明らかで、この点で厳しく問題を指摘し、以下の5点について問う。

    ①答弁で部局間での相対化の結果、職員間にランクの差異が生じることを認め、「評価結果の分析や検討を行う中で、慎重に処遇反映」としているが、具体的にどのような分析や検討を行うのか、慎重に処遇反映とは、その結果Cにランクされたが、Bにランクされることもあるのか。

    ②昇給反映による職員の生涯賃金への影響についても認め、「Sランクに位置付けられることや昇格により一定の回復機会はある」としているが、ありもしないことで全く不適切と言わざるを得ない。あるというのなら、それぞれどのような場合なのか具体的に答弁を求める。

    ③「人件費抑制が目的ではない」としているが、制度上人件費が抑制されるのは明らか。「人件費抑制が目的でない」というのなら、今回の制度導入で、場合によっては、総人件費が増える或いは維持される場合について具体的に答弁を求める。

    ④「他の自治体において制度の見直しや廃止」としているが、廃止自治体名と見直し自治体については具体的内容について答弁求める。

    ⑤以上のように、相対評価で勤勉手当及び昇給に反映する人事評価制度の導入は、「努力が報われる」ことも「職員の人材育成と能力向上」も期待できず、職員意欲をなくし、市民サービス低下につながるもので、導入の取り止めるべきと考えるが答弁を求める。

     

    再質問に対する総務部長の答弁

    評価結果の分析・検討を行う中で、慎重に処遇反映することについてでありますが、評価結果の分析等につきましては、評価点をもとに評価基準や評価点の分布、部局間のバランス等について、人事担当において行うこととしており、部局長による相対化を尊重することが基本となりますが、その十分な検証等を踏まえ、処遇反映してまいります。

    次に、Sランクへの位置けと昇給時における回復についてであります。

    Sランクに位置づける場合につきましては、特に功績が大きい職員で、市長が特に認めた場合であり、職員がこれをめざし、取り組める制度としてまいりたいと考えております。

    また、上位の評価を受けることにより昇格にもつながりますことから、一定の回復がなされるものと考えております。

    次に、総人件費の増加あるいは維持される場合についてでありますが、人件費につきましては、基本的に維持あるいは増加しないものと考えております。

    次に、廃止を行った自治体と見直しを行った内容についてでありますが、府内自治体において、制度導入後に休廃止をされている例も聞き及んでおりますが、当該市の意向も踏まえ、市名は控えさせていただきます。一方で大阪市や吹田市など、全職員を対象に相対評価による処遇反映を実施することとした例もございます。

    次に、制度の導入を取りやめるべきことについてであります。

    先程もご答弁申し上げておりますが、「努力が報われる制度」に向けて、よりベターであると判断し、取り入れたもので、必要に応じ制度の改善をすすめ、よりよい制度となるよう努めてまいりますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。