[2012.6.21] -[議会活動]
空き家の発生により、防災,防犯,景観,衛生等多岐にわたり問題が発生し、その件数が全国的にも増大傾向にあり、自治体において積極的な対応が近年求められ、そのための条例制定や検討が少なくない自治体で行われています。本市においても老朽家屋、廃屋が少なくなく、その対応に苦慮している現状があります。こうした下で、現状について明らかにするとともに、積極的な対応が本市においても求められると考え以下の点について質問します。
(1)空き家、老朽家屋(廃屋)等の現状について
この問題を検討するにあたって、現状を把握することは重要です。本市において把握している空き家、老朽家屋、廃屋等の現状についてまず答弁を求めます。
(2)苦情や相談に対する対応状況について
本市において、空き家等の対応については、門真市美しいまちづくり条例に基づくものが考えられます。第17条では、所有者または管理者に対し、適切に管理することを求め、18条では犯罪又は災害を発生するおそれや人の健康を阻害する恐れがあるときは必要な措置を講じることができる旨を規定しています。
この条例に基づく対応内容について、老朽家屋や廃屋等への対応について答弁を求めます。また、老朽家屋、廃屋等への対応については、建築基準法に基づくものはじめ、苦情や相談への対応も少なくないと考えます。その対応状況と、具体的な対応に当たって課題となっている点について答弁を求めます。
(3)危険廃屋等除却補助の概要等について
老朽家屋、とりわけ危険廃屋等については、倒壊等を未然に防止するとともに、住環境の改善や良好な景観の促進を図ることを目的とした「門真市危険廃屋等除却補助金交付要綱」が4月1日施行されました。危険廃屋の除却を補助金の交付によって促進することは、有効な制度であると考えます。スタートしたばかりですが、制度の概要、現状について答弁を求めます。
(4)課題解決のための条例制定の必要性について
空き家や老朽家屋、廃屋の適正管理についての条例、いわゆる「空き家条例」の制定は、2010年10月に施行された所沢市が全国初とされています。 所有者に空き家の適正管理を義務付け、市民からは管理不全な状態の空き家の情報提供を求め、それに基づく調査、指導・助言、勧告、命令、命令に従わない時は氏名等を公表することができるものとなっています。
朝日新聞の調査では、2010年に所沢市を含め3市、2011年に14自治体、2012年3月時点ですでに14自治体の計31の自治体で制定され、大阪府や大阪市、千葉県市川市や神奈川県横須賀市、山口県宇部市、山形県鶴岡市などが制定を検討しているとのことです。また、京都市においても条例制定に向け、検討委員会を設置するため市民委員を6月8日から公募しています。
本市においても老朽家屋、廃屋等に対する実態を把握し、課題を明確にするなかで、課題解決に有効な条例制定について検討を開始するべきと考えますが答弁を求めます。
まず、空き家、老朽家屋(廃屋)等の現状についてでございますが、20年度の住宅・土地統計調査によりますと、1万510戸が空き家としてカウントされておりますが、市内すべての具体的な空き家の数については、把握できていない状況でございます。
このようなことから、空き家や老朽化した廃屋の管理が問題になりつつある現状から、空き家等の 不適切な管理により、青少年の非行の温床とならないよう、また、ゴミ等が投棄されないよう、各部局で協力しながら対応している状況でございます。
しかしながら、毎年数件の苦情や相談が寄せられており、件数につきましては、過去5年間で、51件でありました。
次に、苦情や相談に対する対応状況についてでございますが、門真市美しいまちづくり条例第17条及び第18条においての青少年の非行行為又は廃棄物の投棄によるもの及び犯罪又は災害の発生を誘発する恐れや人の健康を阻害する恐れのある空き家の苦情対応につきましては、即座に現地調査を行い、登記簿で所有者を調べ、勧告文書を送付し、改善を促しております。また、課題といたしましては、所有者を特定する際におきまして、所在不明や所有者が既に亡くなり相続手続きがされていないなど所有者が判明しない場合の対応等が課題となっております。
次に「危険廃屋等除却補助の概要等について」であります。
制度の概要でございますが、市が危険と認めた 建築物の所有者等に対し、除却に係る費用の一部を補助するものでございます。
補助額につきましては、一戸建て住宅の場合は60万円、集合住宅等につきましては、一戸あたり30万円かつ、200万円を上限として、それぞれ工事費用の3分の2以内の額を補助するものでございます。
次に、現在の状況でございますが、ホームページへの掲載や、過去に通報が寄せられた建物の所有者に対する文書送付、訪問などにより、危険性の理解と補助制度について積極的に制度活用の周知に 努めているところでございます。
本年度からの取り組みであり、現在のところ活用実績はございませんが、相談を受けているものや、補修により対応された事例もあり、今後も引き続き取組んでまいりたいと考えております。
次に、課題解決のための条例制定の必要性についてでございますが、議員ご指摘のとおり、平成22年10月に所沢市で「所沢市空き家等の 適性管理に関する条例」が制定されて以来、全国各市町村で取り組まれていると聞き及んでおります。
本市におきましては、平成13年3月に施行されました門真市美しいまちづくり条例のなかで空き家の適正管理を推進しておりますが、課題解決のために、先進市の状況も踏まえ一層の調査、研究を続けてまいりたいと考えておりますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。
門真市は、住宅市街地総合整備事業をまちづくりの柱にすすめています。住宅密集地域を解消し、災害に強いまちづくりを進めるにあたって有効な事業手法と考えますが、一方で従前住まわれた方が引き続き住むことのできないまちに変わり、結果として住民追い出しの事業ともなっています。現在進められている石原東・大倉西地区についても例外ではありません。この地域については、すでに文化住宅など借家人の方の立ち退き、建物撤去、区画街路の整備がすすめられ周辺の方からは、「どのような建物が建つのか」などの不安の声が寄せられています。まち開き予定の2013年度末まで、2年を切った今、以下の点について質問します。
(1)現状(進捗状況)等について
当該地区の面積、従前建物の概要、昨年度までの総事業費と今後の予定事業費、建物・借家人の移転状況、立替え計画の進捗状況について答弁を求めます。
(2)従前居住者の移転状況について
従前居住者、特に借家人の方は、引き続き当該地域で住み続けることができない現状については先ほど触れましたが、従前居住者の方の移転状況を把握し、事業実施主体である門真市として街づくりを検証することが重要だと考えます。
そこで、従前居住者の移転状況について①従前居住者件数②移転先や特定入居などの対応状況③立ち退き補償内容について答弁を求めます。
また、本市では「木造賃貸住宅等立替家賃減額補助制度要綱」を定め、建替え後の賃貸住宅に入居する従前居住者にかかる家賃を軽減した家主に対し、その軽減した家賃相当額を補助することとしていますが、その対応状況についても答弁を求めます。
(3)まちづくりの考え方について
当該地区の建替え促進事業については、2010年度に事業計画作成業務委託が行われ、地権者や事業者への説明やヒヤリングを行い、策定された建替え促進事業計画では街づくりの詳細について示されています。そこで示されたまちづくりの考え方、建物の概要、策定過程について答弁を求めます。
(4)住民への説明について
まちづくりを進めるにあたっては、地権者や事業者だけで進めるのではなく、周辺居住者の方や、自治会などに対し、まちづくりの考え方について説明し、意見聴取も行う中で進めることが重要だと考えます。特に北側の二区画は、それぞれ1,000㎡前後の敷地に9階建て、12階建ての分譲の共同住宅を建設することとなっていますが、これまでの建替え住宅とは全く異質のものです。現時点において、計画策定にあたり説明会を行ったのか、行ったとすればどのような説明を行い、どのような意見が出され、まちづくりに反映しようとしているのか。説明会を行っていないということなら、なぜ行わなかったのか、今後説明会を行うことを考えているのか答弁を求めます。
(5)コミュニティー住宅整備の考えについて
当該事業が従前居住者、借家人追い出しの事業となっていることは冒頭にも述べましたが、従前居住者が住み続けられるような事業実施が求められています。そこで、これまでも「コミュニティー」住宅の整備について求めてきました。コミュニティー住宅とは、事業の施行によって居住する住宅等を失い、住宅等に困窮すると認められるもので入居を希望する者の世帯の数に相当する戸数の住宅を整備するよう努めると制度要綱に定められ、密集住宅市街地整備促進事業から住宅市街地総合整備事業へと改正されて以降は都市再生住宅として引き継がれています。これまでの答弁では、財政負担が大きいことを口実に、建設は困難との考えが一貫して示されてきました。当該地区にコミュニティー住宅(都市再生住宅)建設の考えはあるのか、無いとすればその理由と、この事業を住民追い出しの事業としていいと考えているのか、明確な答弁を求めます。
まず、現状(進捗状況)等についてであります。約0.76haの区域に、従前建物は47棟176戸で、38棟160戸が除却され、24年度中に全て除却される予定であり、建替え計画につきましては4棟が計画中であります。また、23年度には、土地区画整理組合の設立認可を受け、道路及び下水道整備につきましては概ね完了しており、23年度までの事業費として約16億2千6百万円であります。今後の事業費につきましては、約3億8千6百万円を予定しており、公園等の公共施設整備工事や建替促進を行い25年度のまちびらきを目指しております。
次に、従前居住者の移転状況についてであります。移転交渉前の世帯数は73世帯であり、移転先は、公営住宅が6世帯、市内民間住宅が48世帯、市外民間住宅が1世帯、自己転居等が10世帯であります。補償内容につきましては、転居先との家賃差額の24ヶ月分及び移転雑費等であります。また、家賃減額補助制度は、大阪府の要綱に基づき制定したものでありますが、実績はありません。他市でも実績がほとんどなく、大阪府では、11年度以降の新規申込みを停止しております。
次に、まちづくりの考えについてであります。建替促進事業計画は、災害に強いまちづくりを目指すために、耐火性の高い良質な建物へと建替えを促進し、地権者に対して説明するためのものであります。建物の概要や策定過程につきましては、地権者の意向が固まっていない状況で作成したものでありますが、共同整備事業組合と協議を行い、共同住宅や個別住宅のゾーニングを設定し、共同住宅7棟、戸建住宅5棟、自治会館1棟を策定しております。
次に、住民への説明についてであります。公共施設整備工事につきましては、地元自治会役員や、隣接住民に対して、個別説明を行っております。建替促進事業計画策定にあたっての説明会につきましては、先程もご答弁申し上げましたように、地権者の意向が固まっていない段階で策定したもので、説明会は行っておりません。今後は、各地権者において、必要な時点で説明会が行われることと考えております。
最後に、コミュニティー住宅整備の考えについてであります。従前居住者の対応につきましては、結果として地区外へ転出する状況を認識しておりますが、共同整備事業組合とのまちづくり事業協定の役割分担に基づき、市は、希望者に可能な限り公営住宅の斡旋に努め、組合は、同種同規模を前提に賃貸住宅の斡旋に努めていることから、現時点では、都市再生住宅の建設につきましては考えておりません。また、本事業につきましては、住宅密集地域を解消し、災害に強いまちづくりを進める事業であり、従前居住者の生活再建を行うもので、決して住民を追い出す事業ではございませんので、よろしくご理解たまわりますようお願い申し上げます。
石原東・大倉西地区の住宅市街地総合整備事業について、「決して住民を追い出す事業ではない」としながら、「結果として地区外へ転出状況を認識」との答弁でした。希望者への公営住宅の斡旋など行っていますが、従前居住者が門真市内の府営住宅などの公営住宅に転居することで、本来の募集枠が減るという結果となり、他に公営住宅に入居を希望される方がさらに入居しにくい状況となっています。「木造賃貸住宅等立替家賃減額補助制度要綱」に基づく実績は全くなく、大阪府も新規申込を停止している状況のもとで、コミュニティー住宅、都市再生住宅の整備の必要性が一層高まっています。そもそも住宅市街地総合整備事業制度要綱に「施行者は、事業の施行等に関連してその住宅等を失い、住宅等に困窮すると認められる者で、都市再生住宅等への入居を希望する者の世帯の数に相当する都市再生住宅等を整備するよう努めるものとする。」明確に位置付けられています。
この制度要綱に反し、地区外の住宅を斡旋すれば、「結果として地区外へ転出」言いかえれば「住民追い出し」となってもそれでいいと考えているのか、それとも従前居住者が地区内で住み続けられる何らかの手立てが必要と考えているのか、答弁を求めます。
先程もご答弁申し上げましたとおり、従前居住者の対応につきましては、組合とのまちづくり事業協定の役割分担に基づき対応しております。当該地域には、同種同規模の住宅が多くあり、組合において斡旋に努めており、本市としても、可能な限り公営住宅の斡旋に努めております。地区内外に関わらず、事業施行による住宅困窮の解消に引続き努めてまいります。
本事業は、住宅密集地を解消し、災害に強いまちづくりを進める事業でありますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。