• HOME
  • 門真民報
  • 議会活動
  • 政策・提言
  • 新着情報
  • お知らせ
  • こんにちは。門真市会議員団です。

    2011年12月議会 福田英彦議員の一般質問・答弁

    [2011.12.20] -[議会活動]

    11.4定一般質問(福田).jpg

     

    「大阪府教育基本条例案」について

     

     ダブル選挙となった、1127日投開票の大阪府知事選挙、大阪市長選挙では、「大阪都構想」を政策として掲げた大阪維新の会の候補者、松井氏、橋下氏が当選しました。

     しかし、「独裁」を標榜し、「教育とは2万%強制」と言い切る橋下氏が率いる「大阪維新の会」が今後大阪府、市をどこに導くのか、不安を持つ市民が少なくありません。

     その一つに、「教育基本条例案」があります。

     この条例案は、後にも述べるように様々な問題があり、大阪弁護士会が反対の声明、大阪府立高校PTA協議会が改善・撤廃を求める嘆願書、「可決されれば総辞職」とする府の教育委員会委員の見解が出されたことを始め、多くの識者や府民の反対の声が上がる中で、選挙公報では全く触れることができなかったものです。

     しかし、選挙で当選すれば「民意」であるとし、多少の修正を加え知事提案するとしていますが、その本質は現条例案と変わるものではないと言わざるを得ません。

     この条例案がもし可決されれば、府立高校はもちろん、本市の教育行政にも深刻な影響をもたらすことから以下の点について質問します。

    政治の教育への介入について

     条例案にはまず長大な「前文」があります。

     そこには「教育行政からあまりに政治が遠ざけられ、教育に民意が十分に反映されてこなかった結果生じた不均衡な役割分担を改善し」「民の力が確実に教育行政に及ばなければならない」として、政治の教育行政への介入の必要性が述べられ、第5条の基本指針には「政治が教育行政から過度に遠ざけられることのないよう、選挙を通じて民意を代表する議会及び知事と、教育委員会及び同委員会の管理下におかれる学校組織が適切に役割分担を果たさなければならない」としています。

     民意を軽視し、私学助成の充実や少人数学級の推進など「教育条件整備」に消極的だった前府政を考えると、首長やその与党の都合のいい民意だけを強行しようとする狙いがあることは明らかです。

     そして、第6条では、知事が府立高等学校及び府立特別支援学校が実現すべき目標を設定すると明記されています。

     知事が変わるたびに、あるいは知事の気が変わるたびに、教育目標がコロコロと変わり、教育行政、教育現場が振り回されることとなり、教育基本法第16条の「不当な支配の禁止」に違反します。

     そこで、「政治の教育行政への介入」に対する基本認識と、このように教育基本条例の制定によって、政治が教育行政に介入しようとしていることについてどのように認識しているのか答弁を求めます。

    学力テストの結果の市町村別、学校別公開で、過度な「競争」に追いやることについて

     条例案の第72項では、学力テストの結果について「市町村別及び学校別の結果をホームページ等で公開しなければならない」としています。このようなことが実施されれば、テストの平均点を上げることが、至上命令となり、そのための授業が行われ、結果として子どもが勉強嫌いになり、学力の土台を掘り崩すことが危惧されます。

     2002年アメリカでは、「落ちこぼれゼロ法」が成立し、全国一斉学力テストの義務化、結果については教師と学校が責任を持つ、ノルマを達成できたら、補助金アップ、出来なければペナルティーで教師は減給かクビ、学校はつぶして民営化というようなことが行われました。結果何が起こったか?全米各地で起こった学校ぐるみの答案の改ざん、学校現場の荒廃です。

    アメリカの後追いをするようなゆがんだ競争、過度な競争に児童・生徒、学校、教員を追い込むようなことは絶対にするべきでないと考えますが、答弁を求めます。

    地方教育行政組織法違反について

     本条例案では、教職員の非違行為に対し、懲戒・分限基準を定めようとしています。これは、大阪府教育委員会の人事権と市町村教育委員会の内申権を侵害するものです。

    教育行政が地方自治体の教育委員会にゆだねられているのは、明治憲法下で中央政府が教育行政を管轄し、国定教科書をはじめとして国歌主義教育を中央集権的に進めてきたことに対する反省からきています。

    教育基本法第16条で、旧教育基本法第10条の「教育は、不当な支配に服することなく」という文言を引き継いでいます。府議会が教育行政に介入し、教職員の懲戒・分限の基準を定めることは、大阪弁護士会の声明でも述べられてように、地方教育行政組織法に違反するものだと考えますが、見解を求めます。

     また、この懲戒・分限基準では、SからDまでの5段階で教員の人事評価を行い、二年連続D評価で免職となるというものがあります。この評価は相対評価で、「下位5%」の教員を絶対につくらなければなりません。

     このことによって教育現場に何が起こるか。「競争に負けたら地獄」教員同士が協力し教材研究を行うことや、先輩教員が後輩教員へアドバイスなどを行うということは皆無となり、子ども一人ひとりと向き合って成長と発達を促そうとする教育実践は極めて困難となります。

    このような懲戒・分限基準は、先ほど述べたアメリカの例のように、教育現場が荒廃し、学校・教師・子どもに深刻な影響をもたらすものと考えますが、見解を求めます。

    学区制度の撤廃と定員割れを口実とした府立高校の統廃合について

     条例案第43条では「府立高等学校の通学区域は府内全域とする」、第44条では、「三年連続で入学定員を入学者数が下回るとともに、今後も改善の見込みがないと判断する場合には、府教育委員会は当該学校を他の学校と統廃合しなければならない」としています。現在、大阪府の公立高校は4学区に分かれています。学区制度の廃止は偏差値による競争と序列化が一層進み、生徒が集まらなくなる学校を生みやすくします。また、地元の学校に進学したくてもできない生徒が生じる可能性もあります。長い通学で勉学や部活動を十分に取り組めなくなる弊害もあります。

     こうした中で、定員割れを起こす学校が生まれやすくなり、定員割れを口実とした統廃合がいっそう進められることによって、本市においても門真南高校の廃校時に経験した「進学したくてもできない」生徒を生む状況が、さらに深刻になることが危惧されますが、学区制度の廃止、定員割れを口実とした府立高校の統廃合は絶対にすべきでないと考えますが、答弁を求めます。

    体罰の事実上の容認について

     条例案第47条では、「教育上必要があるときは、必要最小限の有形力を行使して、児童生徒に学校教育法第11条に定める懲戒を加えることができる。但し、体罰を加えることができない」としています。「体罰を加えることができない」としていますが、学校教育法では有形力の行使は認めておらず、絶対的に体罰を禁止しています。「必要最小限の有形力」というあいまいな基準で、事実上の体罰容認につながると考えますが、見解を求めます。

    条例案の撤回を府に求めることについて

     以上のように、様々な問題点を持つ「大阪府教育基本条例案」が万が一制定されることとなれば、本市の教育行政にも多大で深刻な影響をもたらすことは確実で、子どもたちに「確かな学力」を育む教育を進めることはできません。僅かな手直しではなく、撤回を大阪府に強く求めるべきと考えますが、答弁を求めます。

     

    【学校教育部長の答弁】

      

      政治の教育内容への介入についてであります。

    教育委員会制度は、教育の政治的中立性や継続性、安定性を確保するために設けられていると認識しております。

    地方公共団体の長の職務権限といたしましては、地方教育行政の組織及び運営に関する法律第24条及び第24条の二に定められたとおりであると考えております。

    力テストの結果の市町村別、学校別公開で、過度な「競争」に追いやることについてであります

    調査結果を生かし、市町村教育委員会や学校が、児童生徒の学力向上を図ることは大切なことであると考えております。

    しかし、学校別結果の公表につきましては、教育活動に著しい支障を及ぼす恐れがあると大阪府情報公開審査会答申で示されており、問題があると認識しております。

    地方教育行政組織法違反についてであります

    懲戒基準につきましては、すでに定められている大阪府教育委員会処分指針とほぼ同じであり、府議会の動向を注視してまいります。

    人事評価につきましては、学校によって困難度や課題が異なる中で、学校ごとに一定率の教職員を最低評価とし、分限処分の対象とする人事評価制度を実施することに様々な議論があり、慎重に検討する必要があると考えております。

    学区制度の撤廃と定員割れを口実とした府立高校の統廃合についてであります

    高等学校の学校区制度の撤廃につきましては、平成19年度に9学区から4学区に再編され定着してきたところであることから、現状の学校区制度を変える必要性はあまりないものと考えております。

    3年連続で定員割れをした府立高等学校が統廃合される可能性があることにつきましては、本市の生徒の進路先が少なくなることも予想され、大きな影響があると考えております。

    体罰の事実上の容認についてであります

    体罰につきましては、学校教育法第11条により明確に禁止されているものであると認識しております。

    大阪府教育基本条例案にも「体罰を加えることはできない」という記述がございます。

    しかし、必要最小限の有形力の行使につきましては、今後具体的な例示等の説明がされるべきと考えております。

    条例案の撤回を府に求めることについてであります

    大阪府教育基本条例案につきましては、新聞報道等によりますと、文部科学省により法的に疑義が生じる箇所があると指摘されたことや修正の動きがあり、流動的な所がございます。

    教育委員会といたしましては、現時点では、府議会等の動向を注視してまいりたいと考えておりますので、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

     

     

    京阪電鉄への「可動式ホーム柵」の設置について

     

    現状の認識について

     鉄道駅のホームからの転落事故、列車との接触事故等が多発し、抜本的な対策が求められている中、本年2月、「ホームドアの整備促進に関する検討会」が設置され、国土交通省と各鉄道事業者間で、ホームドアや可動式ホーム柵の設置をはじめとした転落防止対策の推進に向け検討がすすめられ、6回の検討会を経て8月に「中間取りまとめ」がされています。

     そこで、ホームドア等の転落防止対策の優先整備駅の考え方として、①視覚障害者からの要望が高い駅②利用者数10,000人以上の駅でホーム事故の約8割が発生し、特に10万人以上の駅は一駅あたりの事故発生件数が1.82件と多いことが示されました。

     そして具体的なホームドア等の転落防止策のすすめ方として、①利用者10,000人以上の駅に内方線付き点状ブロックを可能な限り速やかに実施すること②利用者10万人以上の駅についてはホームドア又は、内方線付き点状ブロックの設置を優先して実施すること③「心のバリアフリー」に関する施策を一体的に推進することとしています。

     本市においては、門真南駅に可動式ホーム柵が設置され、1031日から稼働しています。当初は地下鉄長堀鶴見緑地線では、門真南駅を除く全ての駅での設置が計画されていましたが、本市も設置補助を行うことで実現されたものです。

     大阪モノレールについては固定柵のみですが、当初から設置されており、京阪電鉄のホームへの設置が課題となっています。

     そこで、鉄道駅のホームからの転落、その対策について可動式ホーム柵設置の必要性など、現状の認識について答弁を求めます。

    京阪電鉄への設置の働きかけについて

     京阪電鉄については、転落防止策としての内方線付き点状ブロックが既に全駅で設置されており、先進的に取り組みがすすめられています。

     しかし、可動式ホーム柵の設置については現時点で設置計画がありません。

     車両扉位置が一定でないという条件もありますが、車両扉の位置に合わせる可動式ホーム柵の開発もされ、国土交通省も支援を始めています。

     こうした中で本市においても京阪電鉄への設置に向け具体的な働きかけを始めることが求められると考えますが、答弁を求めます。

     

    【都市建設部長の答弁】

      

      まず、現状の認識についてであります。

    昨今、鉄道駅においては、ホームからの転落事故、列車との接触事故が多発するなか、可動式ホームさくなどの、転落事故等の防止に効果の高い対策の必要性が高まっており、本市においても認識しております。

    このようななか、鉄道駅舎のバリアフリー化の推進及び交通弱者の安全性を確保する観点から、地下鉄長堀鶴見緑地線門真南駅について、事業者である大阪市交通局へ大阪府と協調補助を行い、去る10月31日に可動式ホームさくが供用開始されたところであります。

    一方、国におきまして、このような鉄道駅のホームでの事故が多発していることを重く受け止め、各鉄道事業者の間で知見を情報交換・共有し、ホームドアの整備等、転落防止対策の推進を図るため「ホームドアの整備促進等に関する検討会」を設置し、平成23年8月に中間とりまとめとして基本的な考え方を整理されたところであります。

    中間とりまとめに示された考え方のうち、利用者10万人以上の駅においては、ホームドア等又は内方(ないほう)(せん)付きJIS規格化点状ブロックの整備による転落防止対策を速やかに実施するよう努めることとされております。

    また、ホームからの転落事故及び接触事故を防ぐためには、ハード面の整備だけではなく、国民の、高齢者、障がい者等に対する理解と協力を促進する、すなわち「心のバリアフリー」を実現するためのソフト的な対策を行政と鉄道事業者が一体となって強力に推進することが不可欠であるとも位置付けられております。

    その一環として、現在、国において「鉄道駅構内、列車内における心のバリアフリー」をテーマに、鉄道利用に関するマナー啓発キャンペーンを実施しており、本市においてもホームページに掲載し、広く市民への周知に努めております。

    以上の状況を踏まえ、議員ご質問の京阪電鉄に対しましては、実現に向けて車両のタイプごとに扉の位置が異なるなどの多くの課題があるものの、可能な限り、ソフト的な対策の協働での取り組みや情報交換を行うとともに、現在、国において進められている検討会の動向を注視しながら、設置に向けた働きかけを行ってまいりたいと考えておりますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。

     

    【再質問】

     

    17日(土)夜、大阪モノレール門真市駅のホームから男性が約3メートル下の軌道敷に転落し、その後死亡するという事故が発生しました。

    大阪モノレールのホームに固定柵は設置されていましたが、扉部分は開閉式の柵などはない状況となっており、その部分から転落したとのことです。

    こうしたことから、可動式ホーム柵の設置については、京阪電鉄とあわせ、大阪モノレールに対し、事故の状況について説明を求めるとともに、可動式ホーム柵設置に向け働きかけを行う必要があると考えますが、答弁を求めます。

     

    【再質問に対する答弁】

     

    議員ご質問の、先日、発生した大阪モノレールにおけるホームからの転落事故につきましては、認識しておりますが、事故の詳細については現在のところ把握しておりません。

     先程、御答弁申し上げましたとおり、大阪モノレールに対しましても設置にむけた働きかけを行ってまいりたいと考えておりますので、よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。