[2011.6.24] -[議会活動]
東日本大震災は未曾有の被害をもたらしました。職員の派遣とともに、義援金募金にも取り組まれるなどのご尽力に対して敬意を表します。被災地では避難生活の長期化、将来への不安、さまざまな生産・経済活動への影響など震災と原発事故による被害は深刻さを増しています。国の総力を上げて取り組むべき時です。改めて、防災に強いまちづくり、市民の命と安全を守るために、以下の点について質問いたします。
はじめに、市民とのネットワークの強化についてです。
東日本大震災による津波で市が全滅状態になった陸前高田市の藤倉市長は「救援の場合、情報連絡体制を毎日しないといけないことをすごく感じ、A4版の広報『りくぜんたかた』臨時号を毎日発行、4月30日現在で44号を超えている。仮設住宅、罹災証明、障害者の相談窓口の開設等の情報を知らせている。ずっとこれまで地域でまちづくりをしてきたことが、被災後の救援・復興活動でも生かされている。」とも述べられています。地震や津波は自然現象でそれ自体は天災ですが、新しい社会を構築するという構えがどうしても必要と考えます。陸前高田市のように「自治体が本来の役割を発揮して住民を守る防波堤となる、『福祉の心』を持ってこそ、災害時にも住民の命を守れることができるものと考えます。
これまでの「構造改革」により、社会保障、生活基盤の破壊が進む下、今回の災害を、人間のつながりの弱体化と、社会生活の基盤の劣化が同時進行していたなかで起こった大災害だと特徴づけることも考えられます。内閣府が震災前に行なった「地方再生に関する特別世論調査」結果では、「地域を元気にするためには」との設問について「福祉・医療」と「防災の充実」が必要となっています。内閣府の世論調査にも示されているように、災害から住民を守るためには、学校や公共施設、住宅などの耐震化、堤防の強化などハード面も重要ですが、日常普段から、どんなことがあってもすべての市民が安心できる、しっかりした体制を取ること。そして、自治体行政がその中心となり、絶えず市民や事業者と心を通わせていくことが大事であり、特に医療や介護機関、中小商工業者、高齢社会などとのネットワークの強化が、いざと言う時にも大きな力になると考えますが、市の見解を伺うものです。
次に、医師不足、看護師不足、保健所不足の解消と医療の充実についてです。
長期化する避難生活に対して、全国から医療支援が行なわれています。しかし、そもそもどの地域でも医師不足、看護師不足で、余裕があって派遣してきているわけではなく医師や看護師の過労死が問題になるような中で、被災地に応援にかけつけています。産婦人科の閉鎖、小児科不足など地域医療の崩壊が深刻化しています。こうした下での今回の未曾有の大災害が起きました。1994年成立の地域保健法によって都道府県に保健所統廃合が押し付けられ、災害時に、緊急医療の確保や避難所の感染症予防や栄養支援、心のケアなどを担う保健所も減らされてきました。市は国や府に、医師不足、看護師不足、保健所不足の解消と医療の充実を図るよう求めるべきですが見解を伺います。
次に、高齢者の援助体制・安否確認の充実についてです。
高齢化が進むなか、被災地では高齢者のくらし・医療・介護体制の深刻な問題がおこっています。日本共産党はこれまで、くすのき広域連合から本市単独の介護保険事業に移行し、高齢者施策の統一的推進を図るべきと指摘してきました。広域では災害時に援護を必要とする高齢者の実態把握は非常に困難な課題となることが考えられます。普段から、本市単独の介護保険事業の下、ホームヘルパーやケアマネージャーの協力や連携体制の確立とともに、援護の必要な高齢者の援助体制、安否確認の充実に努めるべきです。地域に密着した地域包括支援センターの活動状況について答弁を求めます。
次に、中小企業の支援強化についてです。
中小企業の支援ですが、門真市内の自動車部品業者から、被災地に部品工場があるので部品が届かず、大変な経営状況になっていると聞いています。このような市内、中小業者の震災による経済的影響の把握に努め、中小企業の支援強化を図り、中小企業事業資金融資制度の利子補給や据え置き期間の延長が必要と考えますが、見解を伺います。
次に、災害に強い職員体制についてです。
市長が押し進めてきた、少人数行政の見直しを求める立場から、以下の点について質問をいたします。
東日本大震災では、これまでの「行革」路線で自治体の体力が奪われてきたところに震災が追い打ちをかけ、救援・復旧を遅らせていると指摘されています。多くの公務員が自らも被災しながら住民の救援などにあたっていますが、岩手県大船渡市職員からは「なにせ人が足りない。『行革』の人減らしのつけが震災で如実にでた」との声があがっています。
自公政権が中心になって進めた「行革」路線で、2000年には320万人いた地方公務員は、2010年には281万人まで減少。政府は2005年に5年間で地方公務員を6,4%削減する『集中改革プラン」を策定しましたが、全国の日本共産党をのぞく「オール与党」体制の下、目標を上回る7,5%の削減となっています。
門真市も定員の「適正化」計画において、2005年1098人だった職員数を10年間で25%削減し、825人体制にするとして市職員数を削減してきました。これまで職員が削減され、業務委託や非正規の職員が増える状況の下、今後、東日本大震災と同規模の災害が危惧される東南海、南海地震が高い確率であるといわれています。今後、平時でも、市として安全・安心、防災に強い街づくりが求められ、職員数を削減する方向では身近で災害がおきた時、救援・復興に支障が出ると考えられます。門真市民の命とくらし、福祉をまもるため職員定員の「適正化」計画の見直しを求めますが見解を伺います。
子ども医療費助成の拡充についてです。
2001年度の門真市統計調査によると0歳から5歳児の人口は7476人だったものが、2011年度では4992人となっており、10年間で2484人の減少、減少率33%、乳幼児の3分の1が減少したことになっています。これは子育て世代が他市に移り住んだものと考えられ、「子育て施策の拡充」こそ「定住したい町門真」を実現できる一歩と考えます。
市長は5年間の行革効果として約162億円を生み出した。今度は門真の顔作りに力を入れ、「このまちに生まれてよかった」、「住みたい、住み続けたい」と思える豊かなまちづくりを実現したいといわれています。しかし、深刻な経済危機のもと町だけを開発しても、市民が定住したいまちになるとは思えません。子育て施策の拡充を目指すことこそ、町の発展に繋がるのではないでしょうか。子育て支援策について市の見解を伺います。
そこで、乳幼児医療費助成制度の対象年齢を中学校入学前に引き上げることについてです。
市長は23年度の施政方針の中で市民生活の大変さについて「非正規労働者の割合は44.5%と高く、市民の雇用環境、生活実態は、厳しい状態が続いているものと認識いたしております」と述べられています。特に、子育て世代についてですが、半数が非正規雇用で収入も200万円以下とも言われる状況となっており、子供を産み育てる困難さが目に浮かびます。門真市の21年度の就学援助認定率は小学校26.14%、中学校27.41%と高く、門真市における子育て世代の生活の大変さが就学援助認定率にあらわれています。
このような状況の下、昨年10月、門真市は他市より大幅に遅れて乳幼児医療費助成の対象を小学校入学前までに引き上げました。しかし、2008年4月の時点では厚生労働省の実施状況によると、通院費については就学前まで助成している市区町村が1561自治体、86.1%、入院費では97.2%に達しています。その後、中学校卒業まで助成する市町村が広がっています。北河内では、守口市が中学卒業まで入院費が助成され、寝屋川市では小学校卒業まで通院・入院費について助成する改定案が出ています。
本市での通院費・入院費共に中学校入学前までの引き上げが必要と考えます。市の見解と、実施するにはどれぐらいの予算が必要か答弁を求めます。
「防災に強いまちづくりについて」の「市民とのネットワークの強化について」及び「災害時にも対応できる職員体制について」、私より御答弁申し上げます。
まず、市民とのネットワークの強化策についてであります。
災害時に備えた市民とのネットワークの強化についてでありますが、本市では、地域の防災訓練を通じ、自治会などが中心となる自主防災組織の活性化を図っており、市と地域住民の方が自助、共助、公助の考え方を生かし、市民相互の横のつながりと市の連携を図り、ネットワークの強化に努めております。
これまでの取組みとしましては、市と市民が一体となって災害時に住民の生命や財産を守るため、地域の防災訓練実施に向けた援助や各自治会からの要請に基づく防災に関する講話などを、実施してまいりました。
高齢社会における高齢者の見守りや閉じこもり予防事業などについては、地域包括支援センターと、小地域ネットワーク活動等が連携し地域支援体制づくりを引き続き実施してまいりたいと考えております。
次に、災害時にも対応できる職員体制についてであります。
定員管理につきましては、現在、「第2次定員適正化計画」に基づき定員の適正化を進めており、定年の延長に向けた動きなどの状況を踏まえ、今後、計画の見直しを検討していくこととしております。
見直しにあたりましては、より効率的な行政運営を進めるべく少数精鋭の組織を目指すことが基本となりますが、今回の大震災における被災市町村の状況を教訓に、災害時に果たすべき市町村の役割も踏まえ、検討して参りたいと考えておりますので、ご理解賜りますようお願い申し上げます。
医師不足、看護師不足、保健所不足の解消と医療の充実についてでございます。
"urn:schemas-microsoft-com:office:office" /?>
東日本大震災の被災地におきましては、体調不良を訴える方や、持病の悪化、その他感染症蔓延に対応すべき医療従事者が求められており、本市からも短期間ではありますが、保健師1名を岩手県へ派遣し、健康相談を中心とした活動に従事いたしました。
被災地においては、保健所の役割が再認識されたところであります。このような中で、本市におきましては、平成16年度に門真保健所が統廃合されるに際しまして、当初から毎年3月に業務連絡会議を開催し、可能な限り保健所業務を本市内に出向いて実施してもらうよう依頼を継続しております。今後更に防災の観点を含めた保健所との連携強化に努めるとともに、危機管理意識の更なる向上を図るべく、災害に備えた医療従事者の体制づくりのため、救急医療体制の整備と充実、医師等の養成、確保に向けて引き続き国、府へ要望して参ります。
防災に強いまちづくりについてであります。
高齢者の援助体制・安否確認の充実についてであります。
本市では現在、くすのき広域連合におきまして、地域でのネットワークを活かした支援体制を構築するために、5つの地域包括支援センターを設置いたしており、高齢者の方の日常生活圏域ごとにきめ細かな支援を行なっております。
地域包括支援センターは、介護保険事業の利用者のみならず、それぞれの地域において、全ての高齢者の方が住み慣れた環境で安心して暮らし続けていただけるよう、包括的、且つ継続的に支援を行うべく、365日、24時間体制で相談を受け止めるともに、訪問して実態を把握し、必要なサービスにつなげるなど、地域に根ざしたケアマネジメント体制作りに取り組んでおります。
このように日頃より援護の必要な高齢者の援助体制、安否確認の充実につきましても、ケアマネージャーなどと連携を図っておるところでありますが、地域包括支援センターにおいても、高齢者の増加や災害時に備え、更なる充実が図れるよう、くすのき広域連合に要望して参ります。
また、今後につきましても、地域包括支援センターを核といたしまして、サービスネットワークを構築するため、本市でも引き続き、さらなる連携強化に努めてまいりたいと考えております。
次に子ども医療費助成の拡充についてであります。
はじめに、子育て支援策についての見解であります。核家族化の進展や地域でのつながりの希薄化などにより、子育て支援に対する需要はますます高まっていると認識いたしております。
本年4月の機構改革において、子育て支援に関する情報・相談等をワンストップで提供するべく「子ども課」を創設し、引き続き門真市次世代育成支援後期行動計画に基づき、次代を担う若い世代が安心して子どもを産み、育てることができる環境づくりに努め、定住性のあるまちを目指し、さらなる子育て支援策の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、乳幼児医療費助成制度の対象年齢の引き上げについてでありますが、本市におきましては、子育て世帯に対する経済的負担の軽減等を図る観点から、段階的ではありますが、昨年10月より、義務教育就学前児童までを対象者とする拡充を図ってまいったところであります。
今後における対象者の拡大につきましては、国・府及び府内各市の動向や財政状況等を勘案する中で、引き続き研究してまいりたいと考えております。
また、中学校就学前まで対象者を拡充した場合の所要額につきましては、現在の対象者の受診状況等を勘案して試算いたしますと、さらに約1億円の財源が必要になるであろうと考えております。