[2010.6.25] -[議会活動]
1.福祉施策について
(1)障がい者施策について
(2)保護行政について
(3)国民健康保険について
福祉施策について質問します。
まず、障がい者施策についてです。
新政権発足後、障がい者をめぐる状況は大きく変化しようとしています。国は、遅くとも2013年8月までに障害者自立支援法と応益負担を廃止し、 (仮称)「障がい者総合福祉法」を施行することを決定しました。障がい者を委員に加え「障がい者制度改革推進会議」をスタートさせましたが、障がい者や家族が何に苦しみ、何を望んでいるのかという実態を十分に調査されないまま、5月28日、衆院厚生労働委員会に議員立法が提出され、障害者自立支援法改正案が民主、自民両党などの賛成多数で可決されました。
新法制定にむけ、NPO法人大阪障がい者センターでは、大阪を中心として地域を限定し162ケースについて「知的障がい者の暮らし実態調査」を実施し、結果を紹介し実態をもとに政策を検討する重要性を提起しました。
同センターの実態調査では、障がい者本人の平均月収は9万7609円で一般単身者の3分の1にすぎず、内訳は9割が年金収入、就労による賃金・工賃は収入源として機能していないことが障がい者の収支報告をもとに明確な実態を紹介しています。さらに、障がい者本人の総支出については、調査対象者の55.1%が支出超過をしており1ヶ月約14万円、収入より約4万円以上もの支出超過となっています。また、その特徴として、福祉サービス費が支出を圧迫しており、多くが家族の経済力・介護力に依存している状況がみられます。総支出額が少ない家庭では、日常生活に必要な物品購入が制限されるとともに、外出先について通常生活範囲を超えた移動はほとんどないなど、支出額の違いが生み出す生活の質の格差が明確に実態調査で判ったと発表しています。
この調査によって、知的障がい者のみならず、身体および精神障がい者を含め、家族に介護など全般の暮らしの支援を依存せざるを得ないという実態が明らかになったと考えられます。市として、これまでの障がい者の実態把握について、どのような方法や動きをしてきたのか、また今後の実態把握についての考え方を伺います。
また、この機に、自治体独自の実態調査の財政支援を国に要望するべきですが見解を伺います。
2010年度、国は、障がい福祉サービスと補装具に係る利用料について、住民税非課税の障がい者に対し無料とする措置に改めました。応益負担の廃止に向けて大きな前進と言えます。ただ、「地域生活支援事業」については、市町村・都道府県が行うものとされていることもあり、国は無料にする措置をとっていません。しかし、今回、門真市は、移動支援について住民税非課税の障がい者は無料としたことについては大変評価できるものです。ところが「地域生活支援事業」は、限定された国庫負担金、および自治体の予算の範囲内での事業実施をせまられ、1割負担の応益負担が導入されたことなどにより、財政状況の厳しい自治体ほど必要なときに必要なサービスが受けられない厳しい状況にあり、自治体間にサービスの格差が広がっているものと考えられます。そこで、北河内各市における、移動支援事業の利用者数と障がい者手帳所持者数に対する割合についてどうなっているか伺います。
「地域生活支援事業」のうち、とりわけ移動支援については、多くの課題があり、「移動支援を頼むのには常に予約が必要。急な病気や葬式のときなどにこまる」「入院時、一時帰宅するとき、移動支援が利用できない」などの声があります。移動支援は障がいの程度、障がい種別の区分などにより、利用時間、内容が制限されているところもあり、必要なときに必要なサービス利用が受けられない制度となっています。質問ですが、「地域生活支援事業」については、国へ義務的経費としての予算措置を求めるべきですが見解を伺います
次に生活保護行政について質問します。
厚生労働省のホームページには、「資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度」と書かれています。
保護制度では、保護申請後、ケースワーカーが家庭訪問や保護の要件について調査をし、原則14日以内に保護決定通知書が送付されることになっています。しかし、門真市でのことですが、保護決定通知書が14日経過しても届かず、食べるものも少なくなり、勇気を出して、保護課に電話したいとの相談を何軒か受けたことがあります。質問ですが、保護決定の遅れの要因の一つには、ここ1~2年の生活保護受給者数の増加は激しくケースワーカーの仕事は大変な量になっていることは認識していますが、「最低生活の原理」に基づいて、問題がなければ14日で決定できる体制をとるべきです。保護決定の遅れについて、その原因と対策について答弁を求めます。
今、門真市は、面接相談について予約しないと面接してもらえない状況になっています。窓口で面接日の予約をし概ね2~5日後、面接相談となります。実際、門真市の面接相談の事例ですが、約6ヶ月前に1ヶ月1520円の掛け金の家財の火災保険を解約していたことについて解約証明を出すようにとか、府営住宅の家賃の減免をしていなかったことについて、その差額が返金にならないものであるのに、返金するかどうか調べよと、いうようなことがあったことを確認しています。このような事例は申請の絶対要件でもなく、こんなことで引き延ばすのはどうかについてと、申請要件は何なのか答弁を求めます。
「申請保護の原理」に基づき、現時点において、生活できない状態が確認できればまず申請を受け付けるべきではないでしょうか答弁を求めます。
門真市は、生活保護件数の増加に対しては、ケースワーカーの負担を減らすために面接相談員の配置や事務補助員の採用などを行ってきました。しかし、国基準、要保護者80人に対してケースワーカー1人の配置となっていますが、門真市ではケースワーカー1人が受け持つ件数が増え続け、国基準を大幅に超えています。その対応については、増員すると答弁されていましたが、実態に見合った人員になっているか答弁を求めます。
つぎに、医療費扶助についてです。
私は、ある病気でこれまで通院治療をされ多額の医療費を支払った年金受給者からの相談を受けたことがあります。この方は年金約9万円強でしたが、家賃が安いということから最低生活は維持できるものとの説明を受けただけで生活保護申請はできませんでした。ところが医療費が月1万2千円以上もかかり生活が苦しい上、医師から入院するように言われているが入院費がないと涙をこらえての説明を聞き、医療費単給制度に該当することから、2か月分の医療費の明細を用意してもらい、生活保護申請をしました。
13万円の年金の方の場合、入院医療費の自己負担限度額が月額8万100円を超える負担額となっています。医療費を差し引くと5万円足らずとなり、家賃を支払うと、生活保護基準以下の生活状況が考えられます。通院についても月11万円前後の年金、医療費が月1万円を超える高齢者が、「せめて、医療費だけでも保護受給を」と保護課に相談に行ったが、年金が生活保護認定基準を超えているということだけでの説明を受けただけと聞いています。わずかであっても収入が生活保護の認定基準を超えており、したがって持ち家か借家か、入院か通院かにかかわらず、医療費単給制度による救済可能な場合について、具体的な説明を相談者にするべきことと、相談者の悩みに耳を傾けきめ細やかな対応が求められますが答弁を求めます。
次に貧困ビジネスについてです。
ホームレス等を住宅に住まわせ、生活保護費から高額な費用を徴収する「囲い屋」の経営実態を毎日新聞が報道しました。記事の内容には、1年間の収支明細に記録された決算資料が示され、「賃貸住宅を転貸して得た多額のマージンと弁当などを宅配する法外なサービス料での1100万円の売り上げを上げる一方で、利益は大半が役員報酬などの人件費に消えていた。まさに「濡れ手で粟のぼろもうけ」不透明な貧困ビジネスの実態が裏付けられた資料と書かれていました。
日本共産党の門真市会議員団はこの記事の「囲い屋」について2007年から調査しており、この問題の業者と繋がっていたNPO法人は、最近まで門真市内に拠点をもっていました。2005年6月17日2人のホームレスの方は、生活保護申請を目的とし、業者があらかじめ借りていた門真市内ワンルームマンションを1万円上乗した、水道料を含む4万500円で契約させられました。それと同時に配食サービスを含む7項目にわたる「生活補助サービス契約」を月額5万3000円で締結させられています。この問題についてわが党は、何度も実態を保護課に報告、「生活補助サービス契約」のコピー等も提供してきました。
3月議会、9世帯の方が貧困ビジネスにあっていると答弁されていますが、面接相談の時、このNPO法人同席のもと申請を進めていると思いますが、税金を食い物にする「生活補助サービス契約」について、面接時点でNPO法人に説明を求め、全数契約のコピーをとっているのか、また被保護者の実態調査についてどうなっているのか、答弁を求めます。
4日、厚生労働省保護課長も出席のもと、大阪市は、近隣自治体や政令市など29市とともに、貧困ビジネス業者の情報を共有し、都市間連携で悪質業者を排除するとして、初めての担当者会議を開いています。その内容と当事者でもある門真市として、「囲い屋」排除について今後の対策を伺うものです。
3月議会で、「厚生労働省通知で貧困ビジネス対策として、新年度より実施要領の転居要件に関する改正が行われる予定である」と、答弁されていますが、その通知を踏まえどのような支援を考えていくのか、答弁を求めます。
次に、国民健康保険について質問します。
国民健康保険法第44条では、特別の理由があり、一部負担金を支払うことが困難であると認められる被保険者に対しては、減額や免除、徴収猶予が出来ると定めています。一部負担金免除制度の実施は、年金などから高い医療費を払うと、生活保護認定基準以下になってしまう方の救済に結びつくと考えます。また一部負担金免除制度がつくられたとしても、活用かできない制度では抜本的解決にはなりませんその点について考えを聞かせてください。
【答弁】福祉推進部長
障がい者施策についてであります。
まず、障がい者の実態把握について、どのような動きをしてきたのか、また、今後の考え方についてでありますが、
これまで、本市では障がい福祉計画及び障がい者計画策定時において、障がい者より直接意見を聴く場を設けたり、障がい者関係団体、また保護者会等と毎年懇談会を設け、福祉サービスの利用状況、生活及び社会参加の実態把握に取り組んでいるところであります。今後につきましても、あらゆる機会を通じて障がい者の実態把握に努めてまいりたいと考えております。
次に、自治体独自の実態調査のための財政支援等を国に要望することについてでありますが、
障がい者の実態調査につきましては、国において5年ごとに実施されており、更に、本市においても先ほど答弁させていただきましたように、
実態把握に努めておりますので、今後、府内各市の実施状況を踏まえ、必要があれば財政支援等を国に要望してまいりたいと考えております。
次に、移動支援事業における北河内各市の利用者数と障がい者手帳所持者数に対する割合と、国へ義務的経費として財源確保の要望をすることについてでありますが、
まず、北河内各市の利用者数と障がい者手帳所持者に対する割合につきましては、本年3月分として、本市の利用者数は284人で、手帳所持者に占める割合は4.3%、守口市は、335人で4.1%、枚方市は、864人で4.8%、寝屋川市は、431人で3.9%、大東市は、131人で2.4%、
四條畷市は、86人で3.3%、交野市は、133人で4.0%となっております。
次に、移動支援事業の義務的経費化につきましては、これまでも、市長会等を通じて国に要望をしているところであり、今後も引き続き要望してまいりたいと考えておりますので、ご理解賜りますようお願い致します。
保護行政について
保護決定の遅れの原因と対策についてであります。
保護世帯が急増することに伴い、ケースワーカーが標準数に対して不足している中におきましても事務の適正化に鋭意努めておりますが、事務処理上、一部において遅延があった事実は認識しております。
その対策といたしましては、今年度4月より保護グループを2グループ体制にすることなどにより、さらなる事務の効率化・迅速化を図っているとともに、適正な人員配置も検討しておるところでございます。
次に、面接相談のあり方についてであります。
火災保険の解約等の確認につきましては、保護申請の絶対要件とはしておらず、申請を受け付けないことはありません。
生活保護は、申請に基づき、開始することを原則としており、相談があった場合には、相談者の状況把握をした上で他法他施策の活用等について助言を適切に行い、保護の要否が判定できる必要最低限の書類が揃っておれば、申請を受理しております。
次に、職員配置についてであります。
保護課における職員配置につきましては、被保護世帯の現状に鑑み、再任用職員や非常勤嘱託職員の活用を含め、出来うる限りの職員配置に努めてきたところであります。
しかしながら、景気低迷による厳しい雇用情勢や高齢化の一層の進行などにより、被保護世帯は増加の一途をたどり、現状といたしましては、ケースワーカー1人当たり152ケースを担当しており、標準数の80ケースを大幅に上回っております。
本年4月におきまして、前年度比較で、社会福祉士などの専門職や非常勤嘱託を含め5名の増員を図ったところでありますが、今後におきましても、適正な人員配置と専門知識をもった職員の充実を図り、生活保護行政の体制強化に努めてまいりたいと考えております。
次に、医療費単給制度による救済可能な場合における相談対応についてであります。
面接時におきましては、世帯の収入が最低生活費を上まった場合は、その超過額を医療費の本人負担分として、残りの医療費は単給として支給する制度の説明を行うなど丁寧な対応に努めているところであります。今後とも、常に、相談者の立場に立ち、よりきめ細やかな面接業務を心がけてまいります。
次に、貧困ビジネス対策についてであります。
現在保護受給中の類似事例9世帯につきまして、当初の面接時におきましては、「生活補助サービス契約」についての認識がなく、議員ご指摘のNPO法人からの説明を受けることや契約書の確認につきましては行っておりません。
また、現在当該保護者の、生活状況の実態調査を実施し、被保護者の立場に立って、その悩みや困りごと等について懇切丁寧に相談に乗り、その解決に向けた指導・指示を行うことにより、一刻も早く現状から脱却できるように支援しているところでございます。
大阪市での担当者会議の内容につきましては、今後、悪質業者の情報を共有するなど、各市の連携を強化することにより、その排除に向けた協力体制を強化していくことが重要であることを確認しております。
また、大阪市の担当者から、貧困ビジネス対策の一つとして、敷金等の引き下げを行っているとの紹介があり、各自治体の担当者による意見交換もかわされました。
本市の「囲い屋」対策といたしましては、平成22年5月21日付け厚生労働省通知を受け、転居も視野に入れた被保護者の相談に努めるとともに、現在、実施している実態調査をさらに強化する中で、「囲い屋」や疑わしいと思われる団体等の情報を近隣各市と共有し、早期発見・早期解決に繋げていくよう努めてまいりますので、何卒よろしくご理解賜りますようお願い申し上げます。
国民健康保険について
議員ご質問の一部負担金免除制度でありますが、被保険者が災害等により支払うべき一部負担金を支払うことが困難な場合の免除を行う必要性は認識しております。
しかしながら、本制度については新たな財政負担を発生させるものであり、多額の累積赤字を抱えている本市の国民健康保険事業特別会計においては、現時点で野実施は非常に困難な状況にあります。
国民健康保険制度は国民皆保険の根幹であり憲法25条に規定されております社会保障を支える、セーフティネットであることは十分認識しておりこれらの社会保障制度つきましては、本来、財源措置も含めって、国が責任を持って実施すべき制度であると考えており、これら国保制度の改革につきまして、今後も引き続き国に強く要望してまいります。