[2025.12.19] -[議会活動]
豊北ゆう子 議員
1.こども誰でも通園制度の本格実施について
まず、はじめに、子ども誰でも通園制度の本格実施についてです。
2024年6月の通常国会において、子ども子育て支援法、児童福祉法の一部を改正する法律が成立し、子ども誰でも通園制度が創設され、2026年4月1日から子ども誰でも通園制度が全国で開始されることになりました。
「こども誰でも通園制度」は、子ども子育て支援法にもとづく「地域子ども子育て支援事業」として2025年度から制度化され、2026年度から同法にもとづく新たな「乳児等のための支援給付」として全国の自治体で実施されることになり、本格実施となるものです。
こども誰でも通園制度は、3歳児未満の未就園児のこどもを持つ家庭の「孤立した育児」の悩みを持つ保護者への支援の強化と、全ての子どもの育ちを応援し、こどもの良質な生育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して保護者の多様な働き方やライフスタイルにかかわらない形での支援を強化するとして創設され、対象となる子どもは、保育所、認定こども園、地域型保育事業等に通っていない6か月~満3歳未満。認可外保育施設に通っている6か月~満3歳児未満のこどもとしています。
少子化で子育ての孤立化がすすむなか、家庭で育つ3歳未満児への支援を求める声は多く、本市もアンケートでは6割を超えている状況で、子どもだけでなく親も含めた支援が必要だという考えのもと、以下の質問をさせていただきます。
こども誰でも通園制度については、第2回定例会でも質疑いたしました。来年度の実施に向けては、「認可・確認に伴う関係条例等の制定、事業者の公募、児童福祉審議会等での意見聴取や認可・確認手続等の実施に向けて進めております。」との答弁でした。2026年4月から本格実施になりますが、懸念材料も少なくありません。
(1)制度実施に向けた本市の取り組み状況等について
まず、制度実施に向けた本市の取り組み状況等について伺います。
子ども誰でも通園制度の実施するには、事業者の募集が必要ですが、募集についての取り組みと現在手をあげている施設数について、また公立園での実施の有無についても答弁を求めます。
また、実施にあたっての市民への周知について答弁を求めます。
(2)制度の具体的内容について
次に、制度の具体的内容についてです。
令和7年の制度化に伴って策定された、こども家庭庁の「乳児等支援事業(こども誰でも通園制度)の実施についての実施要項」では、1,事業の目的 2,実施主体 3,実施方法 4,個人情報の保護 5,保護者負担 6,こども誰でも通園総合システムの活用等記載されています。
保護者の利用方式として、「定期利用方式」、「柔軟な利用方式」とあり、利用時間は子ども一人あたり月10時間を上限とするとなっています。それぞれの利用方式の具体と、上限時間は令和8年度も変わりないのか答弁を求めます。
また、事業者の保育の「実施方式」については、「余裕活用型」と「一般型」がありますが、それぞれの事業概要について答弁を求めます。
保護者の利用方法については、今年の第2回定例会の質疑で「利用者からの申請に基づき、市が認定し、決定通知を利用者が受理後、事業者を選択し面談後利用していく」との答弁でした。この手続きを今後「こども誰でも通園総合支援システム」を活用しておこなうようですが、保護者・事業者・本市はどのように使用していくことになるのか答弁を求めます。
こども家庭庁が令和7年3月に出している「子ども誰でも通園制度の実施に関する手引き」では、一時預かり事業との関係性について、「こども誰でも通園制度と一時預かり事業を、同一事業所内において一体的に実施する場合は、利用者にその利用目的に応じて適切に使い分けていただくことが大事であり、自治体はその点について、十分理解したうえで両制度について、案内する必要があるとしています。
こども誰でも通園制度と一時預かり事業を、同一事業所内において一体的に実施されることも考えられるとしての留意点が述べられていますが、内容についてお答えください。
(3)安心して預け、預かることができる事業(施策)にしていくことについて
次に、安心して預け、預かることができる事業(施策)にしていくことについてです。
「こども誰でも通園制度」を利用する際、事業所との事前の面談が必須となっています。
例えば利用年齢枠である6か月の子どもは人見知りが始まり、親の後追いが激しい時期であり、慣れない場所で見知らぬ保育者に預けられる子供の負担は計り知れません。
また、アレルギーなど子どもの特徴についてもしっかり把握しておかなければ、事故にもつながりかねません。
これらのことからも面談を丁寧にする必要があると思いますが、面談に際しての事業者への保証は無いと伺っています。
大阪保育研究所の資料によると、試行的事業の実施状況では、13.5%の事業所で面談なしとの結果も出ています。
安心して、預けるためには、また預かるためにも、面談についても単価を設定し事業者に保証すべきと考えますが、市の見解をお聞かせください。
(答弁)
こども誰でも通園制度の本格実施についてであ ります。
制度実施に向けた本市の取組状況等についてで あります。
事業者の募集についてでありますが、本年9月に市内の教育・保育施設を対象に意向調査を行い、10 月に事前協議を実施したところ、8施設から実施の 意向を確認しており、今後認可等に向けての手続を 進めることとしております。 なお、現時点において公立園での実施は予定しておりませんが、制度実施後の状況や国及び近隣市の動向を注視し、調査研究してまいります。
市民への周知についてでありますが、令和8年1 月の市広報紙や市ホームページへ制度開始について掲載する予定としております。
次に、制度の具体的内容についてであります。 保護者の利用方式についてでありますが、「定期利用方式」については、利用する事業所や利用する曜日、時間帯を固定するなど、特定の事業所を定期的に利用するものであり、「柔軟利用方式」については、利用する事業所や曜日、時間帯などを固定せずに利用するものであります。
なお、8年度における1月の利用時間の上限についてでありますが、国は現在10時間を上限とした 制度設計を進めているところであり、本市において も国の制度通り進めていくこととしております。
実施方式の概要についてでありますが、「余裕活用型」については、保育所等の定員の空き枠を活用して受け入れを行う方式であり、面積基準や職員配 置基準についても保育所等の基準を適用するもの であります。
「一般型」については、「余裕活用型」 と異なり、定員を別に設け、在園児と合同又は専用 室などで受け入れを行う方式であり、面積基準や職 員配置基準などは一時預かり事業と同様の基準が 適用されるものであります。
こども誰でも通園制度総合支援システムについ てでありますが、市は、保護者からの申請に基づき、 乳児等支援給付認定証を交付するとともに、本シス テムで使用するアカウントを発行し、その後保護者 は、利用する施設の予約や利用実績の確認などを行 うことが可能となり、事業者は、アレルギー情報など確認できることに加えて予約状況の管理や乳児 等支援給付費の請求などが可能となるものです。
こども誰でも通園制度と一時預かり事業を一体 的に実施する際の留意点についてでありますが、国 が定めているこども誰でも通園制度の実施に関す る手引において、利用する制度が切り替わることに より支援の内容が大きく変わること、担当する保育者が変わること等は望ましいことではなく、こども の育ちを支える視点から、利用制度が切り替わった としても一貫した支援を提供できるよう心掛ける 必要があるとされています。
次に、安心して預け、預かることができる事業に していくことについてであります。 事前面談における単価の設定についてでありま すが、国におけるこども誰でも通園制度の本格実施 に向けた検討会でも議論されているところであり、 引き続き国の動向を注視してまいりたいと考えて おりますので、よろしくご理解賜りますようお願い 申し上げます。
2.自校調理で美味しく無償の小中学校給食を門真市の魅力発信の中心にすることについて
自校調理で美味しく無償の小中学校給食を門真市の魅力発信の中心にすることについてです。
本市の学校給食は、市ホームページで、「門真市では『安全でおいしい手作り給食・環境にやさしい給食・地域に根差した給食』を目標とし、昭和31年から小中学校一貫した完全給食を実施しています。
全児童生徒を対象に、各学校内の給食室で調理する自校調理方式で、出来立ての温かい給食を実施しています。とりわけ大阪府内の中学校給食においては、自校調理方式で給食を実施している市町村は少なく北河内7市では門真市が唯一となります」と紹介されています。
また、「学校給食費の無償化及び公会計化について」の項では、「令和7(2025)年度以降の学校給食費を子育て世代に対する経済的負担の軽減策として、令和6(2024)年度に引き続き、給食の無償提供を実施すること、令和7(2025)年度より学校給食費を管理する公会計となり、給食物資代金の支払い等が市の予算に組み込まれ安定した給食の提供が可能となることが紹介されています。
しかし、市ホームページでこのページにたどり着くのは、意識的に検索することが無ければ、組織から探す→教育部→教育総務課→保健・給食グループ→子育て・教育→学校教育→小・中学校→小・中学校給食というディレクトリーとなっていて、容易にたどり着くことはできません。
このホームページに端的に現れているように、自校調理で美味しく無償の小中学校給食が、門真市の魅力として市民はじめ市内外に十分に発信されているとは言えません。
以上の問題意識から、小中学校給食を門真市の魅力発信の中心に置くことについて質問します。
(1)大阪府下の小中学校給食の実施状況について
まず、大阪府下の小中学校給食の実施状況についてです。
本市の学校給食は、自校調理で地場の食材を使った美味しい給食で、中学校についても同様だというのは大阪府下でほとんど例を見ない魅力ある事業となっています。
大阪における小中学校給食の実施状況をお聞きします。(門真市と同様に自校調理で小中学校給食を実施している自治体の数、小学校だけ自校調理の給食を実施している自治体の数、中学校給食だけ自校調理を実施している自治体数)について、 また、本市と同じように小中学校とも自校調理で完全無償化の自治体の数について答弁を求めます。
(2)小中学校給食実施に関する費用について
次に、小中学校給食の実施に関する費用についてです。
本市の学校給食は、自校調理で実施していることから、直営と委託はありますが、給食調理に関する人件費及び委託料、給食調理棟の整備や維持管理費用などに多額の経費を要しています。
小中学校給食の実施に係る費用について、令和4年~6年までの状況について財源構成も含め答弁を求めます。
(3)給食費無償化に関する総額について
次に、給食費無償化に関する総額についてです。
本市は、新型コロナの感染拡大が始まった2020年5月に議会としての施策の要望事項の一つに「年度中の学校給食費の無償化の実施」を掲げたことをきっかけに、その年に行われた市長選挙で、宮本市長も学校給食の無償化を公約として掲げ、その後学校給食費無償化の請願、そして新型コロナ交付金を活用し、2023年2学期から給食費の無償化がスタートしました。
そして、それを「学校給食費の無償化及び公会計化」の条例制定で制度化してきた経緯があります。
令和6年度において、給食費無償化に関する経費の総額について財源構成も併せ答弁を求めます。
(4)この間の小中学校給食に関する広報の実施状況について
次に、この間の小中学校給食に関する広報の実施状況についてです。
冒頭にも述べ、議会においても問題提起してきましたが、本市の誇れる施策である小中学校の給食について、それにふさわしく公報がされているとは感じられません。
これまで、学校給食の広報は市広報、ホームページ、その他の媒体でどの様に行われてきたのか、答弁を求めます。
(5)小中学校給食を門真市の魅力発信の中心にすることについて
最後に、小中学校給食を門真市の魅力発信の中心にすることについてです。
繰り返しになりますが、門真市が最も誇れる施策は、自校調理の小・中学校給食を無償で提供することだと考えます。そして、この学校給食事業を門真市の魅力発信の中心に据えることは、子育て層の流出の抑制と流入促進を図るうえで最も効果的だと考えます。市ホームページでいえば、トップ画面ですぐ確認できるよう配置したり、市広報では年一回は1・2面に記事を掲載すること、各種行事の際にも、学校給食の魅力を効果的に発信することなど、「費用対効果」を十二分に発揮する取り組みが必要だと考えますが、答弁を求めます。
(答弁)
大阪府下の小中学校給食の実施状況についてであります。
府内における自治体の内、7年8月時点で、自校調理方式を小中学校共に導入している自治体は、本市を含め9市町であり、小学校のみは10市町、中学校のみは1市となっております。
また、本市と同様に小中学校共に自校調理方式を導入し、かつ給食費の完全無償化をしている自治体は本市を含め3市町となっております。
次に、小中学校給食実施に関する費用についてであります。
4年度における給食調理に関する人件費及び委託料につきましては、約5億1,000万円、給食棟の整備や維持管理費用等につきましては、約2,500万円で合計約5億3,500万円となっており、5年度につきましては、それぞれ約5億円と約3,300万円で合計約5億3,300万円、6年度につきましては、それぞれ約5億1,500万円と約5,000万円で合計約5億6,500万円となっております。
また、歳入につきましては、給食棟設備等使用料及び廃油売却代金となっており、4年度から6年度までそれぞれ約1,800万円となっております。
給食棟整備に対する国の交付金といたしましては、4年度は205万9千円、5年度は160万2千円が交付されております。
次に、給食費無償化に関する総額についてであります。
6年度における給食費無償化に関する費用につきましては、給食物資購入代金といたしまして、 門真市学校給食会へ学校給食運営費交付金約2億3,000万円を交付しております。
次に、この間の小中学校給食に関する広報の実施状況についてであります。
市ホームページにて無償化の推進や手づくりへのこだわりなどを掲載するとともに、4年6月号及び7年2月号の広報かどまにて特集記事を掲載、加えて7年11月のインスタグラムにて自校調理方式での給食提供や無償化をPRいたしております。
また、栄養教諭作成の食育啓発ポスターの庁舎内掲示をはじめ、各月の献立紹介はもとより季節の食材や郷土料理、地産地消の取組みなども併せて紹介する給食だよりを年間11回発行するなど、本市の学校給食における様々な取組みを積極的に発信しております。
次に。小中学校給食を門真市の魅力発信の中心とする ことについてであります。
本市における小中学校給食は、自校調理かつ無償 で提供しており、本市の魅力的な施策の柱のひとつであると認識しております。
このような特色ある事業を重点的に発信していくことは、本市の課題である子育て世帯の転入増加 及び転出抑制にも一定の効果が期待されると考え ております。
子育て支援に関する施策をはじめ、教育、福祉、 まちづくりなど、様々な本市が行う施策や本市の魅 力を発信するに際しましては、常にそのタイミング を見定めながら行っているところであり、一つの事 業だけを捉えるのではなく、全体を俯瞰する中で、 今後も、様々な媒体を用い、情報の発信に努めてまいりますので、よろしくご理解賜りますようお願い 申しあげます。